2010年11月25日

消費から降りるための9原則

「消費のエスカレーターから降りるための9つの原則」を、ハーバード大学教授のジュリエット・ショアは、著書『浪費するアメリカ人─なぜ要らないものまで欲しがるか』(註1)のなかで提唱している。

1.欲望をコントロールする

2.新しい消費のシンボルを作り出す──高級品をかっこ悪いものにする

3.自分自身をコントロールする──競争消費に対する自発的な抵抗

bnd2010-black.jpg4.共同利用を学ぶ──借り手になったり貸し手になったり

5.商業システムを解剖する──賢い消費者になる

6.「買い物療法」を避ける──消費は中毒である

7.祝い事を脱商業化する

8.時間を作る──働きすぎと浪費の悪循環に陥っていないか

9.政府介入で消費の歪みを調整する

 

自分ならここに、「買わずに自分で作る」「消費をあおる連中を止める」「マスメディアに踊らされない」(註2)「商品がどこから来てどこに行くのか想像する」等々を加えたい(「賢い消費者になる」という言い方にも違和感を感じる)。

11月27日(土)は、一年に一度、どうしても必要なもの以外は買わずに過ごしてみようというBuy Nothing Dayだ。どうしても必要と思っていたものでも、買わずにいると、そうでもなかったことに気づく。ちなみに自分は、一週間のうち半分以上がバイ・ナッシング・デイだが。


(註1)この本で著者は、消費が減り経済が成長しなくなることは、経済の崩壊につながらないと結論づけている。

(註2)マスメディアは、広告欄に限らず、経済・産業界のための宣伝の道具だ。例えばこんなニュースがあった。

原発受注、タイでも期待高まる 日本原電が技術協力協定(朝日)

「日本原電が協力者に選ばれたことで、ベトナムに次ぐ日本勢の原発受注にも期待が高まっている。」

この「期待が高まっている」の主語は誰か? 原発の輸出を期待する人がそうそういるはずはない。これは、例えば東芝や日立の上層部など、原発で儲けている一部の人間のことでしかない。けれども、新聞はこれが一般の感覚だと思って記事にしてしまっている。彼らにはそんな狭い世界しか見えていないのだ。

関連サイト:Buy Nothing Day Japan

関連日記: 服を買わせる戦略  毎日のエコロジー=反<灰色>

posted by 鶴見済 at 18:11| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

トウモロコシができすぎるアメリカの事情

キング・コーン.jpg日本に住む我々が食べるトウモロコシは、90%以上がアメリカからの輸入だ。トウモロコシそのものを食べていなくても、それはスナック菓子や油など様々な加工品になって、我々の口に入っている。
けれども、そのトウモロコシがどんなふうに育てられているのかはわからない。それを教えてくれる映画が『キング・コーン』だ。

小農家を潰してできた、はるか彼方まで続く大農園で、化学肥料、遺伝子組み換え種、農薬を使って、トウモロコシは育つ。
アメリカでは70年代からトウモロコシの増産を促したため、国内で生産が過剰になった。日本の市場を完全に制覇し、メキシコの伝統的な農業を崩壊させたアメリカ産トウモロコシが、なぜこれほど世界中に輸出されるのか、という向こうの事情もよくわかる(註)。

映画『キング・コーン』公式サイト (大規模な牛の畜産現場もすごい) 


(註)現在世界中で輸出されるトウモロコシの70%以上がアメリカ産である。

類似傑作映画:『いのちの食べかた』 (最近の肉や野菜が、どんな異常な環境で育っているのかを伝えるドキュメンタリー)

写真の映画主人公たちの後ろにあるのは、トウモロコシ粒の山。自分は図書館で借りて観た。

posted by 鶴見済 at 20:00| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

APEC反対デモと”NO!APEC TV”出演(追記あり)

芋掘り3.JPG大新聞が経済・産業界のための自由貿易推進を叫ぶなか、明日はいよいよ空前の無意味な厳戒態勢を向こうに、反APECデモがある。
そしてその日の深夜(14日)0時から3時間、“NOAPEC TV”というインディ・メディアの番組に出て、国内外のデモの話をする予定。

NO! APEC TV 48時間ライヴ・内容


大企業の広告費に依存しているマスコミは、もちろん主張も大企業に追従している。だからこそ、インディ・メディアを見てほしい。

写真は、今年畑で共同で作ったサツマイモの一部。これを他の畑の野菜とともに、その場で煮て食べたのはよかった。夏のジャガイモ収穫の時にも思ったが、自分たちで作物を作って料理して食べるのは、味がどうかというレベルを越えた、得体の知れないよさがある。「生きること」とは単にこれだけのことだ、という本来の単純さに触れるからなのかもしれない。そのくらい我々の「生きること」は、複雑でわけがわからなくなっている。こういう価値を、食べ物など全部輸入すればいいという自由貿易論者は、なかったことにしている。

(追記)NO!APEC TVを夜遅くまで見てくれた皆さん、どうもありがとうございました。番組のアーカイブがアップされました。冒頭には当日のデモの映像もあります。⇒民衆のデモス

posted by 鶴見済 at 22:07| 日記 | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

原発の輸出を喜ぶ国

山口県の上関原発予定地の埋め立てにやってきていた中国電力の船を、反対する人々が猛抗議で追い返したのが、10月25日だった。祝島の反対で有名なこの上関原発問題は、名古屋のCOP10でも取り上げられ、今回はハンガーストライキや、著名人による反対の署名運動もあった(註1)。
けれどもこのことは、ほとんど報道されなかった。

被ばく労働者数の推移.gifその1週間後には、ベトナムに2基の原発を輸出する話が決まったと各大手新聞がトップニュース扱いで報道した(註2)。こんなことで、日本中が大喜びしているかのようだった。

日本で原子炉を作っているのは東芝、日立、三菱重工の3社だが、これに東京電力など電力会社9社、投資ファンド1社、そして政府を加えた”オール・ジャパン”チームが一丸となってベトナムに原発の売り込みをかけていたのだった。


日本は原発に限らず、ダムなどインフラの輸出でも、「南」の国々、特にアジア諸国に大迷惑をかけてきた(註3)。そういう輸出もAPECTPPによる自由貿易を進めることで、一層やりやすくなる。そこで各大手新聞は、政府のなかでも意見が割れているTPP参加について、「参加以外に道はない」「ためらうな」と連日連日、一大キャンペーンをやっている(註4)。

この国のマスコミは政治については、一応いいことも悪いことも言う。けれども経済については、大企業のPR活動のようなことしかできない。だから我々は、大企業に文句を言うことができずにいる。


(註1)参考:祝島島民の会blog

(註2)ベトナムの原発受注で合意日越首脳会談(読売)
(註3)参考日記:アルミはどこから来るのか?
(註4)太平洋FTA―通商国家の本気を示せ(朝日社説) 日本は「通商国家として生きるしかない」そうだ。商社の社説かと思った。
推薦映画:『ミツバチの羽音と地球の回転』HP
参考日記:我々はアジアにゴミを輸出している

図は、増大する、日本の原発で働く被ばく労働者数の推移。この統計では、年間6万人以上にも上っている。必ず生じる労働者の被ばく、放射能漏れ、放射性廃棄物という問題まで輸出するのがそんなに嬉しいのか? 儲けが少なくても、せめて火力発電所を輸出しろと言いたい。

posted by 鶴見済 at 23:06| 原発 | 更新情報をチェックする

2010年11月02日

『Rooftop』の宮下問題インタビューに答えた

ロフトが出している音楽文化雑誌『Rooftop』(註)で、宮下公園問題を中心にインタビューを受けた。記事はネットでも読める(誌面に印刷されたものとは内容が若干違っているが、こちらが本文)。

鶴見済が語る!! 宮下公園ナイキパーク化問題


宮下公園 シルクスクリーン 011.jpg宮下問題については、例えば ⇒AIRのサイトのQ&Aのページ などに詳細に書かれているので、そういった話は省かせてもらって(そもそも自分はそれを語るような立場にはない)、ここではこの問題を取り巻く状況や、反対運動に対する人々の反応などについて多く話している。例えば以下のような。

「弱い人のために色々と頑張ってる人に向かって、弱い人がガンガン文句を言うみたいなことを安易に、行政に誘導されるがままに、やってきちゃったというか。『小泉最高』とか言っちゃったりして。だから弱い人が弱い人を叩くみたいなバカなことはやめて、まとまって自分たちの生きやすい社会のために抵抗した方がいい。(註2)」

「新しい携帯が出たとかいってそれを喜んで買うとか、新しい公園作ってくれないかなとか、そういう受動的なことばっかりが喜びじゃないですか。娯楽に限らずDIY的な生き方をもっとやっていかないと、ほんとに企業の手のひらの上で遊ばされてるだけになっちゃうでしょう。(註3)」


(註1)『Rooftop』はロフトが出している音楽・文化情報フリーマガジンで、レコード屋やライヴハウス、ロフト各店などに置いてある。自分も80年代の頃からの『Rooftop』を今でもたくさん保管しているが、今号で紙媒体としては最後になるそうで、そこに参加できて光栄。

(註2)関連日記:エリートがB層(大衆)をだましている (B層とは、「具体的なことはわからないが、小泉首相のキャラクターを指示する層、内閣閣僚を指示する層」のことだそうだ。ただし責められるべきなのは、もちろんだまされた方ではなく、だました方。)

(註3)関連日記:電通の広告戦略を分析する
写真はインタビューにも出てくる、宮下で作ったシルクスクリーン。意外に簡単に作れた。

posted by 鶴見済 at 19:48| 日記 | 更新情報をチェックする