2011年02月25日

なぜ原発は推進されるのか?(追記あり)

上関工事強行.jpg山口県上関町で、中国電力が何百人もの警備員を集めて原発の工事を始めてから、もう5日目になる。祝島の人たちが30年も反対・阻止してきた工事だ。全国から集まった大勢の人が、激しい抗議を行なっている。
      ⇒ 虹のカヤック隊  祝島島民の会blog

毎日Uストリームで中継もされている。 ⇒ 満月TV
上関、沖縄・高江、アメリカ大使館前と、同時にあまりにも腐ったことが起きてしまい、若者たちに見せるのも恥ずかしいが、残念ながらこれが現時点でのこの国の姿であり、今後変えていく以外にない(註)。

そして、1月に素人の乱12号店でやった、「原発どうする?」というイベントで話した映像がアップされた。

「原発どうする?」(鶴見済氏1) (2) (計約24分)

以下は、聞きながらでないとわかりにくいが、その時に配ったレジュメ。


1.なぜ原発は推進されるのか?


・経済産業省資源エネルギー庁の「エネルギー基本計画」(2010年6月)では、

  2020年までに原発9基を新設! 国際展開を進める、教育・広報事業の推進、などを謳う。

・推進派の構造

@原子力産業  メーカー(東芝、日立、三菱重工)

                      電力会社(東京電力、関西電力など)
                商社、土木・建設、鉄鋼、など

       
A官僚  経済産業省(天下り、審議会に原子力産業から)

Bマスコミ(原子力産業が有力スポンサー) C学者・研究者   D政治家 

          ⇒ これらの勢力が強く癒着している(他の産業でも同じ)

・原発一基3000〜5000億円(火力発電所の3倍) なぜ高いのに作るのか?

   電力会社は投資した分だけ電気料金に上乗せできる → たくさん投資すれば電気料金を上げられる(「日本の電気料金は世界一高い」と言われる) ⇒ 原発を作るほど儲かる

・地方自治体に莫大な交付金が落ちる  ⇒ 結局カネの問題


2.原発の輸出へ


上関工事 ネット.jpg・90年代以降「北」の国で原発需要頭打ち ⇒ アジアでの建設請負に乗り出す

   日本は、台湾(輸出済み)、ベトナム(決定)、中東? タイ? トルコ? インド?等々へ  (ベトナムへは5000億円の融資も(相手国を債務漬けにする))

・2000年代半ばにブッシュの原発回帰宣言 ⇒ 世界中で受注競争拡大(東芝はフィンランドへも)

・世界の三大原発グループ(+ロシア、韓国等)が受注をあさりまくっている

   東芝─ウェスチングハウス(米)

   日立─ゼネラル・エレクトリック(米)

   三菱重工─アレバ(仏)

・東芝はカザフスタンにウラン鉱山を獲得 ⇒ アジアを核燃料の輸入先としても利用(ウラン鉱山でも、原発同様、労働者の被ばくが起きる)

・アジアの人たちは原発を歓迎しているのか?
   →日本と同じく、原発反対運動はアジアでも起きている

   インド、07年に6000〜7000人のハンスト!

   台湾各地で、00年10万人デモ! 抗議の焼身自殺。放射性廃棄物を押し付けられた先住民の反抗

   フィリピン、インドネシア、タイなどでも  ⇒日本に原発を輸出するなと抗議 

・日本は資源や製品をアジアから輸入して、公害やゴミを輸出してきた。が、原発ほどひどい輸出品はない。
  
⇒日本はアジア、世界に放射能を輸出している

・参考:ノーニュークス・アジアフォーラム http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/


3.原子力と人類


・20世紀に入って人類は原子力(核)エネルギーに気づき開発を始めた

・1945年史上初の核実験 → 広島、長崎への原爆投下

・戦後、核実験(2000回以上も行われた)と核爆弾の製造 + 原子力発電 が進められる

・しかし。核実験の禁止、冷戦終了による核爆弾製造競争の終わり

   スリーマイル島(79年、米)、チェルノブイリ(86年、ソ連)原発事故による原発の見直し

   ⇒90年代には、人類は原子力を使いこなせない(放射能が出るから)、という結論に達したはずだった  

   2000年代の原発回帰は、単に原子力産業を儲けさせるため

・原発は人にも環境にも悪いけれども、カネは儲かるという、考える上である意味絶好の問題

「キミの言っていることは理想論としてはわかるけれども、現実問題として我々も食っていかなきゃいけないわけだから」という深く浸透している詭弁が飛んでくる

・自然界のなかで人間だけが永遠の経済成長(カネ儲け)を続けようとすることこそ理想論。現実問題として、人にも環境にも害が少なく、無理のない経済ができないわけがない。

     ⇒こうじゃない世界は可能だ!!!


(註)中部電力:原発2、3基新設へ 三重沿岸部想定か (毎日)
参考:
中国電力の筆頭株主は事実上山口県である (薔薇、または陽だまりの猫)
「中国電力株を13.3%も保有している筆頭株主(財)山口県振興財団の理事長さんは、1996年からずーっと山口県知事をやっている二井関成(にいせきなり)氏なのであった。」
また中国電力は、上関町に18億円もの寄付をしている模様。
写真は、恐るべき人海戦術で工事を行う中国電力。

(追記)
3月4日には、中国電力東京支社前で、デモ(というか抗議行動)と全国一斉キャンドルナイトが行なわれる。抗議の前には衆議院議員会館で院内集会もある。
上関原発いらんよ!緊急デモ&キャンドルナイト  3/4緊急院内集会

またNHKの以下の番組では、上関町で原発を推進する人たちの意見が聞ける。
"原発"に揺れる町〜上関原発計画・住民たちの27年〜(2) (YouTube)
その主張は、「原発で町の活性化を」ということに尽きる。これが原発のみならず、再処理工場や米軍基地やいらないダムや道路を受け入れてきた地方の心情だろう。輸入品をどんどん入れて一次産業をダメにする一方で、地方にこういうものを押しつけてきた国の政策の罪深さに呆然とする。これらの施設は、一時的にカネを落とすかもしれないが、地域のためになるものではないのだ。
もちろん原発を作りさえすればば町が活性化する、などということもない。
柏崎市からのメッセージ〜原発がきて町がどうなったか  (YouTube)

posted by 鶴見済 at 23:06| 原発 | 更新情報をチェックする

2011年02月19日

アメリカ大使館と経団連に行こう!(追記2件あり)

都内で行なわれた反TPPデモ.jpg日本の経済界とアメリカ。この国に住む我々を支配しているのは、こいつらなんじゃないかと秘かに睨んでいる、その連中の本拠地に向かうデモが、20日と26日にある。

20日(日)、沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設に反対するデモはアメリカ大使館に向かう。

高江にヘリパッドを造らせるな! 沖縄に基地はいらない!〜アメリカ大使館デモ〜
そして26日(土)、TPPに反対するキャンドル・デモは経団連へ行く。

TPPでは生きられない!座談会(&デモ)

そしてこのTPPがまた、日本の農林水産業と経済界の対立というだけではなく、アメリカによる侵略でもある(註)。

エジプトでもそうだったが、不満はまとめて相手に見せないと、事態はよくならない。


(註)参考:中野剛志:TPPはトロイの木馬

参考報道:TPPに「反対」「慎重」が7割 都道府県・政令市の議会

日豪EPA、結論持ち越し 崩れる菅政権のシナリオ (朝日)

「豪州は日本に対し、小麦、砂糖、牛肉、乳製品の関税撤廃を要求。日本側は自動車輸出にかかる5%の関税撤廃や、鉄鉱石やレアアース(希土類)など天然資源の安定供給の確約を求めた。」

(オーストラリアとのEPAは、レアアース騒ぎが起こるはるか前から問題になっている。日本の最大の目当ては、オーストラリアの「自動車の5%の関税撤廃」なのだ。こんなくだらないもののために、食べものの自給を犠牲にするとは!)

TPP断固反対! 1000人以上の青年農業者が東京都心でデモ行進 (農協新聞、このニュースはテレビや大手新聞でも報じられた<写真も>。こういうデモはマスコミが報道しないだけで、日本中で起きている。TPP参加を絶対的に肯定しているマスメディアが、この問題を中立的に取り扱うなんてことがあるだろうか? 今やマスコミは、経済界の大政翼賛会だ)

関連日記:アメリカに侵略されている

(追記)20日のアメリカ大使館デモの出発点、コース変更については、下記ブログを参照。    ⇒アメリカ大使館前を通るデモコースを却下

(追記2)

20日のアメリカ大使館抗議で、2人の逮捕者が出てしまった!

我々はエジプトや中国とは違う自由な国に生きているのだ、と思うかもしれないが、そうでもない。肝心なところに行こうとすれば、絶対に行けないようになっているのがわかる。

20日のデモは、アメリカ大使館前を通るコースが却下されたので、大使館前で抗議をしようとすると、2〜300メートル手前に警察が3重になって人垣を作り、絶対に行かせない。当然接触が起きるが、そうすると今度は「公務執行妨害だ」と叫びだして、逮捕してくる。

詳細は⇒アメ大救―2・20アメリカ大使館前弾圧救援会


エジプトやヨーロッパを見ればわかるが、ハッキリ言って我々のデモなど、世界的に見て大人しすぎるくらいに大人しい。こんなにたくさんの警官など完全に無用で、まるで前衛演劇を見ているようだ。

高江も上関も由々しいが(註)、この「警察問題」もまた、この国の民主主義にとって、非常に由々しい。

(註)上関では中国電力が、なんと深夜2時にやってきて、工事を再開しようとしたらしい。

虹のカヤック隊

原発予定地の埋め立て本格着工 反対派ともみ合い (朝日新聞、海の写真がとても美しい)

posted by 鶴見済 at 16:33| 日記 | 更新情報をチェックする

2011年02月12日

エジプト革命を日本人はどう見ているのか?

!El Pueblo Unido, Jamás Será Vencido! (皆がつながれば、負けることはない。)                ──ラテンアメリカ民衆の抵抗運動のコール


キャンプと人で埋まるタハリール広場.jpgエジプトの革命は素晴らしい。そしてこれを見ていると、どうしても「じゃあ、我々は何なんだ!?」と思ってしまう。ヨーロッパや北米でも、もちろん南米でも、大規模なデモが頻繁に起きる(註1)。日本人はなぜこんなに従順なのか、と。

気になるのが、「とにかく一日も早い安定を」「周辺諸国も不安定化する懸念」「観光による損失が一日当たり30億円」「石油供給への影響は?」などという、ニュースで散々聞かされてきた台詞だ(註2)。

こういう台詞は、民主化に賛成か反対かという域を超えている。そんなことはどちらでもよく、安定していさえすればいいのだ。極めてビジネスマン的である。そしてこれが日本人の革命やデモに対する、平均的な感覚なのではないか?

こいう立場はわかっていないのだ。自分たちの意見も聞き入れられない社会に生きているなら、どれだけ安定していも、どれだけカネが儲かっても、幸せでもなんでもないことを。


(註1) 欧州、アラブ諸国世界各地でデモなのに なぜ日本はこんなに静かなのか? (東京) ここでは記事の前文しか読めないが、大手新聞がこういう特集記事を組んでいるというだけでも、特筆に値する。

(註2)ムバラク政権崩壊:日本、不安定化を警戒 (毎日)

「(速やかに)憲法からの逸脱状態が回復されることを期待する」(12日、前原誠司外相談話)、「民主主義が育っておらず、この状態で大統領がいきなり辞めてどうなるか」(外務省幹部、←ここの部分の記事が後に差し替えになっていた!)、だそうだ。これが民主主義でなくて何なのか聞きたい。

感動映像:ムバラクが辞任した瞬間のカイロ・タハリール広場 (YouTube
写真は、とんでもないことになっているタハリール広場。真ん中がキャンプ・サイトでそれを数十万人の人々が取り囲む。誰が仕切るわけでも、警備するわけでもないのに、混乱などない。

posted by 鶴見済 at 23:49| 日記 | 更新情報をチェックする

2011年02月02日

なぜヒトは革命するのか?

「おそろしい仕組みをつくって人びとをいじめていた者たちと、『仕方がないよ、そういう仕組みなんだから』と従いつづけていた者たちは、ある日、とつぜん町のなかが騒がしくなったと思うと、次の日には、かならずパンツ一丁で逃げまどうことになるのでした。

灰色は、その歴史を、なるべく人びとに見せないようにしていました。それは、あまりにも大きな、楽しさとか、喜びとか、希望とか、優しさとか、おもしろさを、人びとに与えてしまうからでした。」  ──小沢健二、『うさぎ!』第二話より(註)


egypt.jpgエジプトで起きている革命を見ると、どうして怒った人々はこうも同じ行動をとるのかと驚く。まず街の中心の大きな広場に大勢で集まり、行進しようとする(今回行進は見送られたが)。人々は手にメッセージを書いた紙やボール紙を持ち、皆で同じ言葉を叫んで気勢を上げる。

自分がリアルタイムで見ることができた86年のフィリピン革命も、89年の東欧革命も、そしてこの北アフリカの革命も、はるか昔のフランス革命もこういうことだった。

これは、今我々がデモでやっていることともそっくりだ。デモに行く“意味”というものがわかるような気がする(そして、警察がデモを押さえ込もうとすることの意味も。彼らはデモが恐いのだ)。


我々だって、「仕方がないよ、そういう仕組みなんだから」と従いつづけなくていいのだ。50年間もほぼ一党独裁の政治を許してきて、ようやく自分たちが選んで政権交代をしたと思ったら、その2番目のリーダーが、前の独裁政権とまったく同じ政治を始めてしまったんだから。


(註)この言葉は、小沢健二の『毎日の環境学』の帯にも、何の説明もなく書かれている。

参考ニュース映像:エジプト情勢:軍部の一部が政府方針に背き始める (YouTube(現在進行中の革命で一番グッと来た、軍と市民がひとつになった瞬間を報じている)

革命生中継テレビ:アルジャジーラ・イングリッシュ

posted by 鶴見済 at 21:25| 日記 | 更新情報をチェックする