2011年07月22日

それでも社会は浪費を促す(追記あり)

東電管内の産業別電力消費.jpg●これほど節電しよう、エネルギーについて考えようと言っている時に、地デジ移行で薄型テレビの売れ行きが絶好調だと騒がれている(註1)。またエコポイントを導入して、「節電のための省エネ家電の販売促進」(!)まで国は検討している(註2)。ついでに東京でオリンピックをやって、でかい施設を作って日本経済を活気づかせようとも騒いでいる。

自分にはこういうことは、「気が狂っている」としか思えない。

日本で一番電力を浪費しているのは製造業であり、なかでも「機械」はトップだ(註3)、なんてことを言わなくても、誰だって感覚的にわかる。そういうことでは、我々は幸せにはならないと。

原発も建物もダムも、自動車も家電も、もう一杯だからいらないのだ。そんなものより、汚れていない食べ物や空気や水や土のほうが、はるかに大事だ。あとは少なく稼いで、それを公平に分けて、のんびり生きていけばいいのだ。

「経済のために原発を」と言っている連中が、こんな目にあってもまだわかっていないのは、「豊かさとは何か」ということだ。

(註1)薄型TV、駆け込み需要ピーク 地デジ移行まで1週間 (日経)

(註2)今冬に家電エコポイント復活も 玄葉氏、電力不足対策で具体案 (SankeiBiz
薄型テレビは、去年11月にエコポイントの半減効果で、空前の売り上げを記録したばかり。
(註3)業種別電力消費の内訳PDF、26p) (経済産業省)
2位鉄鋼、3位化学、4位パルプ紙板紙、5位窯業土石(セメントなど)(06年)。ただし数あるエネルギーのなかから電力の消費量だけ取り上げても、あまり意味はないかも。 ⇒家庭、業務など部門別電力消費の内訳

●23日()にまたtwitter発の脱原発デモがある。集合は渋谷・宮下公園。31日(日)には原発なくても大丈夫!!パレード、そして8月6日(土)はまたまた「原発やめろデモ!!!!」が、今度は東電本社前から

日本全国デモ情報(マガジン9)


(関係リンク)

日本に原発必要、核兵器持つべき 石原都知事インタビューAFP

「原発に対する「一種のヒステリー」が起きると予想されるが、日本には原発がまだ必要だとの認識を示した。」

これほど“民意”というもの軽んじている人間を選挙で圧勝させてやるんだから、ますます人々がバカに見えてしょうがないだろう。

風評懸念し市長に原発再起動を要望 敦賀・西浦地区 (中日)

敦賀原発ともんじゅの地元が、原発が止まったままだと観光などで“風評被害”があるから、早く再稼動しろと市長に申し入れた。理屈じゃないんだ、とにかく動かしたいんだ、と。

玄海原発再稼働の裏に! 知事と町長と九電の「ズブズブの関係」 (現代ビジネス)

玄海町の岸本町長の弟は、公共事業の多くを受注し、原発でも潤った土木建設業「岸本組」の社長。こういうことは、原発関係でなくてもいくらでもあるはず。

原発推進用「世論操作マニュアル」を取り上げたTV番組


(無関係リンク)

田代まさし被告実刑確定=懲役3年6月、双方控訴せず (時事)

覚醒剤やコカインの所持や使用だけで(それも大量ではない)、3年半も刑務所に入る罰を受けるだなんて考えられない。誰にそれほどの迷惑をかけたんだ?

図は、東電管内の産業別電力消費。3月24日、読売新聞より。1位は自動車・電機などで、476万世帯分。

(追記)
8・6原発やめろデモ!!!!!は、コースが変更になって、日比谷公園から。東電前を3回も通る、すごいコース。集会では自分も話す予定。

(追加参考リンク)

50年代米公文書:「日本は核に無知 原子力協力で治療」(毎日)
「(アメリカの)国務省極東局は大統領あて極秘覚書で「日本人は病的なまでに核兵器に敏感で、自分たちが選ばれた犠牲者だと思っている」と分析。(…)「放射能」に関する日米交流が「日本人の(核への)感情や無知に対する最善の治療法」になると指摘した。」

石原慎太郎 原発についての冷静な討論を (産経)

「日本は世界で唯一の被爆国であり、その痛ましい経験が一種のトラウマを造成し、それがさらにこと原子力に関しては、それを疑い忌避する強いセンチメントをもたらしていることは否めない。」
原発導入期から今に至るまで、社会を牛耳っている連中にとっての一般の人々は「無知」で「感情(センチメント)的」で、その怒りは単なるヒステリー(精神障害のひとつ)にすぎない。
「民主主義」なんていうのは単なる建前で、前近代と同じく上の人間が人々を導いてやらなきゃいけないと思っている。それはある程度ハッキリした。
だったら黙っているわけにはいかない。

posted by 鶴見済 at 12:18| 原発 | 更新情報をチェックする

2011年07月06日

なぜ日本人は世論操作されやすいのか?

世界と日本の新聞の発行部数比較.jpg「灰色の存在に気がつくと、偽造された歴史、ねつ造された『普通の感覚』、というものが見えてくる。一度気がつくと、周りにあるものが、今までとは全然違う風に見えてくる。(…)『何だ、こんな簡単なことに騙されていたのか。考えてみれば当たり前だ。何で気づかなかったんだろう』って、自分にも腹が立つ。」
  ───小沢健二 『うさぎ!』第7話より(註1)

「ひとつはっきりしているのは、単に原発の問題ではないと、みんな思っている。むしろ日本の社会が持っていたそもそもの構造の問題だ。」
  ―――毛利嘉孝(社会学者)(註2)

(註1)『子どもと昔話』31号掲載。この雑誌は図書館にあるかもしれない。

(註2)radioactivist 』予告編より


●「原発は安全」という明らかな嘘に、これほど完璧にだまされていたことを、我々はこの機会によくよく考えてみなければならない。なぜ日本に住む我々は、これほどあっさりとだまされるのか、を。

自分なりに理由を考えてみると──、


@まず、少数の全国紙が国中で圧倒的に読まれているので(それも朝夕2回も)、それらを押さえてしまえば世論操作しやすい(註3)。

A記者クラブの存在。全国紙とその系列化したテレビ局(註4)、NHK、通信社2社(共同、時事。地方紙はここから配信を受けている)。これらの大メディアばかりが記者クラブのメンバーとなって、官僚や政治家や経済界と癒着しつつニュースを貰っているため、ニュースも社説も「全部同じ」になりやすい(例:TPP参加、消費税増税。対抗できるのは『週刊金曜日』『世界』『赤旗』くらいか?)。

新聞発行紙数.jpgBスポンサーに対する弱さ。スポンサーを降りる、広告を出さないと脅されれば、テレビに出る人の私生活での発言にまで口出しを許してしまう、この国のメディア(特にテレビ)の大企業に対する弱さも原因。

これは原発に限った話であるはずがない。大企業の利益がらみで進めている大事は、同じように批判禁止になっているはずだ。

C人々が怒らないこと。『赤旗』が明かした、日本原子力文化振興財団の「世論操作マニュアル」は、我々が戦時中も正力松太郎の頃も、今も、変わらずエリートに世論操作されていることを教えてくれる、戦慄すべき内容(註5)。それでも人々が文句を言わなかったことも大きな原因だ。

(註3)世界の新聞の発行部数上位100位(05年)World Association of Newspapers

1位読売、2位朝日、3位毎日、4位日経、5位中日、7位産経。これは日本のではなく、世界のランキングである。

(註4)言うまでもないが、日本テレビ=読売、TBS=毎日、フジテレビ=産経、テレビ朝日=朝日、テレビ東京=日経。
(註5)
原発推進へ国民分断、メディア懐柔/これが世論対策マニュアル (赤旗、この記事は必見!)

「読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」「停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが、大衆であることを忘れないように」


●7月9日(土)は、渋谷で久々の脱原発デモがある。文句があるなら言わないと、ナメられるだけだ。

福島/青森/新潟にリスクを押し付けるな!デモ@東京・渋谷


(参考)

「反原発の機運抑えろ」 英政府 産業界に働きかけ (東京)

「英政府が反原発の機運が高まらないよう、産業界に世論を誘導するよう求める電子メールを送っていたことが1日分かった。」

NHKの「シリーズ原発危機」では番組で使うアンケートを受け付けている。答えよう。

図上は、世界と日本の新聞発行部数比較。データは、外国紙が96年、国内が98年とやや古い。下は各国の新聞紙数、つまり新聞の種類数(08年)。日本は16位と少ない。つまり、日本ほどいくつかの新聞だけが読まれている国は珍しい。

posted by 鶴見済 at 13:07| 原発 | 更新情報をチェックする

2011年07月04日

電力を浪費しているのは「製造業」である

日本の電力使用量内訳 2005年.bmp●「原発がなくても電力は足りている」(註1)、という批判をなかったことにして、「原発がないから電力不足」の猛キャンペーンが始まっている。

日本は世界でもアメリカ、中国に次いで電力を使っている国だ(4位ロシア、5位インド)。ドイツやイギリスやフランスの使用電力量など、日本の半分かそれ以下だ。だからもともと、日本は電力を使いすぎなのだ。

そして国内でその電力を一番浪費しているのは、家庭のクーラーやオフィスの照明などではなく、「製造業(の工場)」が圧倒的だ。製造業のなかでも、電力を大量に使っているのは金属機械(自動車、家電を含む)、鉄鋼業、化学工業などだ(エネルギー多消費型の業種は他に、セメント、製紙など)(註2)。けれどもこの国に生きていて、鉄筋コンクリートや鉄骨、ビニールやプラスチックが多すぎると思わない人がいるだろうか? そもそも工業製品自体が多すぎる。 

電気を使わないのは簡単だ。これら余計なものの生産を減らせばいいのだ。今、電気を浪費している製造業がまったく批判されないのは、驚くべきことだ(註3)。けれども、こうした重厚長大型製造業は日本経済界(というかこの国)の中枢にいるので(経団連会長・米倉は住友化学の会長)、なかなか批判できない。
国別電力消費量.gif(註1)原発なくても電力足ります 環境保護団体が試算 (共同)

電力が足りていることは、多くの論者・専門機関・マスコミが指摘している。2003年春には東電の原発がすべて止まったが、電力は足りていた。
(註2)日本の製造業エネルギー消費の推移 業種別の電力消費量については、EDMC(日本エネルギー経済研究所)の統計による。

(註3)この産業はCO2排出の多さでも、環境団体から批判されてきたが、なぜか社会的にはまったく批判を受けていない。⇒ 企業の各事業所の温室効果ガスの排出実態 (下のほうのファイルに、各企業の工場ごとの電力消費量まで書いてあるが、細かい。自動車や電気機械の工場も電力を浪費している)


Radio Freedomまでが、あまりの原発へのムカつきで復活してしまった! 鶴見済、神長恒一、ココペリが、「原発が大好きなヤツが本当にいるのか?」「このもやっとした権力は何か?」などの日本社会の話、デモの話、自然界の話などを交えつつ、311以降を振り返り、怒りと希望を語ってます。

ポスト3.11  ふざけるな、原発社会!@下北沢・気流舎  (Rdio Freedom)


(参考リンク)

モンゴルに国際的核処分場建設を 東芝が米高官に書簡 (共同)

「東芝の佐々木則夫社長が5月中旬、米政府高官に書簡を送り、使用済み核燃料などの国際的な貯蔵・処分場をモンゴルに建設する計画を盛り込んだ新構想を推進するよう要請、水面下で対米工作を進めていることが1日、分かった。」

単なるゴミを「南」の国に送るだけでも国際的な非難を浴びているのに、これは言語道断だ。また、一企業の社長がここまでやるのかと驚かされる。東京と福島や青森の関係は、日本とモンゴル、日本とアジアの関係、つまり南北関係に等しい。⇒ 東芝へのご意見・ご要望(不買するだけでなく、自分の不買を伝えよう)

前原前外相「急激な脱原発はポピュリズム」 首相を批判 (朝日)

ポピュリズムというのは、「X JAPANのファンだ」「プレスリーが好きだ」などと言って、「知能が低い」と見なしている国民に「小泉最高!」と言わせることであり、国民の意見を政治に反映させることは、それとは全然違う。それだけが政治家の仕事だ。
図上は、2005年の電力消費量の内訳。家庭の努力など大した影響はない。下は主要国の電力消費量。

posted by 鶴見済 at 23:30| 原発 | 更新情報をチェックする