好意には好意が、攻撃には攻撃が返ってくる
人に好意を与えれば好意が返ってくるし、悪意や攻撃を与えると悪意や攻撃が返ってくる。世の中は実際にそうなっているし、誰も特別に偉くなんかないのだから、当然のことだ。攻撃はしたいけど、反撃は受けたくない、などということは許されていない。
今では昔ほどには意識されなくなったが、これはとても大きな原理だと常々思っている。しかも単に優しいだけの気味の悪い話とは違って、厳しい面も備わっており、そこがとてもしっくりくるのだ。何しろ世の中は全然甘くないわけだから。「自分がされたくないことは、人にしてもいけない」もこれと同じことなのだから、つくづく大事な原理だと思う。「お互い様の法則」などと勝手に呼んでいる。
お金ではないやり取りの経済は、贈り物(贈与)とお返しの連鎖でできている。この経済を「贈与経済」と言って、その仕組みを「互酬」と言う。「世話」のような物ではない何かをやり取りしてもいい。そしてこの「贈与・返礼」に悪意や攻撃(両者は必ずしも同じものではないが)のやり取りまで含めるのも、わりとよくある説なのだ。好意の連鎖みたいな話を聞いただけではあまりピンと来なかったのだが、悪意や攻撃まで含めるとなると、世の中にこの原理がいかに広く行きわたっているかがばーっと見えたようで、感激したものだ。
「人権や平等という西洋の思想が入ってくる前は、それに代わるものとして何があったのか?」などとよく言われるが、自分はこの「お互い様の法則」(公平とか)なのではないかと睨んでいる。村の寄り合いで話し合うことは、こんなことば…