雨宮処凛さんの記事への疑問
雨宮処凛さんが、自分の以前の文章を引いてある記事を書いていたので、それについて少し言いたい。「普通の生活がしたい」という悲鳴。の巻(雨宮処凛)
引かれているのは、自分が『完全自殺マニュアル』の前書きに書いた、「学校や塾に通いながら、よりいい高校・大学に進学して、会社に入っていい地位について、勤め上げる」という人生はきつい、という部分だ。それが、「なんて贅沢なもの」「ほとんど貴族のよう」と書かれている。
雨宮さんの非正規雇用や貧困についての問題提起は素晴らしいので、これまで何度も対談をしてきた。けれども、こうした昭和期というか、正社員的な人生みたいなものについての評価については疑問がある。
マスコミ全般に言えることだが、昭和期の生き方や正社員的な生き方については、収入・金銭のことばかり取り上げられて、この上なく恵まれていたかのように言われる。そこでは、金銭面以外の働くきつさ、学校のきつさなどの「生きづらさ」への視点は、必ず抜け落ちてしまう。
自分のこの文章には、当時、言わなくても広く共有されていることだったので、わざわざ書いていない。けれども週休1日で長時間残業が当たり前の長時間労働、パワハラに満ちた職場、満員電車で毎日出社、転勤も含め一生を会社に捧げる人生など、「社畜」と呼ばれてしまうような人生がそこにあった。全体的に見れば、今よりも働く環境は劣悪だっただろう。もちろん、今の正社員だっていいとは言えない。電通に勤めていても自殺してしまう人もいる。
自分はいわゆる一流の大学を出て大手メー…