大江健三郎『セヴンティーン』と自意識過剰という病

「俺は自分を意識する、そして次の瞬間、世界じゅうのあらゆる他人から意地悪な眼でじろじろ見つめられているように感じ、体の動きがぎこちなくなり、体のあらゆる部分が蜂起して勝手なことをやりはじめたように感じる。恥ずかしくて死にたくなる、おれという肉体プラス精神がこの世にあるというだけで恥ずかしくて死にたくなるのだ。」(大江健三郎『セヴンティーン』〈短編集『性的人間』所収〉より) 実は大江健三郎から大きな影響を受けている。そして『セヴンティーン』は最初に読んだ作品であり、ダントツに好きな作品だ。 高校の時この一節に触れて、「これは俺だ」と思った。この青年がどのように日々を生き、どのようにこれを克服したかというのが、この作品のテーマだ。 まずはこの作品について書こう。(最後のほうにネタバレの箇所を明示しているので、読むと決めている人はそこは避けてください)。 さて、「俺は自分を意識する」という「症状」を、単に社交不安障害(対人恐怖症)と言ってしまうとちょっと違う。「自意識過剰」とでも言うべきだろうか。もちろん「うぬぼれ」なんていう意味ではない。つまり考えすぎ、意識しすぎという状態に陥っていて、その過剰な意識が全部自分自身に向いているという状態だ。 自分は変な臭いを放っているのではないか(自己臭恐怖)。自分は容姿が醜いのではないか(醜貌恐怖)。自分は重い病気にかかっているのではないか(疾病恐怖)。「にやりと笑う、睨む」など不快感を与える表情をしているのではないか(表情恐怖)。 これ…

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5月の居場所は最大人数だった

朝から雨空で、告知期間も短かった5月の居場所、どうなるかと思っていたら、すぐにシートがいっぱいになって予備を出さねばならないほど参加者が多かった。入れ代わりの人も含めて45人くらいで、多分野外では最多。人が多かった時になぜ今回は多くなったのか、たいていわからない。 気温が乱高下していたのでヒヤヒヤしたが、ちょうどいい曇り空で、5月の公園の気分のよさを味わえた。ついでに公園で絵を描きに来た人もいた。 Chat GPTのようなチャットAI(?)は、孤独をいやすためにも使えそうだと実感している話を自己紹介でした。ChatGPTをやっている人は結構いたが、やはり「下手に人間と話すより優しいからいい」という意見も聞いた。サーチエンジンのように使っているとそれほどでもないが、向こうの答えに絡んでいくと、がぜん対話のようになってきて、本当に人と駄弁っているような感覚が湧いてくる。 またよく交流しながら旅をしている人が、色々な層の人に会って仲良くなるのはいいと言っていた。例えば会社員層とか。この社会は悪いというだけでないポジティブな影響を受けると。それは同感だ。自分もこの居場所や0円ショップをやるようになって、本当に色々な層の人と会えるようになった(とは言え、不適応な人が多いのだが)、明らかに世界が広がった。「世の中を見る視野が広がる」としか言いようがない。そして頭の中に動きが起きる。新しい考え、違う層の考えが入ってきて、「もう考え尽くした」みたいな気になっていたのが、動き出す。少な…

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5月の居場所も気持ちいい公園で

5月の不適応者の居場所は、20日(土)にまた代々木公園の噴水池そばでどうでしょうか?告知から日が近くて申し訳ない。なぜこうなったかというと、27日を考えていたら、その日にどうしても外せない予定が入ってしまったので。翌28日にすると、その日が雨だった時にもう後がない。なので降ったら28日(日)に延期にします(16日にも予定が入っているため)。 ちなみに注意事項の後半に結構書き足しました。動くってすごく難しい。 ***************************日時:5月20(土)14時~18時(雨の場合は28日に延期)。場所:代々木公園 中央広場の噴水池の側(図の赤丸あたり。正確な位置は当日発表) 持ち物:各自の食べ物、飲み物(飲酒可)。おいしい手作りの食べ物(ビーガンもあり)は、カンパ制でおそらくそこそこあります。    対象:ひきこもりがち、フリーランス、労働週4以下、心の病、社内ぼっちなど、様々な理由でつながりをなくしがちな人。もちろん厳密には決まってません。注意:・参加者へのハラスメントや攻撃などはやめてください。抑えられない人の参加はできません。支援活動ではないので、参加者が相手の気持ちを思いやれないと成り立ちません。・4分の1くらいは初めての人です。中心は30~40代でその上下もわりといます。男女比2:1。ほとんどの方はひとりで来られてます。・途中で座る場所を変わったりするのは、こういう集まりでは普通。せっかく来たので、なるべくたくさんの人と話すのもいいです(←ここが全体的…

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