この国の国会議員も首相も、一応我々国民が選挙で選んだ代表者ではある。彼らは我々の「代理人」にすぎないのだ。
では世界におけるG8(サミット)っていうのはどうか?
世界のことを決めるなら、本来であれば65億人の意見を直接聞く必要がある。それがダメなら、その人たちが選んだ代表者がそれを決めるべきだ。そのためにあるのが、一国が平等に一票を持つ国連総会だったはずだ。
一方、それよりもよほど「世界政府」みたいな顔をしているG8(サミット)はもともと75年に、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本の6カ国で始まった、何の公的な裏づけもない先進国首脳のサロンだ。これにカナダとロシアを加えた現在のG8をなす8カ国の人口は、世界人口の14%に過ぎない。彼らは一応の代理人ですらないわけだ。G8は、今世界で行なわれている「まったく民主主義的でないない決め方」の代表みたいなものだ。
G8は、非公式の会合でありながら、それでも大まかな世界の動向を決めてきた。
70年代の半ば頃から、保護貿易主義は自由貿易主義に取って代わられ、多国籍企業が世界中をマーケットにして活躍する環境が整えられていった。サミットは「資本の自由化」を目的としていたのだ。G8はWTOや世界銀行やIMFと同じように、この「新自由主義グローバリゼーション」という悪夢の推進役になってきた。だから、新自由主義グローバリゼーションに反対するなら、G8にも反対するのは当然のことだ。
もう今日になってしまったが(しかも雨だが)、29日に東京・新宿で、洞爺湖サミットに反対する大きなデモがある。
G8サミットを問う連絡会HP
http://www.jca.apc.org/alt-g8/ja/node/280
このデモの出発前に挨拶する予定のスーザン・ジョージは、70年代後半のデビュー作『なぜ世界の半分が飢えるのか』で、グローバル・アグリビジネスの責任を追及した人だが、当時はまだその実態も明らかにされはじめたばかりという頃だったと思う。それ以来この人は、今に至るまで、多国籍企業や新自由主義グローバリゼーションに反対する運動の先頭に立ってきたのだった。
スーザン・ジョージ来日日程
http://www.jca.apc.org/alt-g8/ja/node/268
70年代後半には、第三世界の貧困の問題は我々自身の切実な問題とは言えなかったかもしれない。けれども、今は違う。日本を含めた先進国にも同じように貧困の問題が起き、我々が毎日買っている食品や石油の値段の高騰は、世界中を同時に圧迫して、各地で反対の運動が起きてるのだ。
その責任はやはり、この世界の経済の仕組みにある。
ちなみにサミットが行なわれる北海道でも、もちろん反対運動は行なわれる。
http://www.jca.apc.org/alt-g8/?q=ja/node/215
http://www.counterg8forum.org/
と言っても、「なぜサミットに反対?」と思う人がほとんどなんだろうけど、これは我々の日々の生活に関わってる話なんであって、世界的に見たら反対するほうが普通だったりする。
参考:
『G8サミット体制とはなにか』 栗原康著 以文社
『徹底批判 G8サミットーその歴史と現在』 ATTACフランス編 コリン・コバヤシ、杉村昌昭訳 作品社
写真は去年ドイツで行なわれた反G8のデモ。