2%の人々が世界の富の半分を独占している

世界の所得の配分.gif国連大学の調査で以下のことがわかった(註1)。

●世界の家計資産の半分以上は、最も裕福なわずか2%の人々が独占している。
●同じく、1%の人々が40%の資産を独占している(2000年)。

●貧しい半分の人々が所有する資産は、世界の家計資産の1%にすぎない。
高所得国でも純資産がマイナス(負債)で、世界の最貧困層にランクされている人が数多くいる。

日本が世界で見たら裕福な国であるとは言っても、
厚生労働省の調査では、日本の貧困率は15.7%、つまり6~7人に一人が貧困という、98年以降最悪の数字だった。こんな貧困率の高さはOECD加盟国のなかでは、メキシコ、トルコ、アメリカに次いで第4位なのだ(註2)。


最富裕層1%の国別割合.gif普通に異常事態だと思う。こういう状況をそのままにしておいて、この世界で起きている「カネがない」とか「仕事が大変だ」といった問題をどうにかしようとしても、結局どうにもならないんじゃないか?

「無意味でも、これをやらないと皆が食っていけない」なんて言いながら、無駄な新製品やダムを作ってさらなるカネを稼ごうとするより、今ある富をより公平に分配するほうが先じゃないのか?

そして半分以上の富を独占されている98%の我々が、この一人が平等に一票を持っている民主主義の世界で、なぜこんな状況に甘んじているのかも知りたいところだ(富裕層による何らかのギミックが使われてるはずだ)(註3)。


(註1)最も裕福な2%が世界の富の半分を所有(国連大学、2006年)

http://www.unu.edu/HQ/japanese/news/news2006/mrj44-06.pdf
(註2)貧困率:日本15.7% 先進国で際立つ高水準(毎日)(ただしここで言っているのは、あくまでも「相対的貧困率」のことだが)

http://mainichi.jp/life/money/news/20091020k0000e040071000c.html
(註3)日本でもアメリカでもイギリスでも、70年代後半以降、富裕層への減税が進んだ。日本では83年まで75%だった所得税の最高税率が、08年には40%まで下がっている。多数決の社会でなぜこんなことが起きるのか?

参考:09年世界の億万長者トップ20(AFP通信)(1位はマイクロソフトの社長.だが、11以下に並ぶウォルマート社一家4人の合計資産はそれをはるかに上回っている)

http://www.afpbb.com/article/economy/2580956/3906177

フォーブス長者番付・億万長者ランキング(日本の富豪40人)2009年(1位はユニクロの社長)

http://memorva.jp/ranking/forbes/200902_japan_richest40.php

図上は、「シャンパングラス」と呼ばれる所得の配分の偏りを示す図(2割の人が8割以上の富を独占している。92年)。下は、世界の最富裕層1%の人々の国別の割合(国連大学)。