誰にでもわかる資本主義の定義

make capitalism history.jpg資本主義とは何か? 平凡社の『世界大百科事典』には、次のようにわかりやすく書いてある。

「資本主義とは利潤の獲得を第一の目的とした経済活動のことをいう。」

「貨幣が元手として投下され、もうけ(利潤)とともに回収されたとき、貨幣は利潤を生み出す資本として用いられたことになる。」

「資本主義経済においては、生産活動も生産の必要そのもののためになされるのではなく、利潤の獲得のためになされる。」

「利潤の獲得はさまざまの機会をねらって行われる。ある品物を安く買ってきて別のところで高く売ることによって、また、なにか品物を作ってそれにもうけをつけて売ることによって、さらには貨幣を人に貸しつけて利息をとることによっても、利潤は獲得される。」


つまり、例えば資本家がシャンプーを売る時、「10人いるから3本くらいあれば足りるだろう」ということは問題ではない。問題は「1本につき10円のもうけがあるから、3本なら30円のもうけだが、ひとりに1本ずつ売れば100円のもうけ、ひとりに2本ずつ売れば200円のもうけになる。なんとか2本ずつ売れないものか?」といったことなのだ(註1)。
それはシャンプーという品物でなくても、服でも自動車でも缶ジュースでも、何でもいいし、また製造業でなくてもいい。「こっちで買ってあっちで売れば一個につき10円のもうけになるから、10個売って100円のもうけにしたい」といった商業でも(註2)、「5%の利率で100円貸せば5円のもうけになるから、10人に1000円ずつ貸して500円もうけたい」といった金融業でも何でもいいのだ。

今、実際にこれらは一体化してしまっている。


もうけを大きくする方法は大量に売りつけることばかりではない。元手に使うカネ(コスト)をもっと安く済ませることでも、もうけは大きくなる。こうして、労働者の人件費は削られ、原材料が安く買い叩かれるのだ(註3)。

もうけを増やすために資本家は、より安い資源や労働力、たくさんの購買者やカネを借りる人(投資先)を求めて、世界を隅々まであさり続けている。

こんな視点で経済活動を続けられたら、モノとゴミは無限に増えつづけ、貿易は無限に拡大し、世界の負債も無限に増えていく(実際には無限になんて不可能なのだが)。
こうして環境破壊とエネルギーの浪費と格差が世界中で広がる。
我々にも資本家の仕事を手伝ってもうけをわけてもらうことしか、生きるすべがなくなってくる。

問題の中心はこのグローバルな資本主義なのだ、ということは確認しておきたい。


(註1)我々が豊かさを追求したために、モノの溢れた社会になったかのように言われるが、単に売る側のもうけ追及の結果にすぎないのかもしれない。
(註2)株や通貨を、安い時に買って高い時に売るのも同じこと。

(註3)金融の場合も、より安い利率で借り入れたカネを貸し出せば、もうけは大きくなる。金利ゼロで資金を集められるなんて、銀行にとっては願ってもないことであるはずだ。

図の”make capitalism history”とは「資本主義を終わらせろ」の意味で、今のグローバル資本主義に反対するムーブメントにおける重要なスローガン。