2010年02月27日

ナイキ公園というブランド戦略(追記あり)

Our PlanetTVによる宮下公園ナイキ化問題ドキュメンタリーの上映ツアーが始まった。自分も3月19日(金)に渋谷区内“某所”で行なわれる上映会後のシンポジウムに参加する。

この小さな公園をめぐって、恐ろしく裾野の広い何と何が対立していたのかは、もはや明らかだ(前々回の日記の最後のほうを参照)。

「宮下公園」から世界を見つめる〜上映&スピーキングツアー2010

ナイキのポスター.jpgそれにしてもナイキは、自社の商品の宣伝もせずにこんな活動をして儲かるのだろうか? 儲かるのだ。
例えばYouTubeでナイキのCMを見てみると「ナイキ」という名前すら言わず、スポーツ選手の“クール”な映像と“just do it”というコピーと、スウッシュというあのロゴマークが出るだけだったりする。
これは“ブランド・マーケティング(ブランディング)”というかなり前から主流になっている広告戦略で、従来のように個々の商品の長所を強調するよりも、自社ブランドのいいイメージを消費者に植えつけることで、そのブランド商品全般を継続的に買わせようとしているのだ。

より最近重視されてきたのは、企業が社会貢献活動によってイメージをよくする“ソーシャル・マーケティング”だが(註1)、ナイキのように企業名がブランドそのものであるなら、これもまたブランドの宣伝になる。
こういう流れのなかで、ナイキは代々木公園にバスケットボール・コートを作り(註2)、ジョーダン・コートを作り、そしてついに宮下公園にまで進出しようとしているのではないか。ナイキ公園化もやはりブランド戦略なのだ。

自分たちの貴重な“公共”や“共有地”や“親密圏”や“つながり”や“共同体”を、こんなくだらないカネもうけにぶち壊されないためにも、頑張ってシンポジウムやろうと思う。


(註1)今なら”CSR(企業の社会的責任)”という、環境保護や「南」の国の貧困援助といった社会貢献活動が流行っている。ただし、実態は自社の環境破壊や搾取を覆い隠すために行なわれる場合が多く、こうしたエコ活動は「グリーン・ウォッシュ」と呼ばれ批判されている。

(註2)代々木公園 バスケットボールコート開設について(東京都建設局) その2年前には、同公園にバスケット・ゴールも作っている。どちらもカネを出しているのはナイキ。

参考:ブランドとは何か(入門編)(ナイキの例も挙げられている)
図は、スター選手の写真、「私たちは皆目撃者だ」のコピー、そしてロゴだけが描かれたナイキのポスター。こうしてブランドを”クールでカッコいい”と思わせることこそ彼らの狙いだ。


ナイキ・ボイコット・キャンペーン.bmp追記:ついにナイキ・ボイコットキャンペーンも始まった! ⇒NIKE BOYCOTTE CAMPAIGN 
このページには、宮下公園ナイキ化やナイキの搾取工場に関する詳細な情報が紹介されている。

追記2:
ナイキは、工場労働者の搾取で世界から批判を浴びた後の90年代末頃から、PLAY(Participating in the Lives of American Youths:アメリカの若者の生活への関与)という対地域社会戦略を開始している。これはアメリカ中の都市や貧しい地域に遊び場を寄付して、子どもをスポーツ(と自社ブランド)になじませようとするもので、これを世界中に展開しようと計画していた(この頃からリサイクルなどの環境対策プロジェクトも立ち上げている)。
この日本版が、東京都や渋谷区への靴をリサイクルしたバスケットボール・コート寄贈であり、ナイキパーク(結局は”有料の”スポーツ施設になる)なんだろう。彼らは世界に、着々と自分たちの宣伝スペースを拡大している。
そして、この逆風のなかで渋谷区は、11月オープンまでの工事スケジュールまで出してきた。24日(水)にはナイキによる説明会も行なわれる。
渋谷区、宮下公園の工事日程を公表(Our Planet‐TV)
これに反対するアーチストたちのアクションも、今宮下公園で(!)始まっている。
A.I.R Miyashita Park 宮下公園アーチスト・イン・レジデンス
その他、16日朝からの着工を止める集まり他、もろもろの反対アクションもあり。守る会

posted by 鶴見済 at 13:52| 宮下公園ナイキ化問題 | 更新情報をチェックする