2010年03月25日

ナイキは説明会に来なかった(追記あり)

説明会くらい just do it.jpg昨日行なわれた宮下公園の工事説明会は、主役のナイキジャパン社が突然欠席して、大変な騒ぎになった。

説明は、ナイキから設計図を貰い工事を受注しただけの東急建設から10分ほど。当然質問は渋谷区側へと向かうが、始終司会者が「工事への質問をしてください」(つまり東急建設に質問しろ)と繰り返すばかり(東急建設に聞きたいことなんてあるわけがないのに、だ)。


しかも、渋谷区公園課の対応がまたひどかった。「なぜナイキが来ないのか?」と聞かれれば「全権を委任している東急建設に来てもらった」、「区民・市民の要望を聞く気がないのか?」と聞かれれば「これ以上は聞く気はない」、「なぜ公園の名前を広告に使うのか?」には「広告ではなく“名称看板”だ」、その他「公正な民主的手続を踏んで行なった」「条例上は宮下公園の名前のままだ」等々、ありとあらゆる“お役所答弁”が繰り出され、1時間で会は一方的に終了。

100席ほどの会場に入れてもらえず外に溢れた人たちも、中で納得がいかない人たちも当然怒り出して、もみ合いが起きた。工事説明会なんてものに行ったのは生まれて初めてだったが、こういうものだったのかと、ある意味感慨深かった。少なくとも、ナイキや渋谷区の姿勢はこれでハッキリしたと思う。


こんなことが長い間国中で行なわれるうちに、我々はきっと民主主義を諦めてしまっていたのだ。
宮下公園の件は、色々な意味で絶好の機会だ。この機会に、この国に溢れかえっている土木建設工事が果たして民主的に計画されて、進められているのかどうか、そもそもそんなものが必要なのかどうかも考えたい。

関連日記:スポーツ用品はクールなのか?
図はナイキの広告に黒人少年が立小便をしているカルチャー・ジャム作品。”Just Do It”だの”フェアプレー精神”だのというナイキの謳い文句がいちいち虚しい。
ちなみに宮下ゲットー・ガーデンには、ねぎとミントが加わった。


追記:
朝日新聞に掲載された工事説明会についての記事では、「地元住民らから『早く工事を進めてほしい』との要望が出る一方」、支援団体の関係者からナイキから説明がないのはおかしいなどの声が上がった、と書かれているが、これは違う。自分の記憶では、住民の方の「早く工事を進めてほしい」との発言はひとつだけで、ほとんどの質問は、支援団体関係者に限らず利用者や地元の方からも出された、この工事や渋谷区の姿勢に対する疑問の声だった。

マスメディアは広告主からカネを貰って成り立っているのだから、トヨタのリコール事件のようによほどのことがないと、そのデメリットになるようなことは書かないようになっている。⇒渋谷の宮下公園整備 「来月から工事」 区など方針示す

 

追記2:『ソトコト』2005年5月号には、宮下公園ナイキ化の推進者であるハセベケン(長谷部健)区議と、ナイキ・ジャパンのPRマネージャー(マーケティング本部でバスケットゴールの寄贈など“社会貢献”事業を立ち上げた張本人)水上陽子氏の対談が載っている。”社会貢献”と称した自社の広告・イメージアップ戦略を強調する企業、それを「かっこいい」「素晴らしい」「いやー、ナイキはいいなあ」と絶賛する区議会議員の“癒着”が読める。こんな状態で、ちゃんとした競争入札が行なわれるわけがない(長谷部氏が理事長を勤めるNPOgreen birdは、毎年ナイキジャパンからビブスの寄付を受けている)。
ちなみに大企業が行なうCSR(企業の社会的責任)活動として一般的な地球環境保護活動などと比べて、ナイキパーク建設は“社会貢献”と呼ぶには、自社の広告的メリットが大きすぎる。スポーツ公園の利用者は、ナイキの顧客でもあるのだ。少なくとも施設命名権の買い取りが社会貢献だなんて話は、聞いたことがない。⇒水上陽子 ハセベケン

追記3:京都では、梅小路公園にオリックス不動産が建てようとしている「京都水族館」に、市民の側から反対運動が巻き起こっている。ただしこの場合、野宿者の追い出しもなく、公園全体を自社に都合のいいように改造するわけでもなく、施設に企業名も冠していないなど、オリックスのほうがナイキよりよほど良心的だと言える。
「水族館はいらない」「市とオリックスは一方的」 水族館住民説明会で反対意見相次ぐ
「京都水族館」反対7割/梅小路を舞台に「大規模開発か?」の推測も浮上

posted by 鶴見済 at 11:41| 宮下公園ナイキ化問題 | 更新情報をチェックする