「経済界優先」という逆コース(追記あり)

法人税率の推移.gif直人にここまでムカつかねばならないのは、とても残念だ。

「国際競争力高めるため」と言って、企業には減税して、アジアへの進出を助ける。その代わりに、一般人には消費税を増税する。理由は「財政赤字だから」。こうして「経済成長」したがる。

彼がやろうとしているこれらの政策は、自民党の安倍内閣がやろうとしていたことと、まったく同じである。


なぜそれほど同じなのかというと、日本経団連をはじめとする経済界(財界)は、自民党政権時代からずっと、これらの政策を強く政府に迫ってきたからだ。今や菅直人は、経済界からも自民党からも、経済界の一員である大新聞からも拍手を送られている。

そして安倍内閣がこの政策をやりたくてもできなかったのは、参議院選挙で小沢民主党が過半数を取って、これに反対したからだ。こんな格差を広げる政策には、一応「国民の生活が第一」と謳っていた民主党は、当然反対だったのだ。

参考日記:企業減税が遠のいてよかった (2007年9月15日)


一体どういう状態になるまで、いつまで経済成長したいのか、なんてことを言うよりも、単に国民より経済界の利益優先へと民主党が変わったことに驚くべきだろう(註)。


沖縄の基地は「日米合意の通り」に辺野古。そしてこの経済政策。親米、親経済界の政治だ。今や自民党が民主党との違いを出すのに苦労しているのだから、これらの政策が気に入らない人は、今度の参院選こそ、いよいよ社民党か共産党に入れるしかなくなったはずだ。理屈としては。それでもこの二つが支持されないとしたら、もうそれは理屈を越えた何かだとしか言いようがない。

(註)菅直人は、海外への大使に商社や証券会社の幹部を起用するという、異例の人事も行なっている。それらの企業に都合のいい国交を築くなと言うほうが無理だ。
中国大使に伊藤忠相談役の丹羽氏決定 異例の民間出身(朝日)

図の数字は、法人税の実効税率ではなく表面税率の推移。税率の高かった80年代に、日本は驚異的な国際競争力で工業製品を輸出して“貿易摩擦”を起こし、叩かれていた。

(追記)
日本の財政は危機的ではないというお墨付きが、G20とIMFから与えられてしまった。
日本の国債は、ほとんどが国内で買われている(つまり債務があっても”対外債務”ではない)ので安全である、とは以前から言われていた。信用がグラついた時に、一気に売られるようなことはないだろう、と。
それなのに、「このままではギリシャのようになる」と消費税増税の必要性を強調した菅直人に、「ふざけんな」の一言もないのはなぜか。
「13年までに財政赤字半減」 G20閉幕、日本は例外 (朝日)
「日本については、経済規模に対する債務残高が飛び抜けて大きいが、そのほとんどが国内の貯蓄に支えられているため、例外的に目標を守らなくてもよいことにした。 」
日本の財政「差し迫ったリスクない」 IMF専務理事 (朝日)