セブンイレブンで1日に捨てられる弁当、おにぎり、パン、惣菜類の合計は、呆れ返ることに“1億8千万円分”にのぼる(註1)。1個500円の弁当にすると、36万個分に当たる(1店舗につき、大体弁当30個分だそうだ)。
“1年に”ではなく“1日に”というのにも驚くが、“日本で”でなく“セブンイレブンで”というのにも驚く(註2)。
なぜこんなことになるのかというと、セブンイレブンでは、各加盟店が大量に仕入れて大量に捨ててくれたほうが、本部が儲かる会計方法を取り入れているからだ(ローソンやサークルKサンクスも同じ)。売れ残った食品の負担は、各店に押し付けられるので、当然各店は見切り値下げ販売をして、食品を売り切りたいのだが、本部は儲けが減るのでそれを禁止してきた(註3)。
日本には食べ物の輸入が不可欠だ、などと言って、わざわざ遠くの国から膨大なエネルギーを使って運んできた食べ物を、こんなふうに捨てることで、特定の企業が儲ける。そのすぐ側で、食べるもののない野宿者のための炊き出しがボランティアで行なわれている。
経済学の父・アダム・スミスは、個人が勝手に利益を追求していけば、それが社会全体の利益につながると考えた。バカかと言いたい。
(註1)08年現在の数字。
(註2)コンビニからは年間500万トン、日本全体では2000万トンの食べ物が捨てられる。世界の食料援助の総量は年間850万トンにすぎない。
(註3)09年には、セブンイレブン本部の見切り販売の禁止に裁判所から独占禁止法違反の判決が出た。本部はこれを受けて、廃棄分の15パーセントを負担することにしたが、これも「加盟店が廃棄を怖れないようにするため」らしい。また、その時に言われたように見切り販売が広がってきているとも思えない。
ただし、ブランドイメージを守るために、安売りするくらいなら捨てる、という習慣なら、服をはじめとする多くの業界に行き渡っていると思う。
参考図書:『セブン‐イレブンの正体』 古川琢也+週刊金曜日取材班、2008年
『NHK 地球データマップ』 NHK「地球データマップ」製作班、2008年
参考映像:コンビニエンスのお弁当ができるまで (サイエンスチャンネル。こうした労働も、捨てられた分だけムダになっている。このシリーズ「The Making」は、身の周りのありとあらゆる工業製品ができるまでを紹介していて、必見である。)
そして、関係ないが、参院選はみんなの党ではなく、社民か共産に入れるべきだ。