●今メキシコでやっているCOP16では、日本の代表がどの参加国よりも強く京都議定書の延長に反対して非難を浴びている。つまり、「北」も「南」も含めたすべての国のCO2排出を規制できないなら、いっそのこと規制なんかなくせと言ってるわけだ。
これは自動車、鉄鋼、電気、石油など、CO2をもっと出したい日本の産業界団体の要望そのままだ。こんなものが、我々の総意ということでいいのか?
そもそも「北」の国々が工業化したせいで地球が温暖化しているのだから、こういう態度は今叫ばれている”クライメート・ジャスティス(気候問題における公正)”に真っ向から刃向かうようなものだ。
京都議定書の延長に反対 「公平な枠組みを」 業界9団体が提言(産経)
●三菱重工などの軍需産業が、武器輸出規制を緩和しろと政府に圧力をかけていた。もともとはヨーロッパやNATOに日本と共同で作った武器を売りたいアメリカ(の産業界)の要請だったことが、ウィキリークスのおかげでバレたが、ここでも日米の経済・産業界の儲けの前で道理が引っ込んでいる。
武器輸出三原則の見直し 防衛相が意欲、防衛産業は期待(朝日)
他にも企業減税(註1)、エコポイント(註2)、TPP参加、エコカー減税(註3)、原発輸出、地デジ移行……と、どれも経済・産業界の上層部の望むがままの、時代に逆行した政策ばかりが推し進められている。
我々は、彼ら(とそれに従う政治家やマスコミ)にもっと怒っていいのだ。彼らが儲けなければ、みんなが生きていけない、なんていうのも向こうのプロパガンダなんだから(註4)。むしろ彼らが富を独占しているせいで、皆にカネが行き渡らなくなっているのだ。
(註2)家電エコポイント特需、一部で品薄 納品遅れ長期化も(朝日)
薄型テレビに買い換えることは、何らエコではないが、そんなことはもう誰も気にしていないらしい。ちなみにエコポイントは、世界経済危機でピンチに陥ったはずの家電業界を救うために取られた措置で、ここまで儲けさせるためのものではなかったはずだ。
(註3)エコカーに買い換えることより、クルマに乗らないようにすることがエコだが、この国ではそんな常識は通用しない。
(註4)「まず富裕層が儲ければそのおこぼれが下層まで行き渡り、社会全体が豊かになる」という「トリクルダウン(おこぼれ)説」は、経済学でもとっくに否定されている。
「トップは8470万円の日本自動車工業会で8年連続。2位は日本鉄鋼連盟、日本電機工業会、石油連盟が8000万円で並び、トヨタ自動車、キヤノンと続いた。」
これらの政治献金上位団体は、軒並み京都議定書延長に反対している。
若干関連日記:反自動車産業、反経済成長、反買い替え
写真はCOP16会場のカンクンで、フェアトレード団体・オックスファムがやった、ボトル入りのメッセージ・アクション。