東芝、日立、三菱重工にも責任がある

東芝新聞全面広告 2011年2月27日.jpg電力会社がなぜ原発を推進するのか? 80年代から言われているのは、設備投資した金額をそのまま電気代に上乗せしていいことになっているからだ(註1)。原発は一基3000~5000億円と、火力発電所の3倍も高くつく。その分だけ電気代を上げることができ、儲かる。そのせいで日本人は、「世界一高い」と言われる電気代を払わされ続けている。

ただしこの構造は、ややわかりにくい。


その点、東芝、日立、三菱重工という、日本に3つしかない原発メーカーが原発推進にこだわる理由は、とてもわかりやすい(註2)。受注する側としては、当然高いほど儲かるのだ。ここ数年の日本の原発ブームの重点は「原発の輸出」にあり、その中心になっていたのは、電力会社よりも、これら3つの原発メーカーだった。これら3社は日本・世界の原発の巨大な推進力であり、逆に彼らが原発を作る気をなくせば、少なくとも国内の新規増設は難しいだろう(註3)。

特に東芝は、「原子力世界シェアNo1」「世界の原子力リーディイングカンパニー」を自称し、原発の輸出やウランの採掘にも熱心だった。もちろん、輸出される国の人々も、福島の人々も、我々も怒っている。それなのに「原発作りはやめない」と公言する、こういう”神経”にどう対応したらいいのか?(註4)


エネルギーシフトパレード.pngとりあえず24日もデモがあってよかった(註5)。こんな時にデモで、同じ考えの人たちに会って、思い切り言いたいことが言えなかったら、頭がおかしくなりそうだ。そのくらいこの社会では、マスコミやら癒着やらにねじ曲げられて、当たり前のことがまともに通らない(註6)。


(註1)87年広瀬隆の『危険な話』でも、『世界』2011年1月号の原発特集でも、そう言われている。このサイトでも。 ⇒なぜ原発は推進されるのか (よくわかる原子力)

(註2)「原発の必要性変わらない」 佐々木・東芝社長 (日経)

「「長期的には原発の必要性は変わらない」として経営の柱とする戦略は変えない考えを示した。」

東芝の社長は原子力事業部出身。
その他の最近の推進論としては、次のようなものが。

急接近:中曽根康弘さん (毎日)

「この苦難を突破し、先見として活用すれば、日本の原発政策はより強固なものとして発展すると思う。そうしていかなければならない。」
中曽根(92歳)は、日本で一番熱心に原発を推進してきた政治家である。こういう人物にとっては、「核を作る技術を持っていたい」という動機が大きいのかもしれない。
経財相、電力「原子力に頼る状況から抜け出すことはできない」 (日経)

「「日本人の生活レベルをどんどん落としてよいならば、江戸時代に戻ることもできる。原子力は引き続き重要なエネルギー源であり、日本が電力生産を原子力に頼る状況から抜け出すことはできない」と語り、原子力エネルギーの必要性を改めて強調した。」

経財相・与謝野馨は日本原子力発電出身で、中曽根の秘書も勤めている。

こうして見ると頑なな原発推進論には、「今さら否定できないから」という理由もあるように思える。老人の保身のために子供や若者が将来を脅かされるのは、完全な不正だ。

(註3)このあたりの話は、以前の日記を参照。⇒なぜ原発は推進されるのか?

(註4)自分は東芝、日立、三菱重工の3社に、メールで「まったく安全でないことがわかったのだから、原発の製造と輸出をやめてほしいが、やめる気はないのか?」という質問・意見を送った。が、まだ返事がない。

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(註5)バイバイげんぱつ エネルギーシフトパレード (自分はこれに行く予定)

4/24原発とめよう!東京ネットワーク、集会&デモ

(註6)新聞やテレビにも、原発批判が大きく出るようになり、論調は変わってきている。そもそも首相が、原発推進を見直すと繰り返し言っているのだ。

首相、原発増設の凍結示唆 (朝日)

写真は、東芝が2011年2月27日に新聞に出した全面広告。原発で儲けてきた企業は、損害賠償も負担すべきだ。「原子力のすべてを担う」と言っているわけだから。東芝製品の不買は、人として当然するべきことのひとつ。