電力を浪費しているのは製造業

日本の電力使用量内訳 2005年.bmp●「原発がなくても電力は足りている」(註1)、という批判をなかったことにして、「原発がないから電力不足」の猛キャンペーンが始まっている。

日本は世界でもアメリカ、中国に次いで電力を使っている国だ(4位ロシア、5位インド)。ドイツやイギリスやフランスの使用電力量など、日本の半分かそれ以下だ。だからもともと、日本は電力を使いすぎなのだ。

そして国内でその電力を一番浪費しているのは、家庭のクーラーやオフィスの照明などではなく、「製造業(の工場)」が圧倒的だ。製造業のなかでも、電力を大量に使っているのは金属機械(自動車、家電を含む)、鉄鋼業、化学工業などだ(エネルギー多消費型の業種は他に、セメント、製紙など)(註2)。けれどもこの国に生きていて、鉄筋コンクリートや鉄骨、ビニールやプラスチックが多すぎると思わない人がいるだろうか? そもそも工業製品自体が多すぎる。 

電気を使わないのは簡単だ。これら余計なものの生産を減らせばいいのだ。今、電気を浪費している製造業がまったく批判されないのは、驚くべきことだ(註3)。けれども、こうした重厚長大型製造業は日本経済界(というかこの国)の中枢にいるので(経団連会長・米倉は住友化学の会長)、なかなか批判できない。


国別電力消費量.gif(註1)原発なくても電力足ります 環境保護団体が試算 (共同)

電力が足りていることは、多くの論者・専門機関・マスコミが指摘している。2003年春には東電の原発がすべて止まったが、電力は足りていた。


(註2)日本の製造業エネルギー消費の推移 業種別の電力消費量については、EDMC(日本エネルギー経済研究所)の統計による。


(註3)この産業はCO2排出の多さでも、環境団体から批判されてきたが、なぜか社会的にはまったく批判を受けていない。⇒ 企業の各事業所の温室効果ガスの排出実態 (下のほうのファイルに、各企業の工場ごとの電力消費量まで書いてあるが、細かい。自動車や電気機械の工場も電力を浪費している)

Radio Freedomまでが、あまりの原発へのムカつきで復活してしまった! 鶴見済、神長恒一、ココペリが、「原発が大好きなヤツが本当にいるのか?」「このもやっとした権力は何か?」などの日本社会の話、デモの話、自然界の話などを交えつつ、311以降を振り返り、怒りと希望を語ってます。

ポスト3.11  ふざけるな、原発社会!@下北沢・気流舎  (Rdio Freedom)



(参考リンク)

モンゴルに国際的核処分場建設を 東芝が米高官に書簡 (共同)

「東芝の佐々木則夫社長が5月中旬、米政府高官に書簡を送り、使用済み核燃料などの国際的な貯蔵・処分場をモンゴルに建設する計画を盛り込んだ新構想を推進するよう要請、水面下で対米工作を進めていることが1日、分かった。」

単なるゴミを「南」の国に送るだけでも国際的な非難を浴びているのに、これは言語道断だ。また、一企業の社長がここまでやるのかと驚かされる。東京と福島や青森の関係は、日本とモンゴル、日本とアジアの関係、つまり南北関係に等しい。⇒ 東芝へのご意見・ご要望(不買するだけでなく、自分の不買を伝えよう)

前原前外相「急激な脱原発はポピュリズム」 首相を批判 (朝日)

ポピュリズムというのは、「X JAPANのファンだ」「プレスリーが好きだ」などと言って、「知能が低い」と見なしている国民に「小泉最高!」と言わせることであり、国民の意見を政治に反映させることは、それとは全然違う。それだけが政治家の仕事だ。


図上は、2005年の電力消費量の内訳。家庭の努力など大した影響はない。下は主要国の電力消費量。