「灰色の存在に気がつくと、偽造された歴史、ねつ造された『普通の感覚』、というものが見えてくる。一度気がつくと、周りにあるものが、今までとは全然違う風に見えてくる。(…)『何だ、こんな簡単なことに騙されていたのか。考えてみれば当たり前だ。何で気づかなかったんだろう』って、自分にも腹が立つ。」
───小沢健二 『うさぎ!』第7話より(註1)
「ひとつはっきりしているのは、単に原発の問題ではないと、みんな思っている。むしろ日本の社会が持っていたそもそもの構造の問題だ。」
―――毛利嘉孝(社会学者)(註2)
(註1)『子どもと昔話』31号掲載。この雑誌は図書館にあるかもしれない。
(註2)『radioactivist 』予告編より
●「原発は安全」という明らかな嘘に、これほど完璧にだまされていたことを、我々はこの機会によくよく考えてみなければならない。なぜ日本に住む我々は、これほどあっさりとだまされるのか、を。
自分なりに理由を考えてみると──、
①まず、少数の全国紙が国中で圧倒的に読まれているので(それも朝夕2回も)、それらを押さえてしまえば世論操作しやすい(註3)。
②記者クラブの存在。全国紙とその系列化したテレビ局(註4)、NHK、通信社2社(共同、時事。地方紙はここから配信を受けている)。これらの大メディアばかりが記者クラブのメンバーとなって、官僚や政治家や経済界と癒着しつつニュースを貰っているため、ニュースも社説も「全部同じ」になりやすい(例:TPP参加、消費税増税。対抗できるのは『週刊金曜日』『世界』『赤旗』くらいか?)。
③スポンサーに対する弱さ。スポンサーを降りる、広告を出さないと脅されれば、テレビに出る人の私生活での発言にまで口出しを許してしまう、この国のメディア(特にテレビ)の大企業に対する弱さも原因。
これは原発に限った話であるはずがない。大企業の利益がらみで進めている大事は、同じように批判禁止になっているはずだ。
④人々が怒らないこと。『赤旗』が明かした、日本原子力文化振興財団の「世論操作マニュアル」は、我々が戦時中も正力松太郎の頃も、今も、変わらずエリートに世論操作されていることを教えてくれる、戦慄すべき内容(註5)。それでも人々が文句を言わなかったことも大きな原因だ。
(註3)世界の新聞の発行部数上位100位(05年)(World Association of Newspapers)
1位読売、2位朝日、3位毎日、4位日経、5位中日、7位産経。これは日本のではなく、世界のランキングである。
(註5)原発推進へ国民分断、メディア懐柔/これが世論対策マニュアル (赤旗、この記事は必見!)
「読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」「停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが、大衆であることを忘れないように」
●7月9日(土)は、渋谷で久々の脱原発デモがある。文句があるなら言わないと、ナメられるだけだ。
(参考)
「英政府が反原発の機運が高まらないよう、産業界に世論を誘導するよう求める電子メールを送っていたことが1日分かった。」
NHKの「シリーズ原発危機」では番組で使うアンケートを受け付けている。答えよう。
図上は、世界と日本の新聞発行部数比較。データは、外国紙が96年、国内が98年とやや古い。下は各国の新聞紙数、つまり新聞の種類数(08年)。日本は16位と少ない。つまり、日本ほどいくつかの新聞だけが読まれている国は珍しい。