あとがきに書かれている、
「そしてなによりも、二十世紀になってから、日本ほど長期にわたって侵略戦争を続けてきた国はほかにはありません。」
の一文を読んで、まあそうだと思った。
この国は、太平洋戦争だけでなく、日露戦争、韓国併合、日中戦争……と、半世紀にもわたって、ずーっと途切れなく、侵略戦争をやってきたんだった。確かにそんなことは、ナチスドイツだってやってない。
ここに書かれているのは、非常によくまとめられた、その詳細な記録。
戦場や空襲での悲惨な話だけでなく、国内(銃後)で起きていた忌々しい出来事もちゃんと書かれているところがいい。
”隣組”による相互監視や密告の強要。愛国婦人会に大政翼賛会。小学校が軍事教育しかしなくなったこと。敗戦の直前に、武器もないのに本気で準備された本土決戦「全軍刺し違え戦法」。そして敗戦直後には一転して「一億総懺悔」の強調……、等々。
地獄だな、と思う。こんなことが本当に起きるのか、と呆然とする。
そして人間とはこういう生き物だと痛感する。
今でもやっているではないか。戦争に反対するグループの内部でもやっている。
日本の戦争についての入門書としては、ベストだと思う。 まずどこの図書館にも置いてあるので、借りて読める。