テレビの民放(地上波放送)を見ている人はこんなにたくさんいるのに、それにカネを払ってる人はいない。
では、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京……、といった会社の経営は、どうやって成り立ってるんだろうか?
当然、ほとんど全部、9割以上は企業からの広告収入(CMとスポンサー料)で成り立っている。
番組制作費や出演者のギャラだけでなく、会社員の給料も、社屋の維持費も、下請け会社に支払うカネも、そこから出ているのだ、信じがたいことに。
だからテレビは、基本的に広告主の企業を批判できないだけでなく、全体的に企業活動の応援をしているに決まっている(その鬱憤がたまって、時々特定企業の大バッシングになるのかもしれない)。彼らは、「番組」という商品を作って、我々視聴者ではなく、企業に売っていると考えているのだ。
基本的に情報の受け手からカネを取っているメディアは、新聞でも雑誌でも、受け手のために情報を流す建前を取っている。
けれども、雑誌なんかを見てると、広告収入に比重が移っていくにしたがって、「読者のため」よりも「企業のため」のページが増えてきて、広告と本文の区別がつかなくなってくる。そして民放テレビの場合は、初めから「視聴者のため」という建前すら取っていないわけだ。
企業は企業で広告費を使いすぎていて呆れるが、テレビには最も多くの広告費を割いている(そしてその広告費は、商品の価格に上乗せされていて、結局我々消費者がそれを払っている)。
テレビとは、企業にとっても最大の宣伝の場であって、この世にテレビさえなければ、こんな消費社会は成り立たないんじゃないかと思える。
つまり、テレビを見ていれば必ず、何かしらの点で企業のメリットになるように煽られている。テレビをなるべく見ないことは、それだけでも十分、反資本主義的な行為なのだ。
参考:有力企業の広告宣伝費 2006年版 日経広告研究所
http://www.nikkei-koken.gr.jp/study/01.html
(広告宣伝費上位10社のランキングが面白い。1位のトヨタ自動車の広告費は、年間1000億円を超えている)