それでも自然界は回っている

人間界でいかによからぬ事態が進行していても、自然界全体は相変わらずグルグルと回っている。
その自然界の一部分である生物界を大まかに三つに分けるのが、その回り方を説明するのに都合がいい。それが、動物と植物に菌類を加えた生物三界説だ(他にも分類法は色々あってややこしいんだが、ここでは微生物も含めた広義の三界説に従っておく)。

菌類(微生物)とは、例えばカビや酵母やきのこなど、ものを腐らせたり発酵させるなどして栄養を取る、植物のように光合成もしないし、動物のように動いて食べ物を取りもしない、言わば日陰者の一大生物群だ。
今の地球生態系においては、植物、動物、菌類(微生物)は各々、太陽の光で無機物から有機物を合成する「生産者」、それを食べて分解しエネルギーにする「消費者」、そして落ち葉や動物の糞尿も含めた有機物全般を無機物に戻す「分解還元者」とも言われる。
この第三の「分解還元者」がいて初めて、植物は根から無機物を吸い上げて枝葉を伸ばし、また光合成ができるわけだ。

こうして見ると、自分も含めた地球上のモノが、グルグルと循環していることがよくわかる。これが「有限なものを無限に使い回すシステム」などと言うものだが、自然界は大体こういう動き方をしている。

ヒトは古くから植物と動物の生物二界説を取ってきたが、物事は決して「生産→消費」なんていうふうに一方向に向かってないのだ。
人間界で言われている「リサイクル」も、こういう循環的な感覚にも根ざしてるのかもしれない。
一度使ったものは再利用していかないと、なんと言うか、「辻褄が合わなくなる」はずだから。