宇宙や星のことを考えてしまえば、人間界で起きるたいていのことは、どうでもいいことのように思えてくる。
最近の東京では、自分の子供の頃に比べたら星なんか見えないに等しいが、ではその夜空に通っているはずの「天の川」とは何だろうか? 実は、我々がいる「銀河系」という円盤渦巻状の星の集まりを、その内部から見た姿なのだ。つまり「天の川」は「銀河系」そのものである、と。
45億年前に、この大きなうずの周辺よりのあたりで太陽という恒星が生まれて、いくつかの惑星がその周りを回りだした。それらのなかで内側から3番目にある惑星が、この「地球」なのだ。
当たり前だが、地球が1回公転する時間が1年なので、その後地球が10億回公転した35億年前に、この地球上にひとつの細胞ができた。それが最初の生物だ。
それ以降、細胞は分裂と結合を繰り返して、少しずつ大きくバラエティに富んだ組織を形作っていく。その過程で、植物が大繁殖したり、「魚類の時代」を迎えたり、恐竜が絶滅したりと、生物界も色々劇的な事件に見舞われたが、200万年前にはついにヒトが誕生するに至った。
そして今では概数すらつかめないほど多くの、ヒトが名前を付けることができただけでも200万種にものぼる生物種が、この地球上に散らばっている。
ヒトはそんな生物種の一種なのだから、「人間界」というのも、その生物種の数だけある「○○界」のなかのひとつにすぎないのだ、基本的には。
そして太陽が燃え尽きるまであと50億年という説に従えば、地球もその寿命の半分くらいまでは来ていることになる。が、太陽が燃え尽きたところで、銀河系は相変わらず2・5億年に1回というスローペースで公転を続けていることだろう。
こんなふうに人間界を相対化して見ることは、地球生態系というものを理解するうえでも、あるいは精神衛生の面から見ても、特に細かい人間関係の悩みなんかに圧倒されてしまわないためにも大事だ。
だからといって、人間界のことがどうでもいいなんてことにはならないが、国民投票法がなにげに成立してしまった今、こんなことでも考えてないとやってられない。
図は増進堂・受験研究社HP http://www.zoshindo.co.jp/Rjiten.htm より