自分が毎日食べているものは、どこで誰が作っていて、どうやって運ばれてくるのか? こういうことはあまり想像できなくさせられてるが、日本の食料自給率が40%と非常に低いのを見ると、60%は海外から来ていることになる。
例えば、バナナはフィリピンから、小麦やトウモロコシはアメリカから、キウイフルーツはニュージーランドから、といった具合に遠路はるばる運ばれてきている。コーヒー、大豆、砂糖といった日常的に口にする食品も、大きく輸入に頼っている。
一体誰がこういう途方もなく面倒なことをしているのかというと、ネスレを筆頭とするグローバル(多国籍)食品企業だ。そういう企業が世界各地の大農場から、地球上のいたるところに市場を見つけては大量に送り込み、大々的に儲けている。
特に「南」の国々には、広大な場所で特定の農産物ばかり作るように仕向けて、安く買い叩いて、世界的な格差を広げている。そういった地域の人は、自分が食べるものを自分で作らず、その農産物を売ったカネで買うようになる。こういう植民地時代のようなモノカルチャー経済をやっていると、作物の値段が大きく下がったりした時に、いきなり飢えてしまったりして非常にマズイ。
(日本も、車と家電のモノカルチャー経済にさせられてるのかもしれないが)。
そして自分だって、そんな輸入食品を食べたくて食べてるのか、あるいは食べさせられてるのかわかったもんじゃない。
戦後日本の学校給食が、なぜか米ではなくパンだったのは、アメリカの「小麦戦略」のせいだった。アメリカは当時余った小麦を売りさばく先を探していて、「子供の頃パン食に慣らせてしまえば、一生パンを食べ続けるに違いない」と踏んだのだ。そして案の定、日本人のパン食習慣は増え続け、今も日本はアメリカ小麦の最大級の輸出先になっている。
「フェア・トレード」なんてことが言われるのは、もともとトレードがフェアではないからだし、「地産地消」(地元で取れたものを食べる)なんていう動きも、こうした食べもののグローバリズムに反対して、国内の農業を守る意図で行われてるわけだ。
食べものは、本来自分で作ったり獲ったりするのがベストだが、それが無理なら、例えば近所の野菜の直売店で、形は悪いが大きくて安いものを買うなど、途中にあまり大きい組織が入らないルートで買うほうがベターであるわけだ(そのほうがビタミンCの含有量も多くて得するし)。
もちろん、地産地消どころか、『とんがりコーン』みたいなものまで食べてるくせに、自分は何を偉そうなこと言ってんだろうとも思う。それでも、例えばこうやってグチを言ったり、グローバル化政策を進めている政府に反対するくらいはやってもいいし、やったほうがいいと思う。