我々は体を洗いすぎている

肌のかゆみ.gif肌の「かゆみ」は最近では、体を洗わないためではなく、むしろ体を洗いすぎるために起きると言われている。
皮膚の表面は、皮膚から出る脂(あぶら)と汗でカバーされているのが普通なのに、これらをあまりにも洗い落としすぎてしまうと、「バリア機能」がなくなって神経が過敏になってしまう。これが肌がかゆくなる一因なのだ(冬に風呂で全身を洗うのは、週に1~2回程度にして、あとは汚れやすいところを洗っているだけでいいという専門家もいる)。

人々が体を洗いすぎると得をする人というのも滅多にいないが、少なくとも石鹸とかシャンプーといった洗剤、ローションだの乳液だののスキンケア商品を作っている資生堂とか花王といった会社は儲かるはずだ。
人はいつからこんなに体を洗うようになったのか知らないが、自分が子供の頃はまだ、一般家庭でも必ずしも毎日風呂に入るのが当たり前ではなかったと思う。それが80年代の後半になると、もう「朝シャン」がブームになっていた。1日に2回も体のどこかを洗うようになった、と。
「朝シャン」ブームは、もともと資生堂が「朝にシャンプーをしましょう」とキャンペーンを打ったために起きたもののようだが、今では頭皮や髪の洗いすぎもバリア機能が損なわれるのでよくない、と言われている。

わざわざ体に備わっているバリア機能を洗い落とさせて、人工的に作ったバリアを塗らせて、それを2日に1回から毎日、さらには1日2回もやる生活習慣を全員につけさせることができたら、商売的には見事ということになるんだろう。そのためには、不潔恐怖を広めることだってするだろう。
が、そんなキャンペーンに扇動されまくっていては、我々の体がかゆくなってしまうばかりだ(アトピー性皮膚炎の広まりとの関係だって気になる)。

何度も言うようだが、こんなことを続けていては、我々の体がもたないし、夥しい資源が無駄になっていく。
もっと企業は批判されなきゃいけないんだが、テレビや新聞の大広告主になっている資生堂や花王のような企業を批判することは、マス・メディアにはとても難しい、というかよほどの根拠がない限り、タブーに近いかもしれない。