選挙が民意を反映しないわけ

今の選挙制度は、ちゃんと我々の「民意」というやつを反映できてるんだろうか?
ここしばらく、自民党がやりまくってる国会での強行採決は、ひとえに2005年の総選挙で”圧勝”させてしまったツケと言える。しかしその“圧勝”ですら、当時の小泉自民党がそれほどの国民の支持を得た結果かというと、そうでもない。

小泉前首相は一昨年「突然の衆議院解散→超短期決戦」という、準備ができていない野党にはことさら都合が悪い状況で選挙を強行して、史上第2位の296議席を獲得した(民主党は113議席)。
それでも
小選挙区での得票率は、自民党48%、民主党36%、比例代表区では、自民党38%、民主党31%で、過半数も票を取れていないうえ、2位の民主党との差もそんなには開いてなかった。特に東京では、得票率自民50%、民主36%だったのに、議席数は自民が23、民主はたったの1(菅直人だけ)だった。
1選挙区で1人しか当選者が出ない小選挙区制度では、2位以下の候補への票がすべて死票になる。得票率のほうがより民意に近いのに、それを議席数に反映させない、しかも大政党にばかり都合がいい制度をわざわざ採用してるのだ。
この時の“圧勝”もまた、ひとつには小選挙区制度のせいだったわけだ。


その小選挙区制度について参考になる記事を紹介しておく。


【小選挙区制改正問題】

小選挙区制改正問題の動きは、鳩山一郎内閣(1954~56)のときに、再軍備をはかるための憲法改正の実現をめぐってもちあがったが、世論の反対とゲリマンダリング(特定の政党に有利になるような不自然な形で選挙区を定めること)になりやすいというので、実施されなかった。
ついで、1973年の田中角栄内閣のときに自民党の得票数が50%を割ったため、小選挙区制と比例代表制の併用案を採用する動きがあった。しかし、これも世論と野党の反対によってつぶされた。
いずれの場合も、小選挙区制の採用によって保守党に圧倒的に有利となり、400議席以上を獲得するであろうことが推定されたからである。
(学習参考書『新現代社会』 田中浩他著、数研出版より)


「400議席以上を獲得するであろうことが推定された」!
つまり、国民の支持の有無にかかわらず、選挙のやり方しだいで獲得議席数なんていくらでも増やせるということだ。
(ちなみに、中曽根元首相が86年に史上最高の300議席を獲得したのは、「突然の解散→衆参同日選挙」という、選挙資金に乏しい野党にとって極めて不利な選挙を強行した時だった。)

政治家というのは何よりも選挙の専門家であって、勝つためにはPR会社を使ったり、有名人を候補に立てたり、ありとあらゆる手を駆使してくる。選挙に「民意」を反映させて、まともな民主主義をやろうなんて、はなから思ってないのだ。
7月の参議院選挙でも、こっちをだますためにすでにどんな手を打ってきてるのか、よく見ていていたほうがいい。そういう手口を知るだけでも面白いし。