世界の、とは言ってもヨーロッパがほとんどだ。以前から感じていたが、ヨーロッパに比べれば、日本の0円活動はまだまだ盛んではないと言えるだろう。
それらを紹介する前に、「共助」という助け合いについて少し。
ここであげたものは、大体「共助」と呼ばれる助け合いに相当する。
「助ける」という行為には三種類あって、
①自助=個人が自分を助ける
②公助=公(行政)が人を助ける(社会保障など)
そして、
③共助=人(民間人)が人(民間人)を助ける
の三つとされる。
前近代(日本なら江戸時代以前)では、特に村のなかで共助の役割はとても大きかった。けれども近代以降(日本なら明治以降)は、まずお金のやり取りが盛んになったので「お金による自助」が増えた。そして、国や行政の力が大きくなったので、公助も大きくなった。こうして共助は廃れた。日本では特に、高度成長期以降に廃れたと言われる。
0円活動が活発なヨーロッパには、共助の伝統が多少は残っていたのだろうし、インターネットの普及が新たな「共助の時代」を進めていることは間違いない。
『0円で生きる』には、これらの三つはどれも含まれているが、多いのはやはり「共助」の原理にもとづくものだ。これらはどれも大切であり、あまりにも自助や、家族による介護などの共助ばかり強調するのはよくない。けれどもこの社会では、共助はもっと見直されるべきだ。自助と公助のなかで、人々は孤立しがちになった。
共助が廃れて、代わりに日本には「他人は危ない」という考えが行きわたった。もちろん「他人」など、いい奴ばかりではない。「人はみないい人」みたいなことを言っている人は、悪い面を知っていて黙っているか、そのくらいの人生経験しかなかったのだろう。
けれどもその危険を取り除いた一人の安全な生活で、我々が幸せかと言ったら、そうとは限らない。
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●家を交換する「ホーム・エクスチェンジ」
一定の期間、自分の家やアパートの一室を、海外の他の家・部屋の持ち主と交換して住む。世界的なネットワーク。双方の都合を合わせるのが大変そうだが、長期海外滞在したい時には特に有利。
イギリスでは、申請して地域の通りを通行止めにし、そこに椅子を持ち出して盛大に路上パーティーを開ける。そのやり方を解説するサイトまである。ブリストルという街では年100回以上(!)も開かれるという。『無銭経済宣言』(マーク・ボイル著)でも紹介されていた。
●自転車旅行している人を無料で泊めてあげる「ウォーム・シャワー」
自転車旅行をする人を無料で泊めてあげる、自転車愛好家による世界的ネットワーク。体験談を聞けるので、愛好家なら泊めるだけでもメリットがある。これも『無銭経済宣言』で知った。
●近所で物をシェアする「Peerby」(ピアビー)
オランダからヨーロッパに広まった、近所で物を貸し借りするネットのサービス。無料で貸し借りするのが特徴。大工用品、キャンプ用品、パーティグッズが人気だそうだ。
●フランスでの拾いを紹介する映画『落穂拾い』
フランス各地を巡って、様々な「拾う」行為を取材した映画。ゴミだけではなく、畑でも果樹園でも、養殖所近辺でも、拾えるものはいくらでもある。難しくなってはいても、日本よりも拾うことに寛容な社会であることがわかる。この映画は必見。
●ヨーロッパの相乗り仲介サイト「BlaBlaCar」
フランスからヨーロッパ12カ国に広がる車の相乗りサービス。毎月100万人以上が利用していて、相手も簡単に見つかるようだ。お金は払うが、ガソリン代・高速代などを割り勘にするので、営利目的ではなく、許可云々の問題はない。日本にも類似のサービスに「notteco」があるが、規模が違う。
●店の廃棄予定食品を教える「resQ club」
ドイツからヨーロッパへ広まった。店が廃棄になりそうな食べ物と料金をアップし、それをネットで申し込んで買うサービス。半額以下の料金で買える。日本でも類似のReduce Goというサービスがはじまったが、こちらは月々定額を支払う仕組みなのでやや使いづらい。
『0円で生きる』に詳しく書いた、無料宿泊できる『カウチサーフィン』、作業と宿泊を交換する『Workaway』については、日本のサイトの登場を願う。
写真は2011年のストリートパーティ。バーベキューをやっているらしいが、卓球台まである。ccライセンス by Adam Burt
しかし、長くなってしまった。もう少しブログを軽くしないと、なかなか更新できなくなるな。
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