「嫌な気分になりたくない」。
これは誰でも思うことだが、その割にはその思いは実行されていないのではないか。
ある人が朝から晩まで、嫌な気分に取りつかれていることはよくある。
もちろん、そうならざるを得ないほどひどい状況にいるならしかたがない。
けれども、朝から晩まで嫌な思いをし続けねばならないほど悪い状況もそんなに多くない。
そんな時は、わざわざ悪いことに意識を集中してしまっているのではないか。
いちいち言うまでもないほど、誰でもやってしまいがちなことだ。
不安なことに朝から晩まで意識を集中すれば、朝から晩まで不安になる。
イライラすることに集中すれば、朝から晩までイライラすることになる。
当たり前だ。
下手をすると、それを何年も、もしかしたら何十年も続けてしまうかもしれない。
自分は中年になった頃に、このままだと、こんな嫌な気分のまま、もう一生行ってしまうなと思った。
物心ついた頃から、ずっと不安やイライラに圧倒されている状態だったが、放っておけば「人生のメインの時期はすべてそれだったな」などと振り返ることになりそうだった。それを思った時には、さすがに底知れない恐怖を感じた。
25年くらい前に、取材も兼ねて催眠療法というのを受けることにした。
その時に言われたのが、「『自分は嫌な気分になんかなりたくないんだ』という強い思いを大事にしよう」ということだった。それをいつも心に留めておこうと。
それが嫌な気分から遠ざかる方法だと。
わざわざ悪いことに意識を集中する悪習は、自分でやっていることなので、どうしても止められないものではない。
惰性でやってしまっていることだ。
ただしあまりにも長い間続けていると、それが自分らしさのように思えて、やめるのが難しいかもしれない。
確かに、結局はその人の好き好きということになるのだろう。
自分は辛い状態にとどまるのが好きではない。
そして本来、嫌な気分が好きな人なんかいないと思うので、楽になることを優先したほうがいいんじゃないだろうか。
自分もすぐにではないにしろ、気がついたら少しずつそうなったし、そうなってよかった。
「ちゃらんぽらん」という言葉は響きからしてすごいが、もっとちゃらんぽらんでいいと思う。
この記事へのコメント