自分にとってのパンクとは、大まかに言えばセックス・ピストルズだった。
わりと普通のことだが、最初に聴いたパンクが彼らの『アナーキー・イン・ザ・UK』だった。
中3の頃ラジオから録音したのだが、なぜか『The Great R&R Swindle』のほうのバージョンだった。
「ピストルズですごかったのはボーカルの歌い方だ」とよく言ってきた。
最初は英語を歌っているとは思っていなかった。
「アーイヤイヤイ、UK!」みたいな掛け声と、片言の英語かと思っていた。
なのでちゃんと英語を歌ってるとわかったのは、もっと後のことだった。
そして歌がない部分では、笑ったりべらべら喋ったりしている。
なんてふざけてるんだと衝撃を受けた。
熱い、悲しい、怒った、カッコいい、深いなど色々な曲を聴いてきたが、ふざけてるというのは滅多になかった(少なくともロックでは)。
もっとも、本当にふざけてやったものは、もっと別の質の低いものになるので、彼らは「ふざけているように見えるように」熱心にやっていたと言えるのだが。
その『Swindle』の他の曲もふざけたものばっかりで、ヘビロテだった。
ダムドにいたキャプテン・センシブルのソロ大ヒット曲『ハッピー・トーク』(パンクなのに!)なんかはふざけすぎていて、今もよく聴いている。
ここまでではなくても、パンクにはこうした良き「いいかげん」のテイストがしみ込んでいる部分が多くて、特に酒を飲みながら聴いたりすると、何もかも笑い飛ばしているような気分になれるのだった。
(まじめ系、怒り系のバンドも好きだったことは言い添える)。
(まじめ系、怒り系のバンドも好きだったことは言い添える)。
今の日本のヒップホップ、ポップス、ロックなんかも、若い頃ほどではないがよく聴くようになった。
そしてちゃんと探せば、昔と同じようにちゃんと胸に来る。
熱い、悲しい、怒った、カッコいい、深い、色々ある。
ただ「ふざけている」のはない(というか、見つからない)。
たしかに「ふざけている」けれども「いい」というのは難しい。
(以前に「スカスカ」なものがないと言ったことがあるが、「ふざけている」のはもっとない)。
日本だから、より少なくなるのかもしれない。
なぜなら「ふざけている」は「まじめ」の反対語だからだ。
なぜなら「ふざけている」は「まじめ」の反対語だからだ。
これらの曲は「なにまじめにやってんだよ、バーカ!」と叫んでいるように聴こえる。
そこがいい。
もちろん音楽作りでも何でも、まじめにやってくれたほうが、聴く側としてはありがたい。
まじめな態度で、熱さや悲しさをうまく表現してほしい。
けれども「まじめさ」そのものが、きつさの原因になっている時は話は別だ。
まじめモードによる問題は、まじめモードのなかで頑張っても解決しない。
それとは反対のモードを持ってこなければだめなのだ。
そしてまじめモードでなにかをやることは、わりと簡単なのだとも言える。
まあ文句なんか言っていてはだめだけど。
というわけで今もこうした曲が欲しい時は、いつまでも昔の曲を聴いている。
もうかなり聴き飽きたのでリニューアルしたい。
そのせいでこんな記事を書きたくなったのだった。
まあ昔ほど深く探せないから見つからないだけ、とも言える。
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