別に奇をてらってこんなタイトルをつけたわけではない。
まだそれほど知られていないが、こんな見方をする専門家もいるという話だ。
いきなりだが、ハダカデバネズミというひどい名前のネズミがいる。
そしてこのネズミが一番変わっているのは、哺乳類にしてはとても珍しく、女王ネズミがすべての子を産むというシステムを取っていることだ。
そして生まれた子供は分業体制で、社会全体で育てる。
ひとつの集団は100匹くらいで成り立っているそうだ。
これによってこのネズミはどうなったか?
各々別のメスが子どもを産むより、一匹がまとめて産んだほうがエネルギー効率がいい。
(もちろん効率がいいことは、何でもかんでも人の幸せにつながるわけではないが)。
この場合は、各自の労働量が減りストレスが減る。
この場合は、各自の労働量が減りストレスが減る。
つまりたくさん産みたい人に産んでもらって、みんなでそれを育てたほうが社会としてよくなる面があるというわけだ。
これは『生物はなぜ死ぬのか』という、今かなり話題の本に書いてある話だ。
著者の小林武彦氏は、ハダカデバネズミを参考にした人間社会の具体的な政策モデルまで提案している。
自分はこの話を聞いて、すぐに国際養子縁組を思い出した。
海外の恵まれない子供を、主に先進国の里親が譲り受けるシステムだ。
日本では珍しいけれども、欧米では普通だ。
そして世界には多産で人口が増え続けている国があり、しかも貧困のせいでひどい境遇に陥る子供もたくさんいる。
(先進国でももっと産みたいのに、お金の問題から抑制している人もたくさんいる)。
子どもや家族に抵抗があった自分としても、養子縁組が広まることには大賛成だ。
もちろんそこには、子供自身が母国から遠く離れた異郷の地で幸せになれるかという別の超えるべき問題もあるのだが、、、
「生き物は子どもを残すために生きている」という言い方がある。
これにはウームとうなりまくる。
もちろん大まかにはそう言える。
けれども人間のなかの「現代人」についてはそうと言い切れない。
(このあたりの話は『人間関係を半分降りる』に書いた)。
「子供を産まなくなったら社会は終わりだ」みたいな言い方もある。
それもまたもっとも単純に見ればそう言える。
けれどもその先がある。
他の場所から譲り受けることもできるし、産みたい人に抑制せずに子供を産んでもらう方向もある。
女王蜂、女王蟻以外のメス蜂、メス蟻もまた子どもを産まないが、その社会は発展している。
産む子供の数が減るという大きな人類の傾向は、一概に愚かで破滅的な選択ではないということだ。
「現代人」は明らかに、「自らの子孫を残すこと」を至上命題と考えない変な生き物になっている。
そのうえでどんな幸福観や人生観を作りあげるか、それが現代人が取り急ぎ考えるべきことだ。
そのうえでどんな幸福観や人生観を作りあげるか、それが現代人が取り急ぎ考えるべきことだ。
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