セロトニンという脳内の神経伝達物質が、うつの人では減っているというのは昔からよく知られた話だ。
抗うつ剤も、脳内にセロトニンがいっぱいになった「かのような」状態にするためのものだ。
けれども目から入った光が網膜に当たることで、脳内にセロトニンが作られるのは知らなかった。
実際に朝目をつむって顔に15分くらい日光を浴びてみた。
するとすぐに効果があるように感じられた。いつもと違って、夜になっても落ち込まない。
次の日もまた次の日も、同じように日を浴びるとやはり落ち込まない。
冬でもあるしこれまでそれほど日光も浴びず、セロトニンが出ていなかったせいかもしれない。比較も難しいが、ジムでの運動よりもハッキリ効果があるように思った。
毎日朝食後に日光を浴びるのが楽しみになった。
これでうつともおさらばかと思ったくらいだ。
以前から、目をつむって顔に日光を浴びている時には、悩むことができないと感じていた。
それも、そんなに理由のないことではなかったらしい。
実は、冬のうつ対策として、原因は日照不足で日光浴をすれば解決とばかり言われるのを、ちょっと煩わしく思っていた。
それだけで治るように言うのは、うつをなめすぎている。
実際に日光を浴びる仕事である農家には、うつの人がむしろ多いと世界的に言われている。
これもいくつもあるうつの原因の大きなひとつ、と考えるべきなのだろう。
それでも日光でこんなに変わるなら、それもしかたないかという気になる。
もうひとつ言えば、こうして作られたセロトニンは、13~15時間後には脳内でメラトニンという睡眠促進物質に変わる。
つまり朝9時に日光を浴びれば、夜10~12時にメラトニンができる。
このため目に強い光を当てる光療法は、主に睡眠障害の治療に使われるのだ。
もちろん浴びれば浴びただけ、いくらでもセロトニンができるわけではない。一日の量には上限があるそうだ。
だから朝に、一日分のセロトニンを作りきってしまうのがいい。
こうした脳内の仕組みを知って思うのは、人体がいかに見事に太陽の上り沈みと連動しているか、ということ。
心の調子まで、太陽の上り沈みに合わせることで決まってしまう。
太古の人はもちろん早朝に目覚め、必然的に一日分のセロトニンが作れるほどの光を浴びて、夜はぐっすり眠りにつけたのだろう。
その生体リズムは、我々の体内にも残っているというわけだ。
日周運動に従って生きるのも面倒だけど、そこは逆らってもかなわないところのようだ。
ただ光は目に悪いのではないかという問題がある。
長くなったので、そこは2回目に回そう。
※写真は今年1月1日に河原で見た太陽。毎年ここで見る。
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