「原子力はクリーンなエネルギーではない」。こんな当たり前のことを、最近は本気で主張しなければいけないのか?
電力会社や政府は「原子力発電はCO2を出さないから、温暖化を進めないのでいい」なんて宣伝をしているようだが、地球環境のために原発を推進するなんてバカげた理屈がこの世に存在するのか?
原発は放射性廃棄物を出す。そのウランが核分裂した後の物質の集まり(いわゆる「死の灰」)は、その後数万年とも数百万年とも、あるいは半永久的とも言われる長きにわたって高レベルの放射線を出し続け、人体や環境に害を与え続ける。人類はこの放射性廃棄物という典型的な「負の遺産」をどうすればいいのか、今でもわかっていないのだ。
放射線を出すくらいなら、CO2を出したほうがまだマシだと言える。
だというのに、原発回帰は世界的な傾向で、アメリカやヨーロッパも、スリーマイル島やチェルノブイリの事故以来脱原発を進めていたのに、ここに来て中東への依存度やCO2の排出量を減らすために(!)、原発に回帰しようとしている。
(人類は20世紀に入って、原子力(核)エネルギーという新たなエネルギー源を見つけた。けれどもそれに伴って出る「放射能」をどうすればいいかわからなかった。──ということで原子力開発への結論は出たんだとばかり思っていたんだが。)
さらにアジアでは中国やインドなど、経済成長を進めたい国はもちろん、これまで原発などもたなかった国々まで、新たに原発を作ろうとしている(実際に作るのは日本やアメリカやヨーロッパの企業になるんだろうが)。
東芝にいたっては、中央アジア・カザフスタン国にあるウラン鉱山の権益を買い取り、アメリカの原発製造を請け負って、総合的でグローバルな原発産業を打ちたてようとさえしてるのだ!
「東芝、カザフのウラン権益取得へ 丸紅と交渉」
http://www.asahi.com/business/update/0810/TKY200708100363.html
原発問題は、今人類が直面してる問題の雛形のようだ。
原発をどんどん作っていくことで経済は成長するし、産業界は潤うかもしれない。しかしそれによってヒトの体そのものに害が及び(もちろん産業界の人の体にもだ)、自然環境にもいいどころか、最悪に近いダメージを与える。
そして、そんなことはある程度誰にもわかっているのに、バカげた方針がどこかで決まってしまうと、もう止めようがなくなるのだ。
本当に考えなきゃいけないのは、余計なエネルギーを使わないことだっていうのに。
このことについては、六ヶ所村の核燃料再処理工場のことなども含めて、引き続き書いていこうと思う(六ヶ所村については、そんな悠長なことを言ってる場合じゃないんだが)。