「自殺のマニュアル本」に関する新聞記事について
6月の上旬に写真のような記事が、いくつかの地方紙の夕刊に掲載された。これは共同通信が配信した記事だ。名古屋で去年、集団自殺未遂事件が起きた。ネットで仲間を募り集団自殺を試みて、ひとりが亡くなった事件で、直前に「自殺のマニュアル本」を読んでいたという。
ただし記事にはこう書かれている。「『四人で集まった時点で、それぞれ死ぬ意志は強固だった。本があったから自殺を考えたわけではない』とも話した。公判の被告人質問でも同様の説明をした」中心となった男性(判決は執行猶予)がこう言ったという。
方法はというと、ある薬とビニール袋を頭に被せるのを組み合わせた方法だった。自著『完全自殺マニュアル』にはビニール袋と紐を首にかけるなど、4つもの手段を複雑に組み合わせた方法を、変わった事例として載せている。その袋のところだけ参考にして、あわせて飲んだ薬などは当人たちが考えたそうだ。つまり方法においても、それほど参考にはなっていないのだ。
けれどもこのような見出しがついてしまった。元の事実がこの程度でも、このくらいの報道はできてしまうということだ。わざわざ本人が本のせいではないと言っているのに。
残念ながら自ら命を断つ人のなかには、この本を読んで方法を確認する人はいる。それをこの記事の見出しのように、本のせいで自殺したかのように印象付けることができる。この本はこういうやりかたで何度か、あたかも本のせいであるかのように言われてしまった。
死を選ぶ人には、死にたくなった理由がある。その人は、直前に教師に怒られて傷…