『完全自殺マニュアル』を切り取らないで

最近はYouTubeなどの動画で本を要約して紹介するのが流行っていて、自分の本も取り上げられるようなりました。そのなかで『完全自殺マニュアル』について、お願いがあります。 単刀直入に言うと、自殺の方法を切り離して紹介するのはやめていただきたいのです。これは動画だけでなく、文字情報でも同じです。すでにいくつか削除のお願いもしました。 この本には、自分の主張はもちろん、自殺に関する生理学的な知識、たくさんの事例、統計など、様々な情報が雑学的にまとめられています。それらすべてがそろって、ひとつの作品になると考えています。 この本を書いた30年前の、本がまとまった形でしかなかった頃、こんなことを言うことになるとは想像もしませんでした。 この本の趣旨は「いざとなったら死ぬこともできるのだと思って、気楽に生きていこう」というものです。それを理解して紹介していただいているのは嬉しいです。ただ、そうした主張や様々な情報と離されて、自殺の方法だけがどこかに紹介されるのは本意ではありません。その点はよろしくお願いします。 そして蛇足ながら、訂正も。例えば「この本が出た時には、連日のようにテレビで取り上げられていた」などとしている動画もありました。が、この本がテレビで取り上げられることは、ほとんどありませんでした。30年も前の本なので、発売当時のことについては、事実とはかなり違っている情報が流れていることもあります。そのなかでも多いのは、発売後に大バッシングが巻き起こったかのような誤解です。 有害(不健…

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見田宗介作品ベスト3、「我々はみんな死ぬ」ことの価値

先日死んだ見田宗介氏の作品や考えも、せっかくの機会なので紹介せねばと思う。まずおすすめ本を挙げるけれども、そういうものはマニア向けなので、よくわからない人は飛ばしてもらっていい。それでもぜひ、後半の彼の考えのところは読んでほしい。 鶴見個人が選ぶ見田作品ベスト3はこうなる。 ①『自我の起源』(93年)②『気流の鳴る音』(77年)③『時間の比較社会学』(81年)(すべて真木悠介名義) 以下は補足的に。・『現代社会の理論』の「4章2項と7項(単純な至福)」(96年)・『社会学入門』の「6章 人間と社会の未来」(06年)・『〈現在〉との対話5 見田宗介』の「4章 波としての自我」(86年) さて、まず②の『気流の鳴る音』のなかの、自分としては絶対に読んでほしいところについて書く。それは本文ではなく、巻末にボーナストラックのように入っている「色即是空と空即是色」という短い文章だ。ここで言っていることは、4章「心のある道」の結論にもなって出てくる。つまりこの本のなかでも、一番か二番目の主張と言える。 何が書いてあるのかというと、、、、 戦後南の島の収容所でつかまっていた戦犯たちが、死刑判決を受けてまた収容所に戻る。その帰り道。何度も見ていたはずの通っていた道や小川が鮮烈に美しいものに見えたと、みんな同じように書き残しているのだそうだ。なぜそういうことが起きるのか?それまで先のことばかり思いわずらっていた意識が、先がなくなったとたんに、「今生きている世界」に向いたのだ。よく見れば美しいもの…

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シューゲイザーの本質とは何か?

Spotifyのプレイリストに、昔から好きで特にここ数年個人研究を続けていたシューゲイザーの古今東西の好きな曲を並べた。 シューゲイザーとは何か。もちろんロックのいちジャンルである。そしてエコーがきつめにかかっている。カラオケでエコーのつまみをいっぱいまで上げたら、わけがわからないほど音が反響してしまうだろう。さらにボリュームまで上げていけばハウリングを起こす。それがシューゲイザーだ。そんなようなものだ。 シューゲイザーとは個人研究によれば、リバーブ(エコーがかかる。ディレイでも)をはじめとするギターのエフェクターをたくさんつなげて、主にギターの音を加工する(他のパートにもリバーブは強め)。 ギタリストは足先でエフェクターのスイッチを忙しく操作するので、「靴を眺める人」と呼ばれた。甘いメロディやハスキー女性ボイスも、必須ではないが特徴となる要素だ。 個人研究によれば、My Bloody Valentine がひとりで作り上げたシーンと言ってもいいが、その源流は The Jesus and Mary Chain にたどれるかもしれない。さらにその元と言えば、Velvet Undergroundになるだろう。そしてMOGWAIは歌のないインストゥルメンタルのスタイルを確立した。とは言え、やはりマイブラだ(それも『Loveless』というアルバム)。 最近はリバーブが多少強めにかっているバンドなら、シューゲイザーと呼んでしまうようだが、それはちょっと違うと思う。 ギターエフェ…

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10月のノジュロックでかけた曲

10/16にやったノジュロックという素晴らしいDIYロックイベントで、DJをやらせてもらったので、曲目を書いておく。もう6回目くらいだと思う。 1.Dancing in The Street (マーサ&ザ・バンデラス)2.月ひとしずく (小泉今日子)3.You Can't Hurry Love (ザ・シュープリームス)4.Bad Reputation (アヴィリル・ラヴィーン)5.翼の折れたエンジェル (中村あゆみ)6.Girls Just Want to Have Fun(シンディー・ローパー)7.Delicious (シャンプー)8.I Love Rock'n'Roll (ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ)9.バレンタイン・キッス (国生さゆり)10.夢中人 (フェイ・ウォン)11.Don't Wanna Cry (安室奈美恵) 色々言い訳がしたいので、文字数の少ないTwitterなんかには書かなかった。 まず、アイドルっぽい曲を選んだのだが、いつもは洋楽ロックが中心で、こういうのは初めてだということ。 そして、何も考えがないのかと言えばそうでもない。1、2、3、9、10はそんなにないかもしれないが、それでも少しある。 6なんかは大いにある。自分は曲をかけながら少し解説するのだが、この曲のところでは「こういう曲が聴く人に与える影響は測り知れない」と言った。そもそも全米2位(84年)の大ヒット曲なので、聴いた人の数がとてつもなく多い。 そして暇があれば、このビデオクリップを…

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「レッテル貼り」を見逃さない

前回に続き、「大して悪くもない人を叩きたい時に使われる手口」シリーズの第2回。今回はレッテル貼りについて。 例えば90年代にはたくさんの人がこういう被害にあったが、いくつかの共通点をあげて、「誰々はオウムとまったく同じだ」とそこそこうまく言えば、いきなりその誰々さんは怪しい人、危ない人に思えててくる。宅間守、加藤智大、宮崎勤なんかの名前も、同じように使われるだろう。 「誰々は〇〇主義者(〇〇イスト)だ」などもよく使われるパターンだ。ここで言う「〇〇」はとてもイメージが悪いもので、その集団の「敵」であることもよくある。「ナチス」や「ネオリベ」なんかはよく使われる。ここで言うレッテル貼りとは、こうした悪者のレッテルを貼ることだ。日常的に、SNSなんかでもとてもよく見かける。 何かよからぬことをして話題になった人について、経歴や家庭環境など、いくつかの点をピックアップして、いい加減に「こういう人だ」とまとめてしまうことがよくある。レッテル貼りは、そのさらに手を抜いたやり方だと言っていい。 ただし、オウムみたいな人、ナチスみたいな人なんかめったにいるわけがない。それなのに、わりとあっさりと受け入れられてしまうのはなぜだろう?自分の考えはこうだ。人はいつでも、他の人物のことを(アーチストでも何でも)「簡単にわかりたい」と思っている。けれどもひとりの人には、いくつもの側面があって複雑で、そうそう簡単にはわからない。最後までわからないかもしれない。だからこそ、その人をあっさりとわかった気になれるもの…

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「この悪事が起きたのは○○のせいだ!」と人が叫ぶ時、よく見ておこう

ある悪い出来事Aが起きた時に、「なぜそれが起きたのだろう」と誰もが考える。Bのせいだ、いやCのせいだと。 悪いことをした人の「属性」にバッシングが向かうことが特に多い。心の病気だった、育ちが貧しかった・よかった、などの属性を持っていると、「✕✕病のせいだ!」などと、△△の専門家だったりすると「△△なんかダメだ!」と叫ばれたりする。 例えばオウム事件が起きた時も、ありとあらゆる原因が叫ばれて糾弾された。宗教、ヨガなんかも致命的な痛手を受けた。 けれども、それ、十分に検証されて言われているだろうか?「それあんまり関係なくない?」ということがあまりにも多くないか? AとBの関係は、結果と原因、つまり「因果関係」という。「Aが起きたのはBのせいだ」などと考えることを「推論」という。 自然科学ではこの推論の正確さが命なので、どこまでも厳密にやる。けれども、SNSで社会的なことを言うレベルなら、「Bのせいだー!」と誰かが大声を上げれば、あまりにもあっさりと受け入れられてしまう。(「印象に焼きつく」ような結びつけ方であることのほうが大事)。 まだ世の中は、この「因果関係の推論」の正しさには、それほど注目していないのだ。だからこそ、狙い目になってしまっている。 この因果関係の推論は、考える本人の期待に左右されやすいと言われている。人は「こうあってほしい」と思う方向で推論するということだ。その正しさを立証する材料を集める段階でも、期待に沿うように集めてしまう。沿わないものは切り捨てたり…

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インスタグラムやってます

インスタグラムを始めた。名前は「wtsurumi」。 鶴見済(@wtsurumi) • Instagram写真と動画 写真をよく撮るようになったので、よく撮れたものの保管庫にしようと、去年の末くらいから始めた。今年の春に花の写真をよく撮ったので、一気に増えた。今後はどうなるかわからないが、引き続きよく撮れた写真をアップしたい。 それからもうひとつ。夜、就寝前にアップすることが多いのだが、いい写真を見ると気持ちがスッとして、眠りにつきやすくなる。写真が頭にあると、眠れない時に気分の悪いことを考えないで済む。気分の悪いことを考える時間を、いたずらに長くしない。このことは特に大事だと思っている。

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雨宮処凛さんの記事への疑問

雨宮処凛さんが、自分の以前の文章を引いてある記事を書いていたので、それについて少し言いたい。「普通の生活がしたい」という悲鳴。の巻(雨宮処凛) 引かれているのは、自分が『完全自殺マニュアル』の前書きに書いた、「学校や塾に通いながら、よりいい高校・大学に進学して、会社に入っていい地位について、勤め上げる」という人生はきつい、という部分だ。それが、「なんて贅沢なもの」「ほとんど貴族のよう」と書かれている。 雨宮さんの非正規雇用や貧困についての問題提起は素晴らしいので、これまで何度も対談をしてきた。けれども、こうした昭和期というか、正社員的な人生みたいなものについての評価については疑問がある。 マスコミ全般に言えることだが、昭和期の生き方や正社員的な生き方については、収入・金銭のことばかり取り上げられて、この上なく恵まれていたかのように言われる。そこでは、金銭面以外の働くきつさ、学校のきつさなどの「生きづらさ」への視点は、必ず抜け落ちてしまう。 自分のこの文章には、当時、言わなくても広く共有されていることだったので、わざわざ書いていない。けれども週休1日で長時間残業が当たり前の長時間労働、パワハラに満ちた職場、満員電車で毎日出社、転勤も含め一生を会社に捧げる人生など、「社畜」と呼ばれてしまうような人生がそこにあった。全体的に見れば、今よりも働く環境は劣悪だっただろう。もちろん、今の正社員だっていいとは言えない。電通に勤めていても自殺してしまう人もいる。 自分はいわゆる一流の大学を出て大手メー…

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『月刊むすび』の連載は続く

マクロビオティックの雑誌『月刊むすび』でのつながり作りの連載は、さらに予定を延長してまだ続きます。マクロビに限らず、食文化全般、さらには身体についての文化全般に関する雑誌で、そのなかでつながりについて担当している感じ。 唐突だけど、それにしても、何かひとつ新しい世界を作るなら、「やさしい世界」を作らないと意味がない。そうではない世界にはもう懲りたのだから。そんなの気持ち悪いと言う人は、やさしくない世界に行けばいいだけのこと。この年になるまでに、一人の人間にしては珍しいほど上(?)のほうから下(?)のほうまで色々な世界を巡ったが、やさしい世界は特になかったな。そういうことを表向きには言っている世界であっても。そういうものを切望しているわけではないのだろう。自分が切望しているのはそれだが。

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DANROに「不適応者」インタビューが載った

DANROという孤独マガジンからインタビューを受けた。 鶴見済さんが語る「不適応者」の生きづらさ というタイトルで、「不適応者の居場所」メインの取材は初めて。こちらの活動や考えをよく知っていただけていて、話したいところを訊いてもらえた。おかげで居場所のことも、自分の就職のことも、資本主義社会のことも話している。 どこもいい話だと思うのだが、 「俺たちが真剣に悩むことって、国際問題だとか内閣改造だとか、そんなことじゃないだろうっていう気持ちがずっとあったんです。みんな、立派な問題については声を大にして語るんですけど、内心では、自分のプライドとかよく見られたいとか友達が少ないとか、そういうことで悩んでいるんでしょう?」 の部分が個人的にはよかった。 これは自分が一番初めの頃、90年代の前半あたりによく言っていたことだ。「友だちにどう思われたか」とか、そういうことで皆が悩んでいるなら、それが一番重大な問題だ、ということ。これは立派な問題、これはつまらない問題なんて区別していると、問題設定のところで間違ってしまって、不幸を改善できなくなる。例えば、政治・経済・国際関係といった問題にどれだけ精通しても、身近な家族や同僚と喧嘩ばかりしていたら幸せになれない。そんな感じのことだ。30年くらい時間が経った今でも、やはり大事なことだと思える。

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『月刊むすび』7月号はコロナ特集

マクロビオティックの雑誌『月刊むすび』7月号はコロナ特集。自分の連載記事もオンラインでつながったり、人間以外の何かとつながる方法を紹介している。この連載は、当初の予定を超えて2年目に突入することになった。ちなみにこの雑誌は、マクロビのことだけ載せているようなものではなく、食を中心にした情報誌になっている。

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ゆめのさんとの無観客トーク、悩み相談を受け付けてます

漫画家のゆめのさんとの無観客有料トークイベント(会場で話す)で、人生の悩みなど相談・質問を受け付けて回答するコーナーもやることになった。できるだけ答えるようにします。彼女の新刊にも描かれているとおり、不登校~ひきこもりや心を病んだ経験もあるゆめのさんと、そのような話もたくさんできると思う。作品のテーマである家族の問題についてももちろん。自分も、家族や心の問題はかなりかぶっている。さらには、80~90年代あたりの生きづら状況やサブカルチャーの話もする予定。SNSやブログではなかなかできない話も、トークではやりやすい。悩み相談はゆめのさんのマシュマロか、Twitterアカウント@yumenonohibi へのDMで受け付けてます。 『心を病んだ父、神さまを信じる母』刊行記念どうしてこの世は生きづらい? 性格 ・家族・学校・社会 〜そしてコロナの時代を生き延びる術を相談する会〜23日(土)16時30分~2時間半

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漫画家のゆめのさんと無観客トークイベント

5月23日(土)、漫画家のゆめのさんと無観客トークイベントを配信する。このイベント、もともと大阪のロフトプラスワンでやる予定だったのが、コロナで不可能になり、それじゃ会場で無観客でやって有料配信しようということになったもの。コロナ時代(笑)の珍しいトークイベントだと思うので、聞いてみてほしい。4日間聞けるのだと思う。 『心を病んだ父、神さまを信じる母』刊行記念どうしてこの世は生きづらい? 性格 ・家族・学校・社会 〜そしてコロナの時代を生き延びる術を相談する会〜 配信時間 16:00〜18:30(予定)料金:¥2.000ゆめのさんの新刊には、主に統合失調のお父さんに振り回される家族が描かれているのだが、そして結局は子供たちも普通のいい子には育たず……というところにさらにぐっと来たのだった。家族の実像なんてそんなものだ。いわゆる家族のイメージって何なのだろうと思ってしまう。けれども「毒親ふざけるな」というものでもなく、とても爽やかに描かれているのも面白い。 自分にも今も絶交している攻撃的な兄弟がおり、大変な家庭生活を送った経験がある。そんなことも含め、イベントタイトルにあるような生きづらさに関することを話したい。 ロフトグループの支援にもなるのでぜひ聞いてください(と言うのは都合がよすぎるか)。

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英会話がいきなり楽になる用語集(初心者用)

自分用にメモしておいた、英会話に使う言葉集を共有しておきたいなとかねがね思っていた。英語を話さねばならない時には、いつも事前にこれを見ておく。自分は英会話初心者なので、初心者用ということになる。外国人との初歩的会話で自分がよく使うのは、多い少ない、早い遅い、以前・もっと先、よくある・普通・滅多にないなどなど、程度や比較を表す言葉だ。日頃そんな話ばかりしていたんだなと、英語になってみて感心するほどだ。そして頻繁に使いたくなるのが、「~かな、わかんないけど」「かもね、多分」「場合によるけど」といった「濁す言葉」。これまた日本語で、どれほど使いまくっているのか思い知る。とりあえず、「I'm not sure」と「It depends」は超の付くお薦めフレーズだ。あとは「complicated」がいい。複雑で説明しきれない時、これを出せば一発。ここには書かなかったが、「That's good」も自分はものすごく使う。単なる相槌だが、何種類かあるといい。 *************************************************** I’m not sure. よくわからないがIt depends. 場合によって違うcomplicated 複雑なin detail 詳しくin more detail もっと詳しくI didn’t know 知らなかったnot necessary, no need 必要ないmaybe, might 多分、かもしれないmay I ~ してもいいですか?…

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『月刊むすび』の連載継続中

相変わらず『月刊むすび』の、つながりづくりの連載は続いている。最新2月号は、つながりをなくすことと心の病、そして弱さを共有することのよさなどについて、「不適応者の居場所」を題材に書いた。 『むすび』は、マクロビオティックを提唱する正食協会が出している雑誌。そしてマクロビとは、日本の伝統食を元にした食事法と考え方、みたいなものだと解釈している。実践しているわけではないが、その土地のものを食べようという考え方なんかは、なかなかいいと思っている。自分でもできていないが、どうせほとんどの人にとって完全にできるはずもなく、「なるべくやる」とか「考え方に賛成」くらいでもいい。

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遠藤ミチロウと大人しくしない中高年像

ザ・スターリンという日本を代表する80年代のパンクバンドをやっていた遠藤ミチロウ氏の本の書評を書いた。 彼の名は”騒動”(ちくまweb) 日本の80年代パンクシーンにはいいバンドが多かったが、やはりザ・スターリンはひとつ飛びぬけていた。本領を知るにはまず、『トラッシュ』『STOP JAP』『虫』の3枚のアルバムを、さらには『フォーネバー』、ソロの『オデッセイ1985SEX』(シリーズ1枚目)あたりを聴いてもらったらいいと思う。そのよさについては、記事に書いた。『ワルシャワの幻想』という代表曲の出だしが「オレノソンザイヲ アタマカラ カガヤカサセテクレ」なのだが、この「オ・レ・ノ・ソ・ン・ザ・イ・ヲ」の8文字が素晴らしく、これだ、などと思いつつ、部屋で毎日ぶつぶつとこの部分を歌っていた。当時の日記を読み返すと、この8文字が何度も出てくる。(元は町田町蔵の歌詞の一部だが、そんなに重要なことではない) そして書評にも書いたが、ミチロウ氏が晩年被災地に行ってまで、ザ・スターリンなどのえげつない歌詞を歌って受けていたのも、もっと評価されていいことだ。中高年像もまた昭和の時代から明らかに変わってきている。ローリング・ストーンズが70代になってもライブで「不満だぜ」と歌って、中高年の客がそれで盛り上がっているのを見てもわかる。親が子供に威圧的でなく、友達みたいになってきたのも、同じ変化の別の側面だと思う。 かつて中高年と言えば、実際には大した境地に達していなくても、子供に道徳臭い説教を垂れて、いかに…

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月刊『むすび』で連載が始まっている

正統マクロビオティックの雑誌、月刊『むすび』で連載を始めた。テーマは、つながり作りについて。マクロビオティックというのは、日本の伝統食に則った菜食メインの食事法と思想。アメリカなどで流行って逆輸入でブームになったのを覚えている。それを考えたのが正食協会で、そこが出している雑誌がこれ。食についての記事が多い。 『月刊むすび』  目次

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宮台真司による捏造記事を訂正する

宮台真司が今年出した『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』という本のなかで、自分(鶴見済)の著作活動を概説するかのような記事を書いているが、それがとんでもない中傷的な捏造ばかりなのを発見した。ここにそれを指摘し、一刻も早い訂正を要求する(引用は同書p109から)。 その捏造を一言で言えば、こちらを「まるでオウム真理教のように」見せようと躍起になっている、と言えるが、問題はなぜ彼がそうするのか、だ。それについても後述している。 また、なぜ自分が90年代を通して「同じことの繰り返しの日常」論を展開していたのかも最後に書いている。 ではやや長くなるが、まずこの文から見てみよう。 ●「1980年代後半から始まる鶴見済の著作活動は、現実リセットのツールとして、最初はハルマゲドンを称揚し…」 ここまで醜い捏造が訂正されずに掲載されているのだから、他の記述の信憑性も推して知るべしだ。 自分が著作活動を始めたのは90年代からだ。辞書によれば「称揚:ほめたたえること」だ。かつてハルマゲドンを褒め称えたのなら、誰もが「怪しいオウムのような人物」と思うだろう。ただし93年の第一作のなかで「ハルマゲドンなどない」とわざわざ書いているのだから、褒め称えるはずがない。 ●「(鶴見は)「現実」は本当にリセット不可能なのか、と問います。鶴見は1996年に『人格改造マニュアル』において、僕の<終わりなき日常>という概念を「ハルマゲドンなき世界」と言い換えた上で、「ハルマゲドンがなくてもドラッ…

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五輪による無駄な再開発激増時代に捧げる『脱資本主義宣言』関連記事

我々が今目にしているこれこそが、”ショック・ドクトリン”(どさくさ紛れの資本主義)に他ならない。 東京五輪を口実にした無駄な再開発と排除のすべてに反対する。 五輪をやるというなら、無用な施設の新設や改築、無用な道路や鉄道の整備、無用な海の埋め立て、野宿者の排除、無用な監視カメラの増設、過剰警備等々は一切なしでやってもらう。 こんなにモノが溢れているのに、さらにもっと作ることを喜んでいるなんて、頭がおかしいんじゃないのか?(下線筆者)。 何度でも言うが、いらないものを作って大企業を儲けさせ、カネを稼いで生きていくのはもうやめて、もっとエネルギーの無駄の少ない楽な生き方をするべきなのだ。「経済成長=大企業の儲け=幸せ」などというのは、もともと高度成長期だったら何とか通じたかもしれないまやかしだ。 なぜ経済成長主義では幸せになれないのかについては、最新刊『脱資本主義宣言』に詳しく書いているので、ぜひ読んでみてほしい。 さてその『脱資本主義宣言』に関して、これまで新聞やネット等に掲載され、今も読むことができる書評などを掲載しておく。かなり時間が経ってしまったので、今読めるものだけを。 ●「経済成長以外の解決策を」『脱資本主義宣言』著者インタビュー (北海道新聞) ⇒「日本のGDPは世界3位。これで幸せになれないなら、GDPが低い国は一体どうすればいいんですか。富の配分が大企業に偏って、中小に回っていないだけです。パイを大きくするのではなく配分を変えればいいだけの話なんです」(鶴…

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トークイベント・ブームと音声サイト「tsurmi's talk」

90年代に比べると、00年代以降のトークイベントの多さには驚かされる。 トークに限らず、映像の上映や音楽の演奏があり、そこにちょっとした食べ物がついているといった手作りイベントは全盛期を迎えていると言っても過言ではない。自分もこんなに人前で話すことになるとは思わなかった。 その分だけ「自律した経済空間」は広がっているわけなので、とてもいい傾向だ。あとはその料金やドネーションである程度生活できれば、それに越したことはないのだが…。 というわけで、そんなトーク仕事をフォローするために音声専用のサイトを立ち上げた。 turumi's talk 鶴見済公式音声サイト 第一弾は去年8月に行われた、桑原茂一さんのスペース、渋谷・ディクショナリー倶楽部での「脱資本主義講座」。1部、2部を通じて、今の経済の仕組みの批判と、別の経済の仕組みの模索を行っている。 以後続々とトークやスピーチの音源や映像等を紹介していく予定。 こういうものが増えることこそ、「もう一つの世界」が近づいている証だ。 (註)写真上は、今年5月の鶴見済×二木信「砂漠の思考」@新宿bookunion。下は昨年の福岡・反転地でのトークイベント(photo by Kenichiro Egami)  

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