「宮下ナイキパーク」という名前は消えた!

「『宮下公園』の名称はこれまで通り『渋谷区立宮下公園』となります。」                               ──ナイキジャパン社(註1) 驚いた。ナイキが沈黙を破って、とうとう国内向けにモノを言ったと思ったら、なんと「宮下NIKEパーク」という名前を取り下げてしまった! つまり施設命名権を買ったのに、命名はしないということなのだ!そこまで当初の計画がボロボロになったなら、スケートボード場もクライミング・ウォールもやめて、一から計画を見直したらどうか。当初は最大の売りにしていたのに、今は隅のほうに目立たないように書いているこれらのスポーツ施設こそが非難されているのだから。公共の公園を、自社の「お客さん」のための施設にすることが問題なのだ(註2)。 ナイキは「反対派に配慮したわけではない」とわざわざコメントしているが(註3)、公共の公園に自社の名前を付けるのはおかしい、と考え直したことは事実だ。誰も反対しなかったら、こうはならなかったはずだ。 我々の生きづらさは、我々が反対しなければ、誰も改善なんかしてくれない(註4)。忘れてはいけないことだが、小泉の弱者切り捨て政策を弱者が支持したせいで、この国の格差や貧困は悪化した。今政府が、少なくとも表向きは(註5)これらの解決に動いているのは、格差・貧困への反対運動があったからだ。行政の口車に乗って、反対運動(「抵抗勢力」なんて言葉もあった)には反対などと言っていると誰の思う壺なのかを、この過去から考えてみるべきだ。 (註1)ナ…

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宮下公園の夏まつりに出店する

ナイキと渋谷区にしてみたらとっくに終わっているはずの“宮下公園夏まつり”が、今年も盛大に開催される。ザマアミロと言いたい。今年は自分も29日(日)に、宮下ゲットー・ガーデンで採れた葉もの(微量)、国産小麦、天然酵母などを使ったビーガン・サンドイッチ屋“ゲットー・キッチン”を出店する予定(ただしゲットー・ガーデンは現在、日当たりが悪いのと乾燥とで、大変な苦境に陥っているが(註))。よかったら覗きに来てください。宮下公園夏まつり2010 タイムテーブルなど (守る会) A.I.Rのサイトでは、宮下公園問題についてのわかりやすいQ&A集も作られた。FAQ (A.I.R)そして、あのフリーター全般労働組合も、宮下公園の存続を要求する声明を発表した。この声明自体が、こうした疑問へのわかりやすい回答になっている。宮下公園をめぐる声明 (フリーター全般労組) 「ナイキパーク化のどこがいけないんだろう?」といった疑問が、スケートボード場にもクライミング・ウォールにも縁のない人から発せられると、思わず唸る。自分自身が公園を使えなくなるんじゃないか、と。経済や企業の発展のために我々が生きているのではなくて、主役は我々なわけだが、そんな当たり前のことが戦後の日本では忘れ去られてきたのだから、やむを得ないのかもしれない。 (註)万が一宮下公園にいて、暇で暇でどうしようもない人がいたら、フェンスに掛けてあるホ-スかペットボトルのジョウロで、ガーデン入口の左下側にある水道から水をやってもらえると、とても…

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「経済界優先」という逆コース(追記あり)

菅直人にここまでムカつかねばならないのは、とても残念だ。「国際競争力高めるため」と言って、企業には減税して、アジアへの進出を助ける。その代わりに、一般人には消費税を増税する。理由は「財政赤字だから」。こうして「経済成長」したがる。彼がやろうとしているこれらの政策は、自民党の安倍内閣がやろうとしていたことと、まったく同じである。 なぜそれほど同じなのかというと、日本経団連をはじめとする経済界(財界)は、自民党政権時代からずっと、これらの政策を強く政府に迫ってきたからだ。今や菅直人は、経済界からも自民党からも、経済界の一員である大新聞からも拍手を送られている。そして安倍内閣がこの政策をやりたくてもできなかったのは、参議院選挙で小沢民主党が過半数を取って、これに反対したからだ。こんな格差を広げる政策には、一応「国民の生活が第一」と謳っていた民主党は、当然反対だったのだ。参考日記:企業減税が遠のいてよかった (2007年9月15日) 一体どういう状態になるまで、いつまで経済成長したいのか、なんてことを言うよりも、単に国民より経済界の利益優先へと民主党が変わったことに驚くべきだろう(註)。 沖縄の基地は「日米合意の通り」に辺野古。そしてこの経済政策。親米、親経済界の政治だ。今や自民党が民主党との違いを出すのに苦労しているのだから、これらの政策が気に入らない人は、今度の参院選こそ、いよいよ社民党か共産党に入れるしかなくなったはずだ。理屈としては。それでもこの二つが支持されないとしたら、もうそれは理屈を越…

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反ナイキ化デモと宮下ゲットー・ガーデン計画のお知らせ

急遽、宮下公園ナイキ化反対のデモが行なわれることになった! 日にちは工事着工予定日の前日の3月31日(水)、場所はもちろん渋谷、ルートはナイキショップ前、渋谷区役所前などを通り、宮下公園前まで。こんな空気のなかで行なわれるデモがどんなことになるのか、ちょっとゾクゾクする。1割反対、9割野次馬という人でも、もちろん大歓迎。デモには、何か音の出るもの(楽器でも、ビンや缶でも)があると、より気持ちがあがると思う。詳細⇒みんなの宮下公園をナイキ化から守る会(24日のナイキによる誰でも参加できる工事説明会の詳細もあり。またこの問題は海外でも反響を呼んでいるので、世界同時行動も呼びかけられている。) そしてもうひとつ、誰でも参加できる“宮下ゲットー・ガーデン(註)計画”というのを立ち上げようと思う。 宮下公園の緑化・美化、DIYな生活と空間作りのささやかな試み、食料自給率の向上……等々を狙って、この公園にハーブや野菜や花を植えてしまおう、というもの。 すでに公園の明治通り沿い、一番原宿に近い方のフェンスの外側に小さな畑を作り、この島の代表的ハーブであるシソ、そしてほうれん草、春菊、かきちしゃの種を蒔いた。1週間ほどで芽が出るはずだ。まだまだそこに空いたスペースがあるので、硬くなっている土を軽く耕して、種でも苗でもいいので植えてしまおう(種を蒔いた所には、四隅に棒を立てるなど目印を付けておいてください)。 こうやって、公園をよくするためには企業の力を導入するしかない、などという誤魔化しをどんどん暴…

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渦中の宮下公園でシンポジウムをした

昨日の“宮下公園ナイキ化問題ドキュメンタリー”の上映会&シンポジウムは、なんと渦中の宮下公園に80人もの人を集めて行なわれた。シンポジウムでは事情があって、あまり思ったことが言えなかったけれども、言ったことのなかから、念のためにあまりにも基本的なことをひとつ。 公園が公共(皆)のものであるということは、その命名権も我々皆が持っている。本来なら名前も公募するなりして、皆が決めるのが筋だ(百歩譲っても、選挙で選んだ代理人が、民意を汲みながら決めるべきだ)。ましてや公園をどういうものにするか、に至っては言うまでもない。それをどこかの企業に勝手に売る、任せるなんていうナメた真似を許してはならんのだ。 そんな当たり前のことを忘れてしまうほど、我々は“民主主義”から遠ざけられてしまっている。 それから言えなかったことだが、今回のアーティスト・イン・レジデンスは素晴らい試みだった。一言では言い尽くせないが、公園はカネで企業にやってもらわなくても、自分たちの手でこんなによくできるのだ、ということを実際に示すこと(=自律的な空間作り)が、(結果的にかもしれないが)力ずくの公園封鎖に対するブロック(=直接行動)にもなったというウルトラC級の技だ、と勝手に思っている。展示期間は終わってしまったけれども、この作品というか空間はまだしばらくは見れるので、ぜひ。 成功してしまった表参道ナイキショップ前・ファッションショーの様子は、⇒A.I.R Miyashita Park この公園に野菜の種を蒔くというプロジェク…

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宮下公園は燃えている!

宮下公園が大変なことになっている。 昨日アーチスト・イン・レジデンスが始まったこの公園に、今朝渋谷区がナイキ化工事のためのフェンスによる囲い込みにやってきた。が、集まっていた反対者たちの猛抗議により、彼らを追い返し、フェンスも開放させたのだ。民主的な手続を一切踏まえず、強引にこんなことをしようとしたら、当然こうなる。明日は、自作の服で表参道を歩く「ノー・ナイキ・ファッションショー」があり、彼らがまた囲い込みにやってくるかもしれないし(16日か17日が囲い込み予定日となっていた)、ドラムサークルまであるかもしれないので、行こうと思う。今日の経緯や明日の予定は⇒A.I.R Miyashita Park 前のブログの追記も参照 インターネットやテレビの画面でもそうだが、企業は自分たちの広告が出せるスペースを全力で探している。例えば、日本では自動販売機の新たな置き場所はもうなくなったとまで言われていて、今では他社のスペースを奪い合っている状態だ。アメリカやイギリスでは学校への自販機の進出が著しい(註)。 我々の視界は企業の広告で埋まっていて、すでに窒息しそうだが、止めないとまだまだ増えるはずだ。(註)ちなみにアメリカの小学校の授業には、「ナイキのスニーカーをデザインする」という課題まで登場した。「教育」という公共ジャンルへの企業の侵略も激しい。写真は宮下公園におけるアーチスト・イン・レジデンスの作品。A.I.R Miyashita Park HPより

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ナイキ公園というブランド戦略(追記あり)

Our Planet‐TVによる宮下公園ナイキ化問題ドキュメンタリーの上映ツアーが始まった。自分も3月19日(金)に渋谷区内“某所”で行なわれる上映会後のシンポジウムに参加する。この小さな公園をめぐって、恐ろしく裾野の広い何と何が対立していたのかは、もはや明らかだ(前々回の日記の最後のほうを参照)。 「宮下公園」から世界を見つめる~上映&スピーキングツアー2010~ それにしてもナイキは、自社の商品の宣伝もせずにこんな活動をして儲かるのだろうか? 儲かるのだ。 例えばYouTubeでナイキのCMを見てみると「ナイキ」という名前すら言わず、スポーツ選手の“クール”な映像と“just do it”というコピーと、スウッシュというあのロゴマークが出るだけだったりする。 これは“ブランド・マーケティング(ブランディング)”というかなり前から主流になっている広告戦略で、従来のように個々の商品の長所を強調するよりも、自社ブランドのいいイメージを消費者に植えつけることで、そのブランド商品全般を継続的に買わせようとしているのだ。 より最近重視されてきたのは、企業が社会貢献活動によってイメージをよくする“ソーシャル・マーケティング”だが(註1)、ナイキのように企業名がブランドそのものであるなら、これもまたブランドの宣伝になる。 こういう流れのなかで、ナイキは代々木公園にバスケットボール・コートを作り(註2)、ジョーダン・コートを作り、そしてついに宮下公園にまで進出しようとしているのではないか。ナ…

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宮下公園ナイキ化の真相がここに

新年早々またこの話だが、宮下公園ナイキ化の真相がおおむね明らかになっている、非常にいい映像作品が作られた。宮下公園 TOKYO/SHIBUYA(前編) (後編) (Our Planet-TV) この作品は全編が見ものだが、後編14分35秒から始まる長谷部健氏(元・博報堂)のインタビューは特に面白い(この計画を中心になって進めたのは長谷部健、伊藤たけしという二人の区議のようだ)。恐らく、同じく渋谷にある“ジョーダン・コート”について彼は、ナイキがスニーカーをリサイクルしてることを知り、「渋谷のど真ん中にナイキが、スニーカーをリサイクルしたコートを作ったらニュースじゃん」と思ってナイキにその話を持ちかけ、実現させたと言う。この「企業との癒着」に対する疑いのなさは一体何なのか? 施設の名前であれスペースであれ、皆のものを一企業にくれてやるなんてことは、本来許されない優遇措置なんだが。それに続く後編17分15秒からの伊藤たけし区議の発言では、この人は野宿者の追い出しを念頭に置いて、宮下ナイキ化計画を進めていたことがわかる。 また後編3分49秒からは、ナイキ工場での労働者搾取と反対運動について、8分02秒からは、公共空間への市場主義(コマーシャリズム)の侵略について、各々専門家が解説していて非常にためになる。世界でナイキへの反対運動がピークを迎えていた97年、日本はエア・シューズによる空前のナイキブームに湧いていたことは、この国に住む者として知っておくべきだろう。そんな情報鎖国状態は、今でも変わって…

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宮下公園のナイキ公園化に当然反対する

渋谷駅から歩いて数分の山手線・明治通り沿いという絶好のロケーションにある宮下公園を、「ナイキ公園」に変えようという計画が持ち上がっている。 「ナイキ公園」になると言っても、渋谷公会堂が「渋谷C.C.Lemonホール」に変わるとか1)、東京スタジアムが「味の素スタジアム」になる2) といったネーミングライツ(施設命名権)売却だけの問題ではない。 これについては次号の『オルタ』にも書いたが、渋谷区はナイキジャパン社に10年間で1億5000万~2億円の施設命名権売却をするだけでなく、同社の資金援助を受けて、約5億円かけて有料のスケートボード場やロッククライミング施設を新設しようとしている。 これによって皆が気軽に休むこともできなくなるばかりか、夜間は鍵がかけられ、ここで生活している野宿者も追い出される可能性が大きい。 こうした「カネを払わないと休むことも遊ぶこともできなくなり、生活空間が企業の宣伝広告で埋まる」なんてことは、単に宮下公園で起ころうとしている特殊なことではなく、我々の身の回りでもすでに、そして世界中でますます広がっている由々しい事態だ。 新自由主義(ネオリベラリズム)は、労働力でも農作物でも公共のサービスでも、何でもかんでも(グローバルな)市場の自由競争にゆだねることをよしとする思想だが、そうやって公共のもの、共有のものをどんどん民営化3) していった末に出来上がる世界は、例えばナイキ公園のような世界だ。 それで得をするのは競争力の強い大企業(あるいは多国籍企業)だけで…

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企業減税が遠のいてよかった

「選挙なんかでは何も変わらない」と思い込んでいたが、今回は違った。 自民党が大敗して参議院で与野党が逆転したおかげで、「憲法改正バカ」の首相が辞任しただけでなく、“企業減税”も難しくなってくれたのだ。 経団連をはじめとする経済界(財界)は、大企業への40パーセントの実効税率を10パーセントも引き下げて、4兆円の大減税を行なうように強く要請していた。そしてこれは、経済界のほぼ「言うなり」になっていた安倍が言う「成長戦略」の重点でもあったのだ。 さらには、その財源を確保するため、消費税の引き上げを前提にしてたんだが、これも参議院で野党の合意を取りつけなきゃならなくなったので、簡単にはできなくなった。 経済界は今、必死になって「改革を止めるな」と政界に働きかけてるので、まだまだ予断を許さないんだが。 ではなぜ経済界はこんな“企業減税”をしたがるのか? 一番の目的は企業の国際競争力を強めて、しかも外国の資本が税金の安い国内に入りやすくするため、つまり経済のグローバル化を押し進めるためなのだ。 もう大企業は十分に強くなって海外に進出しすぎてるし、これ以上外資に入ってこられても困るっていうのに、だ。 グローバリゼーションというやつはこんな形でも、我々の生活を苦しめようとしていて、それに歯止めをかけるには、選挙だって有効だったらしい。民主主義もまだそんなに捨てたもんじゃない。

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選挙が民意を反映しないわけ

今の選挙制度は、ちゃんと我々の「民意」というやつを反映できてるんだろうか? ここしばらく、自民党がやりまくってる国会での強行採決は、ひとえに2005年の総選挙で”圧勝”させてしまったツケと言える。しかしその“圧勝”ですら、当時の小泉自民党がそれほどの国民の支持を得た結果かというと、そうでもない。 小泉前首相は一昨年「突然の衆議院解散→超短期決戦」という、準備ができていない野党にはことさら都合が悪い状況で選挙を強行して、史上第2位の296議席を獲得した(民主党は113議席)。 それでも小選挙区での得票率は、自民党48%、民主党36%、比例代表区では、自民党38%、民主党31%で、過半数も票を取れていないうえ、2位の民主党との差もそんなには開いてなかった。特に東京では、得票率自民50%、民主36%だったのに、議席数は自民が23、民主はたったの1(菅直人だけ)だった。 1選挙区で1人しか当選者が出ない小選挙区制度では、2位以下の候補への票がすべて死票になる。得票率のほうがより民意に近いのに、それを議席数に反映させない、しかも大政党にばかり都合がいい制度をわざわざ採用してるのだ。 この時の“圧勝”もまた、ひとつには小選挙区制度のせいだったわけだ。 その小選挙区制度について参考になる記事を紹介しておく。 【小選挙区制改正問題】 小選挙区制改正問題の動きは、鳩山一郎内閣(1954~56)のときに、再軍備をはかるための憲法改正の実現をめぐってもちあがったが、世論の反対とゲリ…

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エリートがB層(大衆)をだましている

ごく一部のエリート(と自負している人たち)が、大勢の人たちを犠牲にして、自分たちばかりが利益を得るような社会を作っていきたかったら、どうするだろうか?普通の民主主義社会では、まともにやっていたのでは多数決で負けてしまう。そんな時にやるのが世論操作や大衆操作、つまりその大勢の人たちをある意味で、聞こえは悪いが、「だます」ことだ。自分で判断ためのする材料を提供するのではなく、都合のいいほうに誘導するのだ。 民主主義社会というのは初めから、こういうダーティな側面を持っている。 この国でそれが行われている証拠として一番わかりやすかったのが、前回の総選挙の半年ほど前に国の依頼を受けてあるPR会社が税金で作った、かの有名な『郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略』の企画資料(↓)だろう。http://tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf この資料は、隅々までいちいち興味深いんだが、それはこの国が陰でやってる重大なことの氷山の一角が、ここに見えてしまってるからなんじゃないか?ここで“B層“というのは、主婦や子供やシルバー層、「具体的なことはわからないが、小泉首相のキャラクターを指示する層、内閣閣僚を指示する層」とされていて、「最も重要な点は、郵政の現状サービスへの満足度が極めて高いこと」(!)だそうだ。そして「B層にフォーカスした、(郵政民営化合意のための)徹底したラーニングプロモーションが必要と考える。」らしく、そのプロモーション戦略もあれこれ考…

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軍拡が批判されない不思議

ある国が軍隊を海外に送ったり、そのための軍備を拡大したい時に、国民に対して何をするか? 反戦・反グローバリズム知識人の代表であるノーム・チョムスキーの『メディア・コントロール』という本には、こんなことが書かれている。 国民は普通平和主義に傾いてしまうものなので、そういう時には、国が敵国の脅威をマスメディアを通じて大々的に宣伝・広告し、国民を怯えさせ、世論を好戦的な方向へ操作して、その政策を後押しさせるのだ。 この方法は、アメリカが第一次大戦に参戦しようとした時に初めて使われたもので、敵国・ドイツの恐ろしさを宣伝することによって、平和主義一色だった世論をわずか半年足らずで、ヒステリックな戦争賛成論に変えたそうだ。 その後この方法は、ユダヤ人を仮想敵としたナチス・ドイツをはじめ、多くの国で採用されて、今に至っているという。 確かにそういう例は、戦時中の日本でも、911以降のアメリカでも、いくらでも思いあたる。もはや常套手段と言ってもいい。 今の我々も、ある程度そういう国策のなかにいるんじゃないだろうか? この国では、軍備拡大の(あるいは軍隊を持ち、海外へ送る)ために、北朝鮮や中国への敵国感情をあおるような、メディアを通した宣伝が行われていないだろうか? 国がNHKに対して、北朝鮮拉致問題の放送命令を出したことも、その一例とも見れるし。 憲法“改正”の最大の目的は、言うまでもなく、戦力(軍隊)の保持だ(それ以外にも見落とせない点はたくさんあるが)。憲法が“改正”されたら、こ…

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