ユダヤ陰謀論が作られる簡単な理由
たまにはちょっと変わったテーマで書こう。本の作業が終わったので、ブログを書く余裕が出てきた。
「少しは合ってるところがやっかいだ」少し前に友人と、ユダヤ陰謀論についてこんなふうに話した。
ユダヤ陰謀論というのは簡単に言えば、ロスチャイルド家、ロックフェラー家といった、ユダヤ系の金融資本(金貸し)が陰で世界を自由自在に操っているというものだ。これについても、いつかは考えを書いておきたかった。
例えば、日露戦争の時、ロスチャイルド家は日本にもロシアにもお金を貸していた。これをもって、「ロスチャイルドは日本とロシアに戦争をさせて……」のように言われる。貸していたのが確かだと確認できたら、「少なくとも日露戦争は支配していた」なんて思ってしまうのではないか。そして、ロスチャイルドやロックフェラーが世界を操っているという説の根拠も、大体こんなものだと思う。
お金を貸せば貸した相手にある程度は影響力を持てるのだから、確かに少しは支配している。けれども彼らの仕事はお金を貸すことなのだ。それをすべて「支配した」「〇〇をやらせた」ととらえるから、世界を操ってきたように見えてしまう。
〇〇産業界に資金を出せば、「〇〇産業を支配」なんて簡単に言ってしまう。✕✕にお金を貸していたことを「✕✕と陰でつながっていた」「結びついていた」なんて見ることもあるだろう。それも同じだ。たしかにつながってはいるけれども、グルになっているというわけではない。
もちろん「もうお金を貸さないぞ」と強く出れば、相手…