服を買わせる戦略
「モードは死ななければならないし、ビジネスのためには早く死ぬほうがいい」──ココ・シャネル
日本の服の自給率はわずか4%でしかない(註1)。なのに日本に住む我々は一人あたり年間9キロの服を買い、8キロをゴミとして出していて、その総重量は家電4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)の年間総廃棄量約60万トンの2倍近くもある。しかも、そのほとんどをリサイクルもせずに処分してしまい、古着まで輸入に頼っているありさまだ。だというのに服を作っている業界では、流行の服を売り出す2年前から、年に2回も、流行の色や素材を決めていって、川下にいる一般人に最終的な流行の服が届く頃には、すでに2年先の流行色が決めれられている、なんてことを今でもやっている(註2)。
つまり彼らは「これが今の流行ですよ」と売り出している裏で、「次の流行」「次の次の流行」「その次の次の次の……」まで同時に作っているんであって、今の流行なんか半年くらいで廃れさせるつもりで、そういう流行り廃りのサイクルまで計画して動いてるのだ。この人をナメた態度こそが、“計画的陳腐化”の本質と言ってもいい。1950年代のアメリカでは、こうした婦人服業界の手法を他の様々なジャンルのデザイナーが取り入れて、計画的陳腐化の技術を練り上げていったため、この手法はあらゆるジャンルに及んでしまっている(註3)。まったくバカバカしい。
先進国の人々がこんなことをやっているので、世界で第3位の綿花輸出国である中央アジアのウズベキスタンでは、綿花栽培用の灌漑のために世界…