見田宗介の死、「ほんとうに切実な問い」
有名な人が死んだ時にやる追悼表明は、ちょっと苦手だった。追悼のためと言うより、その話題に便乗しているように見えてしまうことが多かったので。
けれどもさすがに、ザ・スターリンの遠藤ミチロウ氏が死んだ3年前には、追悼の記事を書いた。その時に、「自分としてはこれ以上に追悼すべき人はいない」みたいなことを書いたのだが、実はひとりいるなと思っていた。それが見田宗介だった。
誰かを英雄視したり偶像視したりするのにもまた、自分には大きな抵抗があると言っておきたい。それでもやはり、見田宗介が死んだら何か書くだろう。
見田さんは、日本を代表する社会学者と言っていい。そして自分は大学で5年間(笑)、見田ゼミに出ていた。単位は3年までにほとんど取ってしまっていたので、4年目5年目は授業に出る必要もなかった。その間、このゼミ以外に大学で何をやっていたのか、よく憶えていない。
見田さんが授業で言っていた言葉で、心に残っているものがある。「大学に入ってくる時には、みんなとてもいい問題意識を持っている。けれどもあれこれ学んでいるうちに、その問題意識が拡散してしまって、つまらないテーマで卒論を書いて出ていってしまう。それがとてももったいない」といったことだ。
「自分にとって本当に切実な問題を考える」。そういう言い方もよくしていた。
さっそく同じく見田ゼミだった友人と、あれこれ話していて気づいたことがある。自分の問題意識や研究分野を限定しなかった見田宗介の理論は、少なくともいくつかの分野に大きく分かれる。そ…