花は互いに恩恵を与えあう関係のシンボル
コロナ自粛期間がちょうど春だったこともあって、花を飾ったり花の写真をSNSにアップしたりするのが流行ったのはなかなかよかった。自分も花を摘んでは飾っていた。
食べられる植物を育てる前は、90年代終わり頃からずっと主に花を栽培していた。その頃は花が好きだとよく言っていた(今はその頃より、男が花のよさを語りやすくなったのもいい)。そのうち花に限らず、食虫植物など、面白い植物全般に対象が広がっていったのだが、それでも中心は花だった。ありとあらゆる花を栽培した。鉢は常に10以上はあったはずだ。始めたきっかけは、近所の林に咲いていたムラサキノハナナ(通称ダイコンの花)を根ごと持って帰って鉢に植えたら、それだけでもかなりいけるとわかったからだった。それ以降は、花を摘んで花瓶に活けるのもずっとやっている。花を見ながら、なぜ花がこんなにいいのかよく考えた。そもそも、花は何のためにあるのか? もちろん虫をおびき寄せて、受粉を成功させるためだ。甘い蜜も、心地よい匂いも虫への贈り物だ。花は虫に受粉の手伝いをしてもらうために、ここまで手の込んだもてなしをしている。
我々の目に見える範囲にも、花(顕花植物=種子植物)と昆虫はたくさん存在している。
「進化史上最もめざましい成功をおさめた種間関係は、昆虫と『顕花植物』の共進化である」。(真木悠介『自我の起源』)
ということなのだ。
互いに恩恵を与えあう「共進化」は、生物が最も得をする関係性だ。花とミツバチの関係では、どちらが得をしているのかよくわからない。寄生のよう…