新刊の紹介記事と蛇足的な自己解説 その2

新刊がらみでありがたいことに、その後も紹介記事が出続けたため、さらにここにまとめを。この取材の多さは前の本、その前の本よりもはるかに多く、注目度がまるで違うなと驚いた。おかげ様でよく読んでもらえていて、3刷が決まりました。 こだまさんとの対談 こだまさんの本では、自分は『夫のちんぽが入らない』にはもちろん感動したのだが、『ここは、おしまいの地』『いまだ、おしまいの地』に入っている「学校の話」にもガンと来た。心の病のことだけでなく、消極的であることがそもそも大きなマイナスである世界のことが赤裸々に描かれていた。それが笑えるところがまたすごい。そしてこの『ずっと、おしまいの地』めぐる対談では、色々経験してしまった後で、物事を肯定的に見られるようになるにはどうすればいいのか聞きたいと思っていたため、答えらしきものが見つかってよかった。いい対談になっていると思う。 村田らむさんの東洋経済のインタビュー 村田らむさんの東洋経済オンラインでの、来歴を語るインタビュー連載。高校時代は精神病院に行きたかった。どう見ても頭がおかしいから。(自分が意識することを意識する状態で、テストの最中にもそれが始まる)。部活をやめるために骨折したかった。救いはロックだけだった。(ここのところは、「その当時は世界が三つあるわけですよ。学校と家庭と、もうひとつがロック」みたいに話した)。などなど、新刊よりも多少詳しく過去のことを語っている。新刊の話も含め、読み応えたっぷりにまとめていただけているのはさすがだと思った。…

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集団に入るべきなのか問題(仲間が多いのは力が強いことである)

「人間関係を結ぶかどうか」とはまた別に、「集団に入るかどうか」の問題がある。集団に入るべきかどうかについては、新刊のなかでも言っていなかった。 ちなみに社会学で言う社会集団の定義とは、まずその集団に所属している自覚のある複数人から成っていること。そして持続的に、たがいに活動をしあっていることが条件だ。つまり満員電車に乗り合わせている人たちは、たがいに活動していないし持続的でもないので集団ではない。「不適応者の居場所」も集団ではないと思っている。規模については、自分がイメージしているのは、クラス、〇〇校生、✕✕部、サークル、職場、町内会など、そこそこ大きいものだ。 自分が挙げている人間関係のメリットには、「人から肯定される」とか「思っていることの共有」なんかがある。そして言いたいのは、これらは「今日は〇〇さんと話す」「来週は✕✕さんと一緒に行く」といった「個別の人間関係」ですべて満たすことができるということ。 つまり「集団に入らなくてもいい」ということだ。自分は集団に入ってしまうこともあったし、まったく入っていない時期もたくさんあった(今は入っていない)。それを振り返れば、そういう結論になる。 どの学校、どのクラス、どの部活なんてことがその人の肩書きのようになってしまう環境にいると、集団に入っていないと大変なことになるのではないかと感じる。けれども外れてみれば、それは関係なかった。 ただし集団に入ることにも、何かメリットがあるはずだ。それは「力」の感覚なのではないかと思う。自分…

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まだ問題認定されてない問題を言う。兄弟姉妹の加害など。

最近新刊『人間関係を半分降りる』のインタビューを受けていて、このブログに書くのにちょうどいい話になったので書いておきたい。 「まだ問題であると世の中に認定されていない問題を取り上げるのはやりがいがある」という話だ。例えばセクシャルマイノリティ(LGBTQIA)の問題が日本で広く認知されたのは、5年くらい前のことだったと思う。発達障害もHSPもここ5年以内のことだろう。それらの問題は、もちろんその前からあった。それがブレイクする瞬間を、皆が目撃したわけだ。 もちろん問題認定された問題については騒いだほうがいい。けれども、我々が直面している悩みなんて、問題として社会に認定されているもののほうが少ないのではないか。それに日の目を当てるのは、とてもやりがいがある。 新刊に書いたような人間関係の問題には、まだ問題認定されていないものが多い。例えばママ友いじめのような、大人のいじめ。そして、大人になった親子間のDV。あるいは恋愛感情と関係ないストーカー行為。地獄にもなり得る問題なのに、これらは特に法律があって取り締まられているわけではない。支援なんかも受けにくい。 いったん問題認定されると、「○○ハラスメント」のようにすごいところまで騒がれるものもあるのに、そうでないとあっさりスルーされるのはなかなかに不思議だ。 そしてそんなうちのひとつが、兄弟姉妹間の加害の問題だ。家庭内暴力、夫婦間ではなく「兄弟間」では規制する法律がない つまり夫婦間、親と未成年の子どもの間ならそれを取り締まる法律があ…

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『人間関係を半分降りる』の紹介記事まとめ

発売からほぼ一か月の間に、新刊を紹介していただけた記事をまとめてみた。こまめに自分のツイートなど見ている方には、宣伝宣伝でもう飽き飽きかもしれないのだが、自分で必死に宣伝しないとそうやすやすとは売れる立場にないので。。 この1か月間、もしかしたら盛り上がってるように見えたかもしれないが、実はずっと悲しかった。慣れない仕事ばかりで、どれもこれも思うようにいかない。もちろんなければもっと悲しいのだから、どんどんやりたい。けれども1カ月の間いつもそんな気持ちで、なんか悲しくなっていた。ひどい鬱なんだろうなと思っていた。(海に行ったらかなり回復した)。 結局、人生の悩みの原因は人間関係――「生きづらさ」を抱えた鶴見済が到達した「こまめにあきらめていく」境地(Yahoo!ニュースオリジナル)自分のことをよく知ってくれているライターの宗像氏が、90年代からの変化、自分の人間関係歴、本のテーマまで丁寧にまとめてくれたインタビュー。 『完全自殺マニュアル』著者・鶴見済が提案する“人間関係を半分休む”方法 (Quick Japan Web) この本では理屈っぽい内容はやめたのだが、もちろん自分らしく裏にはたくさんの理屈があり、その部分をうまく辻本氏が聞き取ってくれたインタビュー。 母親の子殺しや虐待のニュースに思う~「母は本能的に子を愛する」という通説への疑問 - 鶴見済|論座 これは自分が「論座」に書いた記事だが、新刊のなかの大事なテーマで、新刊紹介も兼ねている。 「半分降りる」ゆるやかなつながり …

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新刊に自分の書きづらいことを書けたわけ

新刊『人間関係を半分降りる』についての大まかなことは、著者インタビューや版元の特設ページに公開されている。特設ページやAmazonでは前書きなどのためし読みもできる。 『QJ』著者インタビュー筑摩書房の本のページamazonのページ さて、それ以外にここで言いたいことは何だろう? この本を書くときに心がけたのは、読みやすいものにすること。これまでのようなデータや分析ではなくて、エッセイや生き方本のように読みやすいものにしたかった。最大の資料になったのは、自分の10代、20代の日記だ。もちろんかなり調べてもいるが、前面には出していない。 本の帯にも書いてある、社交不安障害や兄弟間DVなどの「自分の過去の悲痛な体験」の部分が、一番興味を持ってもらえるところかもしれない。それを書かないと、「人間は醜い」という言葉の意味がわかってもらえないだろう。 これだけ長く物を書いてきたのに、今になってこんなことが言えるようになったのはなぜか?自分より若い物を書く人が、いや物書きでない人も、堂々とそんなことを書いたり言ったりしているのに励まされたからだ。(アセクシャルであることを堂々とテレビで語る若い人にも、胸のすく思いだった)。不適応者の居場所で、こんなことを話せたのも大きかった。 もっとも昔は昔で、他の誰よりも自分の言いづらいことを言うほうだったのだが。いや、もちろんまったく言わなくてもいいのだが。迫られても、嫌なら堂々と言わずにいればいい。 あとは、「気楽になる方法」を最終章にまとめていることか。…

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新刊『人間関係を半分降りる』7/1発売

久しぶりの新刊『人間関係を半分降りる』が、7月1日に発売になる。今は予約を受け付け中。詳しくは、目次なども載っているこのAmazonのページを見てもらえれば。 人間関係を半分降りる: 気楽なつながりの作り方 | 鶴見 済 |本 | 通販 | Amazon こういう事前の宣伝って、なにしろまだ売ってないのだから、どのくらい効果があるのかわからないけれども、まあこの「出版社からのコメント」欄にある、「著者からのメッセージ」を読んでみてほしい。

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