原爆に二度目はないと思われていた

1945年の8月9日、日本の上層部は、2番目の原爆を載せた飛行機が飛んできたことを、投下の5時間前に無線を傍受して気づいた。そこですぐに人々を避難させておけば、被害は少なくてすんだ。けれども何の対応もせず、空襲警報すら出さなかったため、被害は甚大になった。それは「アメリカがいくつも原爆を落とせるはずがない」と、何の根拠もなく考えていたからだった(!)。それを明かしたNHKのドキュメンタリーが非常にいい。原爆投下─活かされなかった極秘情報 (NHKスペシャル、字幕切れてるが)  まったく愚かしい。そして今の政治の愚かしさは、その頃にそっくりだ(註1)。けれども「原爆は二発」という我々にとっての“常識”から離れてみたら、一発目の威力があまりにもすさまじかった場合、愚かにもそう思ってしまうかもしれない。ならば福島はどうなのか? 我々はそのすさまじさに、こんなことは一回だけしかないような気がしていないか?(そうでなければ原発維持だなんて言えるわけがない。)(註2)  (註1)唯一まともなことを言っている首相を引きずりおろして行われる、レベル7の真っ最中の民主党代表選の争点は、「消費税増税」になりそうだという! 開戦も徹底抗戦も、原発維持も、やっても無駄だとわかっているのに、言い出せずにズルズルと進んでしまう。大惨事の責任を追及できないところは、戦後にそっくり。そしてこんなニュースがまた。 メルトダウンの可能性、12日には認識…保安院長 (読売)(註2)世界では、大事故は3回しか起きないような気もしてい…

続きを読む

なぜ日本人は世論操作されやすいのか?

「灰色の存在に気がつくと、偽造された歴史、ねつ造された『普通の感覚』、というものが見えてくる。一度気がつくと、周りにあるものが、今までとは全然違う風に見えてくる。(…)『何だ、こんな簡単なことに騙されていたのか。考えてみれば当たり前だ。何で気づかなかったんだろう』って、自分にも腹が立つ。」   ───小沢健二 『うさぎ!』第7話より(註1)「ひとつはっきりしているのは、単に原発の問題ではないと、みんな思っている。むしろ日本の社会が持っていたそもそもの構造の問題だ。」   ―――毛利嘉孝(社会学者)(註2)(註1)『子どもと昔話』31号掲載。この雑誌は図書館にあるかもしれない。(註2)『radioactivist 』予告編より ●「原発は安全」という明らかな嘘に、これほど完璧にだまされていたことを、我々はこの機会によくよく考えてみなければならない。なぜ日本に住む我々は、これほどあっさりとだまされるのか、を。自分なりに理由を考えてみると──、 ①まず、少数の全国紙が国中で圧倒的に読まれているので(それも朝夕2回も)、それらを押さえてしまえば世論操作しやすい(註3)。②記者クラブの存在。全国紙とその系列化したテレビ局(註4)、NHK、通信社2社(共同、時事。地方紙はここから配信を受けている)。これらの大メディアばかりが記者クラブのメンバーとなって、官僚や政治家や経済界と癒着しつつニュースを貰っているため、ニュースも社説も「全部同じ」になりやすい(例:TPP参加、消費税増税。対抗できるのは『週刊金…

続きを読む

浜岡原発を誘致したのは産経の社長である(追記あり)

産経新聞は今最も原発推進的な新聞と言えるが、浜岡原発を今の場所に誘致したのも、元産経新聞社長・会長の水野成夫(しげお)だった。 この男は、文化放送初代社長、フジテレビ初代社長を歴任して、「メディア三冠王」と呼ばれ、フジサンケイグループの基盤を確立した。経団連理事も努め、「財界四天王」の一人とも言われた。その彼が、生まれ故郷の浜岡町(現・御前崎市)に、「泥田に金の卵を生む鶴が舞い降りたようなものだ」と原発を勧めたのだ。読売新聞・日テレの正力、フジサンケイの水野、こういう連中が推進してきたのだから、メディアが原発を批判できないのもよくわかる。さらに、こういう少数の人間にマスコミ、経済産業界、政界を牛耳られていることに怒るべきだ(註)。 浜岡原発の歴史の記事 (朝日) 「地元出身で、「財界四天王」の一人と称された故水野成夫・元産経新聞会長が当時の町長に原発受け入れを勧めた」水野成夫 (ウィキペディア)(註)参考本:『持丸長者─戦後復興編』(広瀬隆)「浜岡原発建設主導者」として水野成夫が紹介されている。また、この本で暴かれている日本の「閨閥(けいばつ)」には驚く。閨閥とは、婚姻関係で有力者の家が網目状に結びついている血縁ネットワークで、日本では経済界と政界を縦横無尽に結んでいる。格差社会の上にいるのも、民主主義を無視して社会を動かしているのも、この連中だと思う。知らなかったわけじゃないのに、そうハッキリとは意識していなかった。(参考ニュース) 原子力発電 首相は再稼働を命じよ 電力不足は経済の活…

続きを読む

東芝、日立、三菱重工にも責任がある

電力会社がなぜ原発を推進するのか? 80年代から言われているのは、設備投資した金額をそのまま電気代に上乗せしていいことになっているからだ(註1)。原発は一基3000~5000億円と、火力発電所の3倍も高くつく。その分だけ電気代を上げることができ、儲かる。そのせいで日本人は、「世界一高い」と言われる電気代を払わされ続けている。ただしこの構造は、ややわかりにくい。 その点、東芝、日立、三菱重工という、日本に3つしかない原発メーカーが原発推進にこだわる理由は、とてもわかりやすい(註2)。受注する側としては、当然高いほど儲かるのだ。ここ数年の日本の原発ブームの重点は「原発の輸出」にあり、その中心になっていたのは、電力会社よりも、これら3つの原発メーカーだった。これら3社は日本・世界の原発の巨大な推進力であり、逆に彼らが原発を作る気をなくせば、少なくとも国内の新規増設は難しいだろう(註3)。特に東芝は、「原子力世界シェアNo1」「世界の原子力リーディイングカンパニー」を自称し、原発の輸出やウランの採掘にも熱心だった。もちろん、輸出される国の人々も、福島の人々も、我々も怒っている。それなのに「原発作りはやめない」と公言する、こういう”神経”にどう対応したらいいのか?(註4) とりあえず24日もデモがあってよかった(註5)。こんな時にデモで、同じ考えの人たちに会って、思い切り言いたいことが言えなかったら、頭がおかしくなりそうだ。そのくらいこの社会では、マスコミやら癒着やらにねじ曲げられて、当たり前のことがま…

続きを読む

日本に原発を持ち込んだのは読売の社長である

原爆を落とされた日本の人々は、もちろん原子力も放射能も大嫌いだった。その正しい嫌悪は、1954年アメリカの水爆実験による第五福竜丸の被爆で頂点に達した。その日本にどうやって原発を持ち込めたんだろうか? それをやった中心人物が「原子力の父」と呼ばれる読売新聞と日本テレビの社長、正力松太郎だった(註1)。アメリカはその頃共産圏に対抗するため、西側諸国の核装備を進めたがっていた。そのひとつの方便が、「原子力の平和利用」つまり原発だった。55年に国会議員にもなった正力松太郎は、このアメリカの意向を受け、「原子力平和利用懇談会」を立ち上げた。そこには、経団連会長を筆頭に、重工業、電力業界など経済界の主要メンバーが集まった。原子力導入に積極的な学者も集められた(註2)。そして正力は読売新聞と日本テレビなどを使って、人々の原子力嫌いをねじ曲げ、いいイメージを植えつけるべく、一大世論操作を行なったのだ。 すでにここで、マスコミ、経済産業界、学者、政界が癒着した「原発推進派」が出来上がっていて、「アメリカの意向」までが入っているのに驚く(原発に限らず、これらがこの国の裏の中枢だ)。さらにマスコミが、ここまで偉そうに我々の考えを左右しようとするのにも驚く。あまりにも我々をナメている(なにしろ、人々の感覚のほうが正しかったのだ!)。これが当時からずっと、今も変わらずに、マスコミを通じて行われていると言わざるを得ない。 デモなどを通した我々の下からの声が、推進派の連中に届いていないわけはない。連中は認めたくな…

続きを読む

「海が汚れても問題ない」という狂気

「放射能は海では薄まるので問題ない」というのが、“放射能安全キャンペーン”の最新バージョンだ(註1)。けれども、「魚には蓄積されない」として検査すらされていなかった放射性ヨウ素が(註2)、コウナゴという魚から高濃度で検出されてしまった(註3)。彼ら推進派はもう、まるっきりダメである。農民や漁民、人々の怒りも高まっているのをひしひしと感じる(註4)。けれどもこの怒りは、推進派の猿芝居を止めるまでには、なかなか至らない(註5)。「偽りの民主主義」(註6)を打ち破るまで、あと一歩だ。  (註1)汚染水、大量に流れ出ても…専門家「魚などに蓄積ない」 (日経)「専門家は「ただちに魚介類や海藻に蓄積していくとは考えにくい」と話す。」汚染水を海に流すことについても、「環境への影響は軽微」だの「この濃度なら問題にならない」だのと言いたい放題だ。海や土は漁民や農民の財産であり、我々皆の貴重なコモンズだぞ!(註2)放射性物質 茨城3漁協、魚介類の「安全宣言」 (毎日)「放射性ヨウ素については規制がないため調べていないという。」他にも規制がない放射性物質があるが、大丈夫なのか? 特にストロンチウム90がまったく出てこないのが、とても気になる。(註3)コウナゴから高濃度ヨウ素 北茨城市沖、魚も基準値検討 (共同)「厚労省は「放射性ヨウ素は魚に蓄積されず、暫定基準値は必要ないという原子力安全委員会の見解を覆す結果だ」としている。」(註4)高円寺4.10原発やめろデモ!!!!!!!の賛同メッセージが素晴らしい!(註5)このま…

続きを読む

それでも原発推進が叫ばれている

被災地と原発の問題は全然解決していないが(註1)、国はついに原発推進を見直して自然エネルギーに切り替えていくと言い出した(註2)。ただし特に輸出分野で、堂々と原発推進が公言されているのを見ると(註3)、そうすんなりいくとも思えない。経済産業界のカネ儲けへの執念に、圧倒される思いだ。これはもうカネ儲けですらなく、単なる「意地」なのかもしれない。 自然エネルギーでは電力がまかなえない、などという連中の脅しも当たらない。スペインでは風力発電が21%、その他の自然エネルギーを合わせると42%を占めているのだ(註4)。あとひと押しが足りないようなので、デモと集会に行こうと思う(註5)。 (註1)特に飯舘村がこのままでいいとは思えない。今関東にいることも体に悪いと思っている。IAEA、2000万ベクレルに修正…飯舘 (毎日)(註2)原発増設計画見直し (読売)(註3)原発輸出に引き続き意欲=海江田経産相 (時事)「同経産相は「こういう形で未曽有の原発危機を克服したと世界に対して報告したい」とも語った。」 これのどこが”克服”なのか聞きたい。 「原発推進」を明言 「島根」3号機は延期示唆--中電社長 (毎日)中国電力は上関原発の建設も続けると明言している。日本原燃社長「プルサーマルは必要」強調 (産経)ヨルダンとの原子力協定案を可決 原発事故後初の国際協定 (長崎新聞)ちなみに、ヨルダンに原発を輸出するのは三菱重工。出荷できなくなった野菜は、全部これら推進派の人たちに食べてもらいたい。安全だそうだから。…

続きを読む

放射能が恐いのは「当然」である

今、この唯一の被爆国が必死になってやっているプロパガンダは、「放射能は安全だ」というものだ(!)。特にテレビでは、専門家や評論家が放射性物質など乳児以外の人にとっては、ほとんど「無害」であるかのように言っている(註1)。作業員が原子炉の水の1万倍の放射線量を浴びても、医者は「普通のやけどの治療で回復する」と言う(註2)。彼らはこれまでも、原発由来の放射能と癌の関係を否定して来た。そうやって被曝労働者の癌も切り捨ててきたのだから、当然とも言えるだろう。 思えば原発が壊れてから、電力会社の人間、政治家、学者・研究者がマスメディアに代わる代わる現れては、ずっと「このくらいなら安全」と言ってきた。彼ら推進派(註3)が「安全です」と言い続けるのは、原発ができる前も、できた後も、事故を起こした時も、同じだった。安全どころか「原発はクリーン」だの「地球に優しい」とまで言ってきのだから、一貫しているのだ。 我々は今、地震・津波とは別の大災害(人災)に直面しはじめている。当初「4」と言っていた事故のレベルは、今の段階で「6」だ(註4)。スリーマイル以上の大事故が起きているのだ。これまでこの国では、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、川崎ぜんそく等々、色々な環境汚染・公害があったが、これほど広範囲に致命的な有害物を撒き散らしたことはなかった。これはそういう類の災害だ。原発は全然直っていないし、まだまだ放射能は出続けるだろう。大事なのはもちろん「放射能安全キャンペーン」ではなく、危険性をきちんと認めた上で、近い…

続きを読む

水道水の安全基準が緩められている

今報道では、水道水のなかの放射性ヨウ素131の安全基準値は300ベクレルと言われている。が、WHOが定めた世界的なガイドラインでは、10ベクレルとなっている(註1)。厚生労働省に問い合わせたところ、WHOの値は平常時のもので、今は事故が起きている時なので、(日本の)原子力安全委員会が定めた(註2)300ベクレルを使っている、という納得のいかないものだった。要するに基準値やガイドラインというのはある程度恣意的なもので、東京で検出された値でさえすでに基準を超えているとも言えるわけだ。原発を推進してきた人たちは当然、「こんなの大したことじゃない、大人しくしていろ」と言いたいだろうが、それは我々のためを思って言っているわけではない。自衛のためのとろろ昆布にも、いい加減飽きてきた。  (註1)WHO飲料水水質ガイドライン 203ページ (ヨウ素の元素記号は“I”)(註2)「原子力施設等の防災対策について」という資料に載っているそうだ。(参考)放射能汚染された食品の取り扱いについて (厚生労働省)      (緩められた放射性ヨウ素などの基準値が載っている。出されたのは今年の3月17日)          都内の水道水中の放射能調査結果       (新宿では22日以降にWHOの基準を超えた)

続きを読む

原発推進は反省されたのか?(追記あり)

避難していた大阪から帰ってきた。大阪では、毎日のように友人・知人に会ったり連絡を取ったりしていた。驚くほどたくさんの知人が、西日本に避難していることを知った。内輪での大体一致した意見は、「危険な状態は変わっていない」ということだった。 水道水や雨から放射性物質が検出されているのに、安全性ばかりが強調されているのには腹が立つ(註1)。けれどももっと腹が立つのは、つい2週間前まで国をあげて原発を推進してきたことが、まったく反省されていないことだ。推進してきたのは、まず原発で商売してきた“大企業”、特に電力会社と電機メーカー3社(東芝、日立、三菱重工)(註2)。“官僚”、特に経済産業省エネルギー庁。“政治家”、特に自民党、民主党(註3)。御用学者たち。そして大新聞をはじめとするマスコミだ。彼らは少なくともチェルノブイリ以降、この地震の多い列島でこんなにたくさんの原発はありえない、と散々言われてきたのに、まったく耳を貸さずに推進を続けた。膨大な税金を使って、「日本の原発は安全だ」「原発はクリーンだ」と宣伝してきた。しかも彼らは権力の中枢にいるので、誰からも反省を迫られない。今回も、このままうやむやにしてやり過ごすつもりだろう。ここで反省させないと、またほとぼりが冷めた頃に推進を始める。とりあえず、雨に濡れないように気をつけたい。 (註1)元ICU教授の田坂興亜氏は、ごく微量でも深刻な結果をもたらす「体内被曝」の可能性を無視し、CTのような「体外被曝」との比較に摩り替えている、と枝野官房長官の発言を批判…

続きを読む

放射性物質が飛んできた

大変な被災をしている人がいるのに、原発のことばかりでなんだが、これはこれで極めて重大なことなので、共有したほうがいいと思う情報を。 心配が増すようなものばかりになってしまっているが、パニックになったら困る、などと言って安全性ばかり強調したり、知らせないようなことがあるなら、それはフェアじゃないので(人々をナメている)。 とりあえず放射性物質を吸い込まないこと、雨に濡れないことは誰にでもできる対策。弱い放射線しか検出されなくても、放射性物質が体内に入った場合は話が別だそうだ。  福島原発の危機について私たちは考えます (原子力資料情報室)  (「原発から距離を置くのが最も有効な手段」とされている) もしも大事故が起こったら (原子力資料情報室) 放射能から身を守るために (よくわかる原子力HP) 東京都日野市での今日の放射線量測定値 (ナチュラル研究所)  (今日の12時頃ぐんと上がった後下がっている) 核反応生成物、都内で微量検出=セシウムなど、放射線量20倍 (時事) メルケル独首相、国内原発の稼働延長を凍結 福島原発事故を受け(AFP)

続きを読む

震災が垣間見せる「もうひとつの世界」(追記あり)

ニュースでは大丈夫そうなことを言っているが、そう思っている人もいるまい。震災自体が地獄だが、原発のほうもずっと、地獄まで首の皮一枚の状態だ。炉心溶融寸前が3機もあり、そのうち2機が水素爆発を起こしてるだなんて、もう言葉がない。震災だって悪いことばかりではないと思いたい。ある意味、「もうひとつの/こうじゃない世界」を垣間見せてくれている。もし無事に普通の状態に戻れたら、こういうふうに助け合いながら、停電はあってもいいから原発のない社会に、工場は止まってもいいから、エネルギーを浪費してまで成長を目指さない社会にしていけばいい。そう思える。とりあえず自分も節電するので、飲料自販機のコンセントを抜いてもらって(註)、ネオンサインを消してもらおう。 (註)国内の清涼飲料の自販機260万台が使う電気は、原発1基分の発電量になる。 ⇒缶ジュースに見る消費社会の問題  自動販売機という無駄(参考)山口県知事、上関原発の工事中断を要請 (日経。素晴らしい!)      米第7艦隊、原発風下から離脱 放射線検出受け (AFP)    原子力事故が起こったら 市民の防災ノート伊那谷版関連日記:原発の輸出を喜ぶ国  日本の原発輸出を大新聞が推している          なぜ原発は推進されるのか (追記) 15日になって、2号機の爆発、4号機核燃料プール付近の火災で、首の皮一枚つながっているかどうかわからなくなった。 福島第一原発4号機、超高濃度放射能が拡散 (読売) 仏大使館…自国民に外出自粛の呼びかけ …

続きを読む

これでもまだあなたは原発に怒りませんか?

原発のニュースを見ていると、まるでジェットコースターに乗っているようだ。原子炉本体が爆発していないなら、こんなにありがたいことはないが、ではあの爆発は何だったんだ!? 災害はどの施設も同じように受けた。なのに原発だけが、ここまで危険になりうる。いつかこの事態が落ち着いた時、原発の計画を180度見直すことができないようなら、それでも「理想論ではなく現実的には原発は不可欠」などという言葉にだまされ続けるなら、ここまでの目にあってもまだ原発とそれを推進してきた連中に怒れないなら、もうこの国の国民はおしまいだ。と思いながら、晩飯にはとろろ昆布の味噌汁を飲んだ。───────────────────────────────── (爆発映像)Japan earthquake: Footage of blast at nuclear plant (BBC)なんでここで、海外のニュースを紹介しなきゃならないんだ?(参考)原発事故、世界に衝撃 欧米・新興国で推進政策見直しも (日経)日経だけに、この期に及んでもまだ日本の原発を精一杯擁護しているところがムカつくが、この原発事故は世界の原発政策を左右し得る。反対するのに地元住民かどうかなんて小さいことは問題にならない。 写真は爆発中の福島第一原発。

続きを読む

原発の批判はマスメディアに出ない

上関原発の工事を強行せず、立ち止まって考えることを求める「モラトリアム・カミノセキ」の記者会見はためになる。出席者は鎌仲ひとみ、田中優、池田香代子、らんぼう、坂田昌子、坂口恭平、マエキタミヤコ各氏。 特に田中優氏の話が面白い。N新聞社から本を出そうとしたところ、原発に関する部分を次々と削らされた挙句、本自体が出ないことになったという。マスメディアでは出せない”コード”があり、それは都市伝説ではない、と強調している。 ⇒3/2モラトリアム・カミノセキ記者会見 (Ustream)  (写真は会見の様子)       モラトリアム・カミノセキHP 今ならこうしてインターネットで知ることができる情報も、これがなかった頃はマスメディアが握りつぶしてしまえば、ほぼ埋もれさせることができたはずだ。 原発に限らず、大企業や経済界全般について、日本のマスコミはこういうことをやってきた。90年代にナイキのスウェットショップ・スキャンダルを握りつぶしたように、こうやって経済界を守ることが、彼らの大きな役割になっている(註)。 ──────────────────────────── (註)その証拠に新聞の経済面には、「○○社の新製品△△が新発売。特徴は×××××。値段は□□円。」などというジャーナリズム精神のすべてをかなぐり捨てた”記事”が、広告としてではなく、毎日のように載っている。あんな紙面は、大企業とベタベタに癒着していなければできるわけがない。 (参考映像)2/16鎌仲ひとみトークライブ (…

続きを読む

19、20歳の若者が上関原発反対のハンスト中(追記あり)

今現在、上関原発の工事の中止を求めて、19歳と20歳の若者5人グループが、山口県庁でハンガーストライキを決行中だ(註)。この寒さのなかで、連日何も食べていないという。偉いぞ、若者! それが普通だ。「カネのためなら、どんなこともやむを得ない」という経済界の論理にどっぷり浸かっているのでなければ、原発がいいだなんて理屈はわからない。全国から集まった10代を中心としたハンガーストライキ 声明文 自分は、28日(金)に行われる“原発ふざけんなイベント”に出る。原発で儲けている連中のことや、「人間界の経済」というやつがいかに狂っているかを話そうかと、今のところ思っている。メインは、岩手県で六ヶ所村の再処理工場の反対運動を起こしている永田さん。素人の乱の松本哉君も話す。トークイベント[原発どうする?] (素人の乱12号店) (註)原発に抗議 県庁でハンスト (中国新聞)参考ニュース:前エネ庁長官、東電顧問へ「天下り」 退官から4カ月余 (朝日)(電力業界は経済産業省と深く癒着している。)聞きたい:東芝・佐々木則夫社長 (朝日)(東芝の原子力事業部上がりの社長は、原発を事業の柱に位置づけている。) 関連推薦映画:『祝の島』HP 関連アクション:ストップ!上関原発! あなたにもできる原発反対運動 関連日記:原発の輸出を喜ぶ国  仕事を選べないという問題 原子力はクリーンなエネルギーではない (追記) イベントはおかげ様で、50人近い人で一杯で、なんとハンスト中の若者たちのお母さんも来てくださ…

続きを読む

原発の輸出を喜ぶ国

山口県の上関原発予定地の埋め立てにやってきていた中国電力の船を、反対する人々が猛抗議で追い返したのが、10月25日だった。祝島の反対で有名なこの上関原発問題は、名古屋のCOP10でも取り上げられ、今回はハンガーストライキや、著名人による反対の署名運動もあった(註1)。 けれどもこのことは、ほとんど報道されなかった。 その1週間後には、ベトナムに2基の原発を輸出する話が決まったと各大手新聞がトップニュース扱いで報道した(註2)。こんなことで、日本中が大喜びしているかのようだった。日本で原子炉を作っているのは東芝、日立、三菱重工の3社だが、これに東京電力など電力会社9社、投資ファンド1社、そして政府を加えた”オール・ジャパン”チームが一丸となってベトナムに原発の売り込みをかけていたのだった。 日本は原発に限らず、ダムなどインフラの輸出でも、「南」の国々、特にアジア諸国に大迷惑をかけてきた(註3)。そういう輸出もAPECやTPPによる自由貿易を進めることで、一層やりやすくなる。そこで各大手新聞は、政府のなかでも意見が割れているTPP参加について、「参加以外に道はない」「ためらうな」と連日連日、一大キャンペーンをやっている(註4)。 この国のマスコミは政治については、一応いいことも悪いことも言う。けれども経済については、大企業のPR活動のようなことしかできない。だから我々は、大企業に文句を言うことができずにいる。 (註1)参考:祝島島民の会blog (註2)ベトナムの原発受注で合意…日越首脳会…

続きを読む

日本の原発輸出を大新聞が推している

「日本の原発を中東で売る」(The Asahi Shinbun Globe) こんな大見出しが、朝日新聞を開いたら目に飛び込んできた。朝日新聞が時々挟み込む、(グローバル経済を応援するための?)特別紙面だった。 チェルノブイリ原発事故以降はコソコソとやっていたはずの原発産業側も、今では堂々と、東芝、日立製作所、三菱重工の各責任者が、顔写真を出して意気込みを語っている(これら大広告主のメリットになるなら、大新聞も反対しないだろう)。記事では、原子力を「環境に優しいエネルギー」などと同じく堂々と書いているが、放射線を半永久的に出し続ける、安全な処理のしかたもわかっていない“放射性廃棄物”を出す原子力発電なんかより、石油を燃やしたほうがよほど環境に優しいことなど、少し考えれば子どもでもわかる。そんな原発を、世界最大の石油の産地である中東に売るとは……。 原発を受注すると「1基当たり数千億円にもなる」そうだ。「民主党政権は、官民一体での原発ビジネスを「成長戦略」の一つに位置づけた」ともある。彼らはカネさえ儲かれば何でもいいのか!?我々が生きている世界は、経済と行政が結託した勢力に支配されていると思う。 関係音楽:ザ・ブルーハーツ『チェルノブイリ(live)』(You Tube)関係映画:『ミツバチの羽音と地球の回転』 『祝の島』 関係日記:原子力はクリーンなエネルギーではない 写真は86年に事故を起こして世界中をパニックに陥れたチェルノブイリ原発。無関係サイト:暑くなる東京(東京都環境局)

続きを読む

仕事を選べないという問題

青森県の六ヶ所村にある使用済み核燃料再処理*)工場のことを考えていくと、この過疎化した村には今のヒトが直面してる問題が凝縮されているように思える。エネルギーの問題に限らず、「どうやって働いて生きるか」という問題についても考えさせられるのだ。 来年2月に本格的に動き出す予定のこの施設については、かつて反対派と推進派が2派に分かれて対立していたのに、今では人口1万2千人の村民中、反対しているのは5~6人程度になってしまっている。村会議員の3分の2は、建設関係者だ。 反対派がいなくなった背景には、国がカネをばら撒いて黙らせたという経緯もあるようだが、なによりも、すでに多くの人の生活がこの工場やその関連施設で働いた収入で成り立ってしまっているという事実がある。 もちろん本来ならば、村に仕事がないなら、核処理工場を建てて仕事を作るのではなく、従来からあった漁業や牧畜業を復活させたり、あるいは観光業を興したりするために国がカネを使うべきなのだ。 が、別の意味で深刻なのは、この「すでにそこで働いたカネで生活してしまってるから反対できない」という構造が、この我々がいる企業社会全般についても言えるのではないか、ということだ。 原子力施設に限らなくてもいい。軍需産業でも証券でも広告でも、あるいはなくてもいい缶飲料の新商品の製造でも、すでに多くの人がそれに関係する経済領域で働き生計を立ててしまっている以上、それらの人は、労働条件の改善を要求することはあっても、その産業が存在すること自体をも…

続きを読む

原子力はクリーンなエネルギーではない

「原子力はクリーンなエネルギーではない」。こんな当たり前のことを、最近は本気で主張しなければいけないのか? 電力会社や政府は「原子力発電はCO2を出さないから、温暖化を進めないのでいい」なんて宣伝をしているようだが、地球環境のために原発を推進するなんてバカげた理屈がこの世に存在するのか? 原発は放射性廃棄物を出す。そのウランが核分裂した後の物質の集まり(いわゆる「死の灰」)は、その後数万年とも数百万年とも、あるいは半永久的とも言われる長きにわたって高レベルの放射線を出し続け、人体や環境に害を与え続ける。人類はこの放射性廃棄物という典型的な「負の遺産」をどうすればいいのか、今でもわかっていないのだ。 放射線を出すくらいなら、CO2を出したほうがまだマシだと言える。 だというのに、原発回帰は世界的な傾向で、アメリカやヨーロッパも、スリーマイル島やチェルノブイリの事故以来脱原発を進めていたのに、ここに来て中東への依存度やCO2の排出量を減らすために(!)、原発に回帰しようとしている。 (人類は20世紀に入って、原子力(核)エネルギーという新たなエネルギー源を見つけた。けれどもそれに伴って出る「放射能」をどうすればいいかわからなかった。──ということで原子力開発への結論は出たんだとばかり思っていたんだが。) さらにアジアでは中国やインドなど、経済成長を進めたい国はもちろん、これまで原発などもたなかった国々まで、新たに原発を作ろうとしている(実際に作るのは日本やアメリカやヨーロッパの企業…

続きを読む