巨大台風が来ると盛り上がるわけ(みんな一緒編1)

DSC_2378.JPG「この特殊なメカニズムは、現代社会において、大部分の正常なひとびとのとっている解決方法である。簡単にいえば、個人が自分自身であることをやめるのである。すなわち、かれは文化的な鋳型によってあたえられるパースナリティを、完全に受けいれる。そして他のすべてのひとびととまったく同じような、また他のひとびとが彼に期待するような状態になりきってしまう。「私」と外界の矛盾は消失し、それと同時に、孤独や無力を恐れる意識も消える。」

「個人的な自己をすてて自動人形となり、周囲の何百万というほかの自動人形と同一になった人間は、もはや孤独や不安を感ずる必要はない。しかし、かれの払う代価は高価である。すなわち自己の喪失である。」


これは、社会心理学者E・フロム『自由からの逃走』(1941年)の一節。彼は大衆社会やファシズムに熱狂する人々の心理を研究して、この歴史的名著を書いた。彼はナチスによってドイツを追われ、この頃はまだナチスの全盛期だった。ただし、ナチスのことを中心に語っている本ではない。
この本の趣旨は、自由を追求すると人は孤独で不安になるというもの。ここは、人がどのようにそこから逃れようとするかの三つのメカニズムのうち、どの社会でも人々が最も普通に取っているやり方を述べているところだ。つまり大衆の心理について語っている。
ここは自分がこの本のなかでも一番気に入った部分で、大学のレポートなどに何度引用したかわからない。


さて、すでにここまでで長くなってしまった。
巨大台風が来ると盛り上がる話の続きを書こうとしたのだが、この先もそこそこ長いので、いったんここで切って、続きはまた次回に回したい。そこには、「みんな一緒」を求める気持ちについて書こうと思う。

ただこの引用文は、現代の我々について書かれたものなのだ。当時に比べれば人々は各々、そこそこ個性的になった。買う物も身につけている物も、20世紀前半ほど画一的とは言えないし、たったひとつの流行に全員が右往左往する度合いも、当時よりは少ない。
ただ、この文章が今でも十分通用することは読めば明らかだ。本質を突いた文章は、いつの時代でもそういうものだ。

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