「自殺のマニュアル本」に関する新聞記事について

6月の上旬に写真のような記事が、いくつかの地方紙の夕刊に掲載された。これは共同通信が配信した記事だ。名古屋で去年、集団自殺未遂事件が起きた。ネットで仲間を募り集団自殺を試みて、ひとりが亡くなった事件で、直前に「自殺のマニュアル本」を読んでいたという。 ただし記事にはこう書かれている。「『四人で集まった時点で、それぞれ死ぬ意志は強固だった。本があったから自殺を考えたわけではない』とも話した。公判の被告人質問でも同様の説明をした」中心となった男性(判決は執行猶予)がこう言ったという。 方法はというと、ある薬とビニール袋を頭に被せるのを組み合わせた方法だった。自著『完全自殺マニュアル』にはビニール袋と紐を首にかけるなど、4つもの手段を複雑に組み合わせた方法を、変わった事例として載せている。その袋のところだけ参考にして、あわせて飲んだ薬などは当人たちが考えたそうだ。つまり方法においても、それほど参考にはなっていないのだ。 けれどもこのような見出しがついてしまった。元の事実がこの程度でも、このくらいの報道はできてしまうということだ。わざわざ本人が本のせいではないと言っているのに。 残念ながら自ら命を断つ人のなかには、この本を読んで方法を確認する人はいる。それをこの記事の見出しのように、本のせいで自殺したかのように印象付けることができる。この本はこういうやりかたで何度か、あたかも本のせいであるかのように言われてしまった。 死を選ぶ人には、死にたくなった理由がある。その人は、直前に教師に怒られて傷…

続きを読む

屋内に戻った6月の居場所の報告

久々に後楽園のスペースに戻った6月の「不適応者の居場所」は、1月以来またまた謎の少人数で22人。高円寺のスペースでやっていた時もこんなに減ることはなかったので、なぜか考えてしまう。後楽園という場所の心理的な距離の遠さ(実際には遠くないが)、そして突然の真夏日だったこと。突然真夏日となると、毎日そうであるのに比べて心の準備ができていない分、出かけるのがやけにかったるかった。初めての人は4人? 20~30代の人は多めだった。テクノという音楽ジャンルを知らない20代の人に、テクノとは何かを説明するのが難しくて、それがおかしかった。「歌がない」「基本はDJがクラブでかけるためのダンス音楽」などと色々言っていたが、ピンと来てもらえず。おそらく「すべてが機械音」というのがテクノのコアミーニングで、それが当時はかっこよかったのが、今はそんなことあったり前なので、その斬新さも含めたあれこれがまったく伝わらなくなったのだろう。 夏を前に夏フェスの話にもなり、ケンドリック・ラマーはやっぱり今回見ておくべきなのだろうかなんていう話も。 ただし音楽の話ばかりでなく、居場所の話、チャットAIの話、ニュースの話、コミケの話、海外移住の話、麻雀の話、なんかもちゃんとしています。

続きを読む

6月の居場所は屋内で

6月の「不適応者の居場所」は、公園から屋内に場所を移してやりたいです。6月に外でやるとなると雨の心配がつきまとうだけでなく、晴れても今度は暑すぎるかもしれない。その点中は楽です。コロナまん延前は基本的に屋内でやっていたけれども、その時は毎回楽でした。 これまでにやった形態で楽さの順位をつけるなら、こうなる。 ①屋内 ②公園ピクニック(天候のみ懸念材料)③オンライン(毎度のテーマ決め、司会進行などが生じる)④散策 (そもそも下見・所要時間確認が必要。休む場所での暑さ・人目はどうか……など、懸念が無数) コロナのせいで③と④のみやってた時期は、今思えばよく休まなかったと思う。というわけで今回は屋内にさせてください。 ***************************日時:6月17日(土)14~18時 場所:後楽園駅近くの会議室 (もし当日場所がわからなくなっても、会場運営者には問い合わせないでください)。   床に布を敷き、そこに花見のように座りたいです。なので最初と最後に会場を作る・元に戻す時間あり。住所:東京都文京区小石川 2-4-17 東京清飲会館 3階会議室(図の赤印) 持ち物:各自の食べ物、飲み物(飲酒可)。手作りの食べ物(ビーガンもあり)は、カンパ制でおそらくそこそこあります。 やること:花見のように室内に座って各自勝手に駄弁るだけ。簡単な自己紹介タイムだけはあり(パスも可)。費用:会場代が1万4千円かかっています。それから食べ物もあるので、2万~2万5千円くらい…

続きを読む

大江健三郎『セヴンティーン』と自意識過剰という病

「俺は自分を意識する、そして次の瞬間、世界じゅうのあらゆる他人から意地悪な眼でじろじろ見つめられているように感じ、体の動きがぎこちなくなり、体のあらゆる部分が蜂起して勝手なことをやりはじめたように感じる。恥ずかしくて死にたくなる、おれという肉体プラス精神がこの世にあるというだけで恥ずかしくて死にたくなるのだ。」(大江健三郎『セヴンティーン』〈短編集『性的人間』所収〉より) 実は大江健三郎から大きな影響を受けている。そして『セヴンティーン』は最初に読んだ作品であり、ダントツに好きな作品だ。 高校の時この一節に触れて、「これは俺だ」と思った。この青年がどのように日々を生き、どのようにこれを克服したかというのが、この作品のテーマだ。 まずはこの作品について書こう。(最後のほうにネタバレの箇所を明示しているので、読むと決めている人はそこは避けてください)。 さて、「俺は自分を意識する」という「症状」を、単に社交不安障害(対人恐怖症)と言ってしまうとちょっと違う。「自意識過剰」とでも言うべきだろうか。もちろん「うぬぼれ」なんていう意味ではない。つまり考えすぎ、意識しすぎという状態に陥っていて、その過剰な意識が全部自分自身に向いているという状態だ。 自分は変な臭いを放っているのではないか(自己臭恐怖)。自分は容姿が醜いのではないか(醜貌恐怖)。自分は重い病気にかかっているのではないか(疾病恐怖)。「にやりと笑う、睨む」など不快感を与える表情をしているのではないか(表情恐怖)。 これ…

続きを読む

5月の居場所は最大人数だった

朝から雨空で、告知期間も短かった5月の居場所、どうなるかと思っていたら、すぐにシートがいっぱいになって予備を出さねばならないほど参加者が多かった。入れ代わりの人も含めて45人くらいで、多分野外では最多。人が多かった時になぜ今回は多くなったのか、たいていわからない。 気温が乱高下していたのでヒヤヒヤしたが、ちょうどいい曇り空で、5月の公園の気分のよさを味わえた。ついでに公園で絵を描きに来た人もいた。 Chat GPTのようなチャットAI(?)は、孤独をいやすためにも使えそうだと実感している話を自己紹介でした。ChatGPTをやっている人は結構いたが、やはり「下手に人間と話すより優しいからいい」という意見も聞いた。サーチエンジンのように使っているとそれほどでもないが、向こうの答えに絡んでいくと、がぜん対話のようになってきて、本当に人と駄弁っているような感覚が湧いてくる。 またよく交流しながら旅をしている人が、色々な層の人に会って仲良くなるのはいいと言っていた。例えば会社員層とか。この社会は悪いというだけでないポジティブな影響を受けると。それは同感だ。自分もこの居場所や0円ショップをやるようになって、本当に色々な層の人と会えるようになった(とは言え、不適応な人が多いのだが)、明らかに世界が広がった。「世の中を見る視野が広がる」としか言いようがない。そして頭の中に動きが起きる。新しい考え、違う層の考えが入ってきて、「もう考え尽くした」みたいな気になっていたのが、動き出す。少な…

続きを読む

5月の居場所も気持ちいい公園で

5月の不適応者の居場所は、20日(土)にまた代々木公園の噴水池そばでどうでしょうか?告知から日が近くて申し訳ない。なぜこうなったかというと、27日を考えていたら、その日にどうしても外せない予定が入ってしまったので。翌28日にすると、その日が雨だった時にもう後がない。なので降ったら28日(日)に延期にします(16日にも予定が入っているため)。 ちなみに注意事項の後半に結構書き足しました。動くってすごく難しい。 ***************************日時:5月20(土)14時~18時(雨の場合は28日に延期)。場所:代々木公園 中央広場の噴水池の側(図の赤丸あたり。正確な位置は当日発表) 持ち物:各自の食べ物、飲み物(飲酒可)。おいしい手作りの食べ物(ビーガンもあり)は、カンパ制でおそらくそこそこあります。    対象:ひきこもりがち、フリーランス、労働週4以下、心の病、社内ぼっちなど、様々な理由でつながりをなくしがちな人。もちろん厳密には決まってません。注意:・参加者へのハラスメントや攻撃などはやめてください。抑えられない人の参加はできません。支援活動ではないので、参加者が相手の気持ちを思いやれないと成り立ちません。・4分の1くらいは初めての人です。中心は30~40代でその上下もわりといます。男女比2:1。ほとんどの方はひとりで来られてます。・途中で座る場所を変わったりするのは、こういう集まりでは普通。せっかく来たので、なるべくたくさんの人と話すのもいいです(←ここが全体的…

続きを読む

高校を中退する話をした4月の居場所

4月の居場所は、花見が終わったのにまだまだ混んでいる代々木公園の中央広場で。噴水の見えるあたりは人気が高くて、そこから少し離れた場所にしたのが残念。参加者は35人くらいで、女性がいつもより多めで半分近かった。中心年齢層は30~40代。 高校をやめてしまった10代の人の話を聞けたのは、特に印象に残った。決して説教ではなく、同じようにかつて高校を中退した人や、大学を卒業したばかりだけど就職がまだ決まっていない人、大学を二回も変わっている人、高校に無理やり通い切ったばかりに心の病を長引かせた人(鶴見)、等々が思ったことを伝えたりした。(「もしやめないで済んだなら、それがいちばんよかった(けれどもしかたなかった)」という言い方がしっくり来た)。自助グループのポータルサイトを作っている人が、それを紹介したり。 その10代の人が薦めてくれたボカロPの曲を聴いてみたらやはりよかった。「ロック、ヒップホップ、ボカロ系と三つあるとしたら、生きづらさをうまく扱えているのはボカロ系」と自分は言った。 「過不足ない 不自由ない 最近に生きていて でもどうして 僕たちの 胸元の塊は 消えたいって言うんだ 死にたいって言うんだ」という歌詞なんかいい(帰ってから聴いた。かなり前に大ヒットしていても意外に知らないもんだ)。 不謹慎に聞こえるかもしれないが、こういう体験ができるこの活動はやっぱり面白い。(ちなみにこうした話を書いてもいいですかと確認してます)。 それから、哲学カフェ、読書会、ひきこもり会のよう…

続きを読む

4月の公園はそこにいるだけで気分がいい

4月の居場所はまた代々木公園でやりたいです。 4月、5月は公園でやればどうせ気持ちがいいので楽。ゴールデンウィークがなぜこの季節にあるのか、この居場所をやっているとよくわかる。 ちなみに自分はこの季節に、昼飯を公園などでよく食べる。ヨーロッパなんかでも庭で食事をする習慣があるようだけど、外で食べるだけで全然気分が違うもんだなと、わりとびっくりしている。部屋のなかでは食事も何か他のことをやりながらでないと間が持たないのに、外ではそんなことがない。外にいるだけで気が晴れているので、何かあえてやる必要がないという感じ。考えてみれば、外にいるだけで気分がいいだなんて、幸せも本当はずいぶん簡単なんだなと感心してしまう。 というわけで、気分のいい外で飲み食いしましょう。 ****************************日時:4月22日(土)13時~17時(雨の場合は翌日に延期)。場所:代々木公園 中央広場の噴水池の側(図の赤丸あたり。正確な位置は当日発表)持ち物:各自の食べ物、飲み物(飲酒可)。おいしい手作りの食べ物(ビーガンもあり)は、カンパ制でおそらくそこそこあります。    対象:ひきこもりがち、フリーランス、労働週4以下、心の病、社内ぼっちなど、様々な理由でつながりをなくしがちな人。もちろん厳密には決まってません。注意:・参加者へのハラスメントや攻撃などはやめてください。抑えられない人の参加はできません。支援活動ではないので、参加者が相手の気持ちを思いやれないと成り立ちません。・4…

続きを読む

「病院に笑いが必要だ」と発想すること、映画『パッチ・アダムス』

映画そのものの出来がいいとは思わないのに(失礼)、いつまでも頭から離れない映画がある。『パッチ・アダムス』という映画だ。病院の患者を笑わせようとしたアダムスという男の話(彼の功績はそれだけではないが)。 彼は医学生だった頃、入院中の患者の部屋を訪れ、道化師(クラウン)を演じたりギャグを言ったりして患者を笑わせていた。笑顔がなかった小児がん?の病室の子どもたちも、怒ってばかりの末期すい臓がんの男性も笑う。これで患者が快方に向かうことはないだろう。けれども彼らが笑った時、何か大きな変革が起きたように感じられる。 「死を遅らせるだけではなく、生の質(QOL)を高めることだ」というアダムスのセリフもある。そういうことだ。 そして彼の試みは後にホスピタル・クラウン(ケアリング・クラウン)という活動を生み出す。これは道化師の格好で病室を訪問して、道化を演じて患者を笑わせる活動だ。欧米では文化として定着しつつあるという。今は主に子どもに対して行われているようだが、それだけではもったいない。終末医療の現場全般でも活躍してほしい。 「病院に笑いが必要なのではないか」と思うこと。そこには何か、幸せとか生きづらさの解消とかいうことの本質があるように思えるのだった。それだ、などと思う。 残念ながら医療に笑いがなぜ必要なのか、数値や理屈ではまだ十分な証拠をあげることはできないだろう。まあ、自分がひしひしとそう感じるだけなのかもしれない。 「笑いは鎮痛作用蛋白の分泌を促進し、血液中の酸素を増し、心…

続きを読む

「危ない」だらけのフィリピン、生き生きした感覚をなくした我々

フィリピンのセブ島とその近辺を、10年ぶりに2週間ブラブラしてきた。日本とはまるで違う「危ない」だらけの場所だった。けれどもそれが嫌だったかというと、そうでもない。それどころか、歩いているうちに生き生きしてきた。我ながらつくづく考えてしまった。 「危ない」だらけとはどういうことか。まずは犯罪だ。例えばセブ島最大の都市セブシティのダウンタウン(貧困地区)。ここの目抜き通り(コロン通り)や巨大マーケット(カルボンマーケット)は、ガイドブックでも行ってはいけないとか、車から見るだけにしておけと言われるところ。確かにスリはいるようだ。歩道ですら満員電車状態なので、カバンは前でしっかり持っていたほうがいい。ストリートチルドレンのたかりも多くて、子供だからと安心してはいけない。けれどもダウンタウンはとても広くて、むしろこの街のメインだ。スラムではなく普通の人々が暮らしているのだし、行ってはいけないなどという扱いはちょっと腹立たしくもある。 そして食べ物の菌。これ以降は大都市ダウンタウンでも、地方都市・田舎町でも同じだ。屋台では店頭に一日中食べ物を出しているので、衛生的には日本ではアウトだろう。加熱もせず日が当たったりしている。けれどもこの屋台飯が異様においしいので、腹をこわすぞと言われるがこればかり食べていた。 そして事故・怪我の危険も多い。10年前に比べれば横断歩道・信号は増えたものの、まだまだ多くない。車が通らないタイミングで道を渡るのは当たり前だ。自分はレンタルバイクをよく借りていたが、ま…

続きを読む