2011年01月22日

日本でも遺伝子組み換えが認可される

遺伝子組み換え大豆畑.jpg日本でもついに遺伝子組み換え(GM)作物が認可されそうだ。

今回申請されたのは、医薬品系農薬グローバル企業である「バイエルクロップサイエンス社」(註1)の除草剤耐性ダイズで、日本の農水省はこれを認可しようとしているが、その前に一応人々の意見(パブリックコメント)を募っている。

これに対して、『オルタ』を出しているアジア太平洋資料センター(PARC)がサイバーアクションを起こしている(ただし今日まで)。

農林水産省パブリックコメントにあなたのメッセージを! (PARC


GM
作物を作るということは、遺伝子を組み替えていない普通の植物はすべて枯れてしまうほど強力な農薬をぶっかけるということであり、それがぶっかけられた農作物を誰かが食べるということだ。だから農薬メーカーが開発しているのだ(註2)。

これがTPPによる自由化に備えた、日本の農業の立て直しの一環なのかもしれない。完全に間違っているが、間違った方向で一貫しているので手が焼ける(註3)。

(註1)バイエルクロップサイエンス社HP

(註2)参考日記:グローバル企業は種も独占する
(註3)日本はコメの輸入自由化を警戒して、新しい販路を確保しようと、中国にコメを輸出しようとしている。わざわざ輸送に使うエネルギ−を浪費してコメの輸入と輸出を同時に拡大しなくてもいいから、自分たちで作ったコメを自分たちで食べればいい、ということくらいわからないのか!?

農産物の対中輸出拡大へ コメ含め日中が基本合意 (産経)

写真は遺伝子組み換えダイズの畑。これだけの広い面積に他の植物は一切生えない、生物多様性の対極にある場所。
posted by 鶴見済 at 12:11| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2011年01月18日

正月の山谷で”豊かさ”を感じた

山谷 共同炊事2.jpg今年の正月(2日)は、山谷(とその近辺)の餅つきと共同炊事に行った(註1)。

寄せ場の炊出しというと、支援をする人が猛烈な勢いで食事を作り、配っているのかと思ったら、ここでは支援をする人とされる人の区別はなかった。

午前中には皆で、ワイワイと餅をつき、餅をちぎり、それでもあっという間に100人分の雑煮が出来上がった。午後は同じようにワイワイとやっているうちに、チゲ鍋ご飯300人前がズラリと並んだ。これを皆で一斉に立ち食いする様は壮観だ。

そして炊き出しに来ている人たちは、初対面であっても、一緒に作業をしていても、とても話しやすい。
“豊かさ”とは対極にあるはずのこの場所で、確かに“豊かさ”を感じた。皆で競争から降りてしまった時のような気分。世の中の空気もこうなればいいのだ。

共同炊事は毎週日曜日に行われていて、もちろん誰でも参加できる(註2)。


(註1)渋谷では、ナイキのせいで宮下公園が使えなくなったっため、美竹公園で年末年始の炊き出し・催しが行われた。⇒渋谷越年越冬闘争 (YouTube

(註2)詳しくは⇒ 山谷労働者福祉会館HP

写真は以前の、山谷での年末年始の共同炊事の様子。

posted by 鶴見済 at 22:00| 日記 | 更新情報をチェックする

2011年01月13日

南米では革命が起きているのに

チャベスと民衆 2004年.jpgオリバー・ストーン監督の映画『国境の南』が、日本で公開されないのが痛い。
この映画では、ここ10年の間に、南米大陸で貧困層(というか富裕層でない一般の人々)のための政権が続々と生まれていることを生き生きと伝えている。今や南米では、従来どおりの富裕層優先・親米の政治を貫いている国はコロンビアくらいになっているが(日本はこのコロンビアに似ている)、この重大な事実が日本ではほとんど知られていないのだ。


その革命の先頭を切ったベネズエラでは、99年にチャベス大統領が就任して、最低賃金を引き上げ、貧困層(一般人)に無料で医療や教育を与え、スラムでの居住権を認め、職業訓練などの失業対策を進めた。アメリカとも躊躇なく対立した。国の貧困率は大きく改善し、彼はもう10年以上も人々から圧倒的な支持を得ている。

こういうふうに政治を変えることはできるのだ。社会を豊かにするためには、我々が思い込まされているように、景気を回復させ、消費や輸出を伸ばし、大企業を儲けさせ、皆がそこで雇われるようにする以外にない、なんてことはない。そんなものは”豊か”でもなんでもなく、”大企業の経営者が望む社会”でしかないのだ。


south of the border.jpgチャベスのこの政策に対してベネズエラの富裕層は、自分たちは何も生活に困っていないくせに、全力で反チャベス運動を展開している。そんな彼らの最大の武器は、民放テレビと新聞を中心としたマスメディアである。2002年には、アメリカの力を借りてクーデターも起こしたが、失敗した。この時、2日間だけ大統領の座に就いた首謀者は、軍人でも政治家でもなく、ベネズエラ経団連の会長だった(!)。

少なくともこの国では、一般層のための政治に反対するのが経団連の会長であり、商業的マスメディアが彼らのプロパガンダの道具であることは、どれだけ強調してもしたりない。日本の社会についても、思い当たることがある。


このベネズエラ革命は、南米全土に飛び火している。

このことを日本のメディアがまったく報じないのは、極めて不自然ではあるが、意図的なことなのかどうかはわからない。ただそのせいで、我々が別の選択肢(オルタナティブ)を想像できなくなっていることは間違いない。

参考:勢いを増す南米の左派政権 (知恵蔵2010の解説)
オリバー・ストーン『国境の南』インタビュー (デモクラシー・ナウ・ジャパン)

『国境の南』予告編 (YouTube、英語)
関連日記:選挙には行こう
図上はチャベス大統領とベネズエラ民衆(2004年)。下は『国境の南』のポスター。デザインはやはり黒と赤に星。
posted by 鶴見済 at 00:36| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年12月23日

沖縄・高江で米軍基地建設が始まった

高江の上空にぶら下がる米兵.jpg新聞の世論調査では、普天間基地の国外移設を望む人が、沖縄だけでなく全国でも最大多数を占めている(註)。それなのにまだ国は、沖縄に米軍基地を広げようとしているのだ。

UAが賛同していることで知っている人もいると思うが、沖縄では辺野古だけでなく、北部の村・高江でも、長い間米軍用ペリパッド建設反対の座り込みが続いてきた。ここでとうとうフェンスの設置工事が強行された。これに反対して、新宿でもデモが行われる。

ゆんたく高江  やんばる東村 高江の現状


「国民の意向」より「アメリカの意向」を、この国の政府は尊重してきた。この国の政策は軍事に限らず経済でも、アメリカのコピーみたいなもので、軍隊も資本も農産物も規制緩和も、アメリカの言いつけどおりに招き入れてきた。それにこのまま耐え続けるのは、あまりにもやってられない。


(註)
普天間日米合意「見直しを」6割 朝日新聞世論調査

写真は高江上空での米軍の訓練。ヘリに吊るされているのは米兵。こういうものが自分の家の上空にぶら下がっていたら、誰だって嫌になるだろう。

posted by 鶴見済 at 15:32| 日記 | 更新情報をチェックする

2010年12月20日

まずは企業を儲けさせて、というペテン

大企業の内部留保の推移.jpg「大企業が儲かれば、その儲けが下々に行き渡って、社会全体が豊かになる」という“トリクルダウン(おこぼれ)幻想”に、この社会はいつまでだまされ続けるのか?

日本で最も好景気が長く続いたのはいつだったか? それは60年代でも、80年代でもなく、2002年から07年までの69ヶ月間の間だ。「いざなぎ越え景気」とも呼ばれた。

この時期に景気がいいと実感した人はほとんどいないだろう。この時期にこそ貧富の格差が拡大し、正社員の数も平均給料も減り続け、実質的に企業には減税、個人には増税が行われたからだ(註1)。

好景気だったのだから、上のほうの一部は大々的に儲けた。けれども、おこぼれなんかなかったのだ。


日米欧の労働分配率の推移.pngそして性懲りもなくまた国は、企業に減税、個人に増税しようとしている(註2)。企業に国際競争力をつけさせることで、経済成長を促し、雇用を拡大し、給料を増やし、国民を豊かにするためだという。国民を豊かにしたければ、国民のために税金を使えばいいのだ。いつでも「まずは大企業を儲けさせてから」という話になるのは、それだけが目的だからだ。

経済界(註3)の言うことは聞く。アメリカの言うことも聞く(註4)。そして国民の言うことは聞かない。これが、この国の政府が戦後やってきたことのすべてだ、と思える(註5)。


(註1)参考:国民が「いざなぎ越え」景気を実感できない理由 (森永卓郎)

(註2)参考:法人税率5%引き下げ 個人は計5500億円増税 (朝日)

「思い切って(税率を)5%下げて、投資や雇用を拡大することで働く人の給料を増やして経済成長を促し、デフレを脱却する」との“トリクルダウン幻想”を首相が堂々と語っている。次に来るのは当然、財政危機を理由にした消費税の増税だ。これでは小泉・竹中路線と何も変わらないが、新聞がこれを応援しているのもムカつく。

(註3)経団連と言ってもいい。

(註4)参考:思いやり予算、5年間は総額維持─日米合意 (時事)

(註5)ただし鳩山内閣だけは、やや例外。
関連日記:「経済界優先」という逆コース

図上は、大企業の内部留保の推移。好景気の時期にぐんぐん増えて、今は過去最大である。下は日米欧の労働分配率の推移。労働分配率とは、つまり給料に当てる割合。こんなに給料を下げてるのだから、世界的に大企業の笑いは止まらない。

posted by 鶴見済 at 00:13| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年12月08日

すべては経済界の望むがまま

オックスファムのボトル入りのメッセージ.jpg●今メキシコでやっているCOP16では、日本の代表がどの参加国よりも強く京都議定書の延長に反対して非難を浴びている。つまり、「北」も「南」も含めたすべての国のCO2排出を規制できないなら、いっそのこと規制なんかなくせと言ってるわけだ。
これは自動車、鉄鋼、電気、石油など、CO2をもっと出したい日本の産業界団体の要望そのままだ。こんなものが、我々の総意ということでいいのか?

そもそも「北」の国々が工業化したせいで地球が温暖化しているのだから、こういう態度は今叫ばれている”クライメート・ジャスティス(気候問題における公正)”に真っ向から刃向かうようなものだ。

京都議定書の延長に反対 「公平な枠組みを」 業界9団体が提言(産経)


●三菱重工などの軍需産業が、武器輸出規制を緩和しろと政府に圧力をかけていた。もともとはヨーロッパやNATOに日本と共同で作った武器を売りたいアメリカ(の産業界)の要請だったことが、ウィキリークスのおかげでバレたが、ここでも日米の経済・産業界の儲けの前で道理が引っ込んでいる。

武器輸出三原則の見直し 防衛相が意欲、防衛産業は期待(朝日)


カンクンでのボトルのメッセージ.jpg他にも企業減税(註1)、エコポイント(註2)、TPP参加、エコカー減税(註3)、原発輸出、地デジ移行……と、どれも経済・産業界の上層部の望むがままの、時代に逆行した政策ばかりが推し進められている。

我々は、彼ら(とそれに従う政治家やマスコミ)にもっと怒っていいのだ。彼らが儲けなければ、みんなが生きていけない、なんていうのも向こうのプロパガンダなんだから(註4)。むしろ彼らが富を独占しているせいで、皆にカネが行き渡らなくなっているのだ。


(註1)11年度税制改正:菅首相「法人税5%減」 財務省に「実質減税」指示(毎日)
国にカネがないから消費税などの大衆税を上げるしかないと言いながら、カネ持ちには減税しようとしているのだから、黙っているのもバカバカしい。

(註2)家電エコポイント特需、一部で品薄 納品遅れ長期化も(朝日)
薄型テレビに買い換えることは、何らエコではないが、そんなことはもう誰も気にしていないらしい。ちなみにエコポイントは、世界経済危機でピンチに陥ったはずの家電業界を救うために取られた措置で、ここまで儲けさせるためのものではなかったはずだ。
(註3)
エコカーに買い換えることより、クルマに乗らないようにすることがエコだが、この国ではそんな常識は通用しない。

(註4)「まず富裕層が儲ければそのおこぼれが下層まで行き渡り、社会全体が豊かになる」という「トリクルダウン(おこぼれ)説」は、経済学でもとっくに否定されている。

(参考ニュース)政治資金収支報告 企業・業界団体献金の2千万円超は半減(産経)

「トップは8470万円の日本自動車工業会で8年連続。2位は日本鉄鋼連盟、日本電機工業会、石油連盟が8000万円で並び、トヨタ自動車、キヤノンと続いた。」
これらの政治献金上位団体は、軒並み京都議定書延長に反対している。
若干関連日記:反自動車産業、反経済成長、反買い替え

写真はCOP16会場のカンクンで、フェアトレード団体・オックスファムがやった、ボトル入りのメッセージ・アクション。

posted by 鶴見済 at 13:17| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

消費から降りるための9原則

「消費のエスカレーターから降りるための9つの原則」を、ハーバード大学教授のジュリエット・ショアは、著書『浪費するアメリカ人─なぜ要らないものまで欲しがるか』(註1)のなかで提唱している。

1.欲望をコントロールする

2.新しい消費のシンボルを作り出す──高級品をかっこ悪いものにする

3.自分自身をコントロールする──競争消費に対する自発的な抵抗

bnd2010-black.jpg4.共同利用を学ぶ──借り手になったり貸し手になったり

5.商業システムを解剖する──賢い消費者になる

6.「買い物療法」を避ける──消費は中毒である

7.祝い事を脱商業化する

8.時間を作る──働きすぎと浪費の悪循環に陥っていないか

9.政府介入で消費の歪みを調整する

 

自分ならここに、「買わずに自分で作る」「消費をあおる連中を止める」「マスメディアに踊らされない」(註2)「商品がどこから来てどこに行くのか想像する」等々を加えたい(「賢い消費者になる」という言い方にも違和感を感じる)。

11月27日(土)は、一年に一度、どうしても必要なもの以外は買わずに過ごしてみようというBuy Nothing Dayだ。どうしても必要と思っていたものでも、買わずにいると、そうでもなかったことに気づく。ちなみに自分は、一週間のうち半分以上がバイ・ナッシング・デイだが。


(註1)この本で著者は、消費が減り経済が成長しなくなることは、経済の崩壊につながらないと結論づけている。

(註2)マスメディアは、広告欄に限らず、経済・産業界のための宣伝の道具だ。例えばこんなニュースがあった。

原発受注、タイでも期待高まる 日本原電が技術協力協定(朝日)

「日本原電が協力者に選ばれたことで、ベトナムに次ぐ日本勢の原発受注にも期待が高まっている。」

この「期待が高まっている」の主語は誰か? 原発の輸出を期待する人がそうそういるはずはない。これは、例えば東芝や日立の上層部など、原発で儲けている一部の人間のことでしかない。けれども、新聞はこれが一般の感覚だと思って記事にしてしまっている。彼らにはそんな狭い世界しか見えていないのだ。

関連サイト:Buy Nothing Day Japan

関連日記: 服を買わせる戦略  毎日のエコロジー=反<灰色>

posted by 鶴見済 at 18:11| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

トウモロコシができすぎるアメリカの事情

キング・コーン.jpg日本に住む我々が食べるトウモロコシは、90%以上がアメリカからの輸入だ。トウモロコシそのものを食べていなくても、それはスナック菓子や油など様々な加工品になって、我々の口に入っている。
けれども、そのトウモロコシがどんなふうに育てられているのかはわからない。それを教えてくれる映画が『キング・コーン』だ。

小農家を潰してできた、はるか彼方まで続く大農園で、化学肥料、遺伝子組み換え種、農薬を使って、トウモロコシは育つ。
アメリカでは70年代からトウモロコシの増産を促したため、国内で生産が過剰になった。日本の市場を完全に制覇し、メキシコの伝統的な農業を崩壊させたアメリカ産トウモロコシが、なぜこれほど世界中に輸出されるのか、という向こうの事情もよくわかる(註)。

映画『キング・コーン』公式サイト (大規模な牛の畜産現場もすごい) 


(註)現在世界中で輸出されるトウモロコシの70%以上がアメリカ産である。

類似傑作映画:『いのちの食べかた』 (最近の肉や野菜が、どんな異常な環境で育っているのかを伝えるドキュメンタリー)

写真の映画主人公たちの後ろにあるのは、トウモロコシ粒の山。自分は図書館で借りて観た。

posted by 鶴見済 at 20:00| 人間界の経済 | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

APEC反対デモと”NO!APEC TV”出演(追記あり)

芋掘り3.JPG大新聞が経済・産業界のための自由貿易推進を叫ぶなか、明日はいよいよ空前の無意味な厳戒態勢を向こうに、反APECデモがある。
そしてその日の深夜(14日)0時から3時間、“NOAPEC TV”というインディ・メディアの番組に出て、国内外のデモの話をする予定。

NO! APEC TV 48時間ライヴ・内容


大企業の広告費に依存しているマスコミは、もちろん主張も大企業に追従している。だからこそ、インディ・メディアを見てほしい。

写真は、今年畑で共同で作ったサツマイモの一部。これを他の畑の野菜とともに、その場で煮て食べたのはよかった。夏のジャガイモ収穫の時にも思ったが、自分たちで作物を作って料理して食べるのは、味がどうかというレベルを越えた、得体の知れないよさがある。「生きること」とは単にこれだけのことだ、という本来の単純さに触れるからなのかもしれない。そのくらい我々の「生きること」は、複雑でわけがわからなくなっている。こういう価値を、食べ物など全部輸入すればいいという自由貿易論者は、なかったことにしている。

(追記)NO!APEC TVを夜遅くまで見てくれた皆さん、どうもありがとうございました。番組のアーカイブがアップされました。冒頭には当日のデモの映像もあります。⇒民衆のデモス

posted by 鶴見済 at 22:07| 日記 | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

原発の輸出を喜ぶ国

山口県の上関原発予定地の埋め立てにやってきていた中国電力の船を、反対する人々が猛抗議で追い返したのが、10月25日だった。祝島の反対で有名なこの上関原発問題は、名古屋のCOP10でも取り上げられ、今回はハンガーストライキや、著名人による反対の署名運動もあった(註1)。
けれどもこのことは、ほとんど報道されなかった。

被ばく労働者数の推移.gifその1週間後には、ベトナムに2基の原発を輸出する話が決まったと各大手新聞がトップニュース扱いで報道した(註2)。こんなことで、日本中が大喜びしているかのようだった。

日本で原子炉を作っているのは東芝、日立、三菱重工の3社だが、これに東京電力など電力会社9社、投資ファンド1社、そして政府を加えた”オール・ジャパン”チームが一丸となってベトナムに原発の売り込みをかけていたのだった。


日本は原発に限らず、ダムなどインフラの輸出でも、「南」の国々、特にアジア諸国に大迷惑をかけてきた(註3)。そういう輸出もAPECTPPによる自由貿易を進めることで、一層やりやすくなる。そこで各大手新聞は、政府のなかでも意見が割れているTPP参加について、「参加以外に道はない」「ためらうな」と連日連日、一大キャンペーンをやっている(註4)。

この国のマスコミは政治については、一応いいことも悪いことも言う。けれども経済については、大企業のPR活動のようなことしかできない。だから我々は、大企業に文句を言うことができずにいる。


(註1)参考:祝島島民の会blog

(註2)ベトナムの原発受注で合意日越首脳会談(読売)
(註3)参考日記:アルミはどこから来るのか?
(註4)太平洋FTA―通商国家の本気を示せ(朝日社説) 日本は「通商国家として生きるしかない」そうだ。商社の社説かと思った。
推薦映画:『ミツバチの羽音と地球の回転』HP
参考日記:我々はアジアにゴミを輸出している

図は、増大する、日本の原発で働く被ばく労働者数の推移。この統計では、年間6万人以上にも上っている。必ず生じる労働者の被ばく、放射能漏れ、放射性廃棄物という問題まで輸出するのがそんなに嬉しいのか? 儲けが少なくても、せめて火力発電所を輸出しろと言いたい。

posted by 鶴見済 at 23:06| 原発 | 更新情報をチェックする